構造・工法図鑑No.005
RC造
Reinforced Concrete Construction
鉄筋を組んだ型枠へコンクリートを流し込み、壁・床・柱・梁を一体化する構造。重く変形しにくいため、耐火性や遮音性を確保しやすい一方、配筋・かぶり厚さ・コンクリートの打設・断熱位置が完成後の性能を左右する。
選ぶポイントは、コンクリートの厚さだけでなく、壁式かラーメンか・開口の位置・打継ぎ・設備スリーブ・ひび割れへの対応にある。

| 間取り自由度 | 大空間 | 改修性 | 品質安定性 |
| ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ |
RC造とは?
RC造は、鉄筋とコンクリートを組み合わせて建物を支える構造。RCは「Reinforced Concrete」の略となる。
コンクリートは押される力に強いが、引っ張られる力には弱い。そこで、引張力を受ける位置へ鉄筋を配置し、コンクリートと一体化させる。
重要なのは、鉄筋が入っていればよいという話ではない。鉄筋の位置、太さ、間隔、継手、コンクリートに埋め込む長さによって、力の伝わり方が変わる。
鉄筋の外側には、一定のコンクリート厚さを確保する。この「かぶり厚さ」が不足すると、火災時に鉄筋が熱を受けやすくなり、中性化や塩分による鉄筋腐食も進みやすい。
また、RC造は現場でコンクリートを固めてつくる。図面どおりに配筋されていても、打設時に鉄筋が動いたり、コンクリートが十分に充填されなかったりすれば、設計どおりの性能にならない。
- コンクリートが圧縮力、鉄筋が引張力を主に受け持つ
- 壁や柱の厚さだけでなく、内部の配筋が重要
- 打設後に隠れる部分の確認がRC造の品質を左右する

主な種類と違い
壁式構造|壁そのものが建物を支える

壁式構造は、鉄筋コンクリートの耐力壁と床で建物を支える構造。
柱や梁の出っ張りを抑えやすく、室内をすっきり見せやすい。壁が多いため建物の変形も抑えやすく、低層から中層の共同住宅や住宅で使われる。
一方、耐力壁には窓や出入口を自由に追加できない。大きな開口を設けると、壁として残る部分が減り、開口まわりの補強も必要となる。
完成後に壁を撤去する改修も難しい。間取り図では普通の壁に見えても、実際には建物を支える壁の場合があるため、耐力壁の位置と開口範囲を構造図で確認する。
ラーメン構造|柱と梁で空間をつくる

ラーメン構造は、鉄筋コンクリートの柱と梁を強く接合し、骨組み全体で地震や風の力に抵抗する構造。
柱と柱の間へ大きな窓を設けやすく、壁式構造より間取りの自由度を確保しやすい。構造を負担しない間仕切り壁なら、将来変更できる場合もある。
ただし、柱や梁が室内側へ張り出すことがある。梁を小さく見せるために天井を下げると、窓の高さや設備配管の経路にも影響する。
大空間をつくる場合は、梁の長さだけでなく、床スラブの厚さやたわみも確認したい。柱を減らせば、自動的に使いやすい空間になるわけではない。
現場打ちとプレキャスト|コンクリートを固める場所が違う

現場打ちは、建築現場で鉄筋と型枠を組み、コンクリートを流し込む方法。敷地や建物形状に合わせやすい一方、天候、打設、締固め、養生が現場品質へ影響する。
プレキャストコンクリートは、工場で製作した柱、梁、壁、床などを現場へ運び、接合して建物をつくる方法。部材の製造条件を管理しやすいが、部材同士の接合部と目地が重要となる。
建物全体をどちらか一方でつくるとは限らない。柱や梁は現場打ち、床はプレキャストというように併用する場合もある。
「プレキャストだから高品質」とだけ判断せず、どの部材を工場でつくり、現場でどのように接合するのかを見る。
メリット・デメリット
- 壁や床に質量があり、音を遮りやすい
- コンクリートで鉄筋を覆うため、耐火性を確保しやすい
- 壁、床、柱、梁を一体化した構造をつくれる
- 建物が重く、地盤と基礎へ大きな力がかかる
- 耐力壁や梁へ、完成後に開口を追加しにくい
- 打設、締固め、養生の状態が完成後には見えにくい
RC造はコンクリートを流す前に品質が決まる
RC造では、コンクリートを打設すると鉄筋、継手、設備スリーブの多くが見えなくなる。
打設前には、鉄筋の太さや本数だけでなく、間隔、継手、定着、開口補強、かぶり厚さを確認する。配管や換気口のスリーブが鉄筋と干渉し、現場で鉄筋を動かしてしまうケースにも注意が必要となる。
コンクリートは、設計基準強度の数字だけでは判断できない。打設時の流動性を示すスランプ、空気量、塩化物量、打込み方法、締固め、養生まで管理する必要がある。スランプの数字が大きいことは、コンクリートが強いことを意味しない。
一度に打設できない部分には打継ぎが生じる。計画された打継ぎでも、位置や表面処理が悪ければ、水の通り道や弱点になる可能性がある。
コンクリート表面にできるひび割れも、すべて同じではない。乾燥収縮による細いひび割れ、開口部から伸びるひび割れ、斜めに入る構造的なひび割れでは、原因と対応が異なる。
RC造では、完成した表面だけでなく、打設前と打設中の記録が建物の品質を示す。
選ぶときに役立つ三つの視点
耐力壁と柱・梁の位置を見る

最初に確認したいのは、壁式構造かラーメン構造か。
壁式構造では、耐力壁の位置が窓、出入口、将来の間取り変更を左右する。ラーメン構造では、柱と梁の位置が室内の出っ張り、天井高、家具配置へ影響する。
平面図だけでは、構造壁と間仕切り壁の違いが分からない。構造図と平面図を重ね、撤去できない壁、柱、梁を確認する。
断熱材をコンクリートの内側と外側のどちらへ置くか見る

RC造には、コンクリート壁の室内側へ断熱材を設ける内断熱と、屋外側から連続して覆う外断熱がある。
内断熱では施工範囲を納めやすい一方、床スラブ、梁、間仕切り壁が外壁とつながる部分に熱橋が生じやすい。
外断熱は、躯体を外側から覆うため熱橋を抑えやすく、コンクリートの蓄熱性も利用しやすい。
断熱性能の数値だけでなく、壁・床・梁・窓まわりで断熱層がどのようにつながるかを断面図で確認する。
打継ぎと防水の位置を見る

RC造の雨漏りは、コンクリート全体から均等に起こるとは限らない。屋上、バルコニー、地下外壁、窓まわり、打継ぎ、設備貫通部などが水の入口になりやすい。
特に地下室は、完成後に外側から防水を直しにくい。外防水か内防水か、打継ぎ部へ止水材を使うか、排水設備が必要かを施工前に決める。
屋上も、コンクリートそのものだけで雨を防ぐのではなく、防水層、立上り、排水口を含めて計画する。
コンクリートだから雨漏りしないと考えず、水が入りやすい継ぎ目と出口を見る。
選択肢になる住宅・注意したい条件
- 道路や隣家からの音を抑えたい都市部の住宅
- 地下室、屋上利用、大きな開口を構造計画と一体で考えたい住宅
- 壁や床の質量を生かし、室温変化を緩やかにしたい住宅
- 軟弱地盤で、建物重量を含めた基礎計画を確認していない土地
- 建築後に窓、配管、間取りを大きく変更したい計画
- 打継ぎ、防水、断熱位置が断面図に示されていない住宅
購入前の確認と注意点
構造方式とコンクリート壁の役割を確認する

「RC造」という名称だけでは、壁式構造かラーメン構造か、どの壁が建物を支えているか分からない。
構造図には、耐力壁、柱、梁、床スラブの位置と厚さを残しておきたい。ラーメン構造の場合は、室内へ張り出す柱と梁の寸法も確認する。
将来変更できる壁と変更できない壁を契約前に分けておけば、「RC造なら間仕切りを自由に動かせる」という誤解を防げる。
配筋とコンクリートの検査記録を確認する

配筋はコンクリートを打設すると見えなくなる。鉄筋の本数、間隔、継手、開口補強、かぶり厚さを、打設前に誰が検査するのか確認したい。
コンクリートについては、設計基準強度だけでなく、納入書、スランプ、空気量、塩化物量、圧縮強度試験の記録を残す条件を確認する。
写真は鉄筋全体だけでなく、窓まわり、梁柱接合部、設備スリーブ、打継ぎ位置が分かるように残してもらう。
設備スリーブとひび割れの対応条件を確認する

RCの壁や梁へ、完成後に自由に穴を開けることはできない。エアコン、換気、給排水、電気配線に必要な貫通部は、配筋と干渉しないよう打設前に決める。
契約後の設備変更でスリーブ位置が変わる場合は、設備図だけでなく、配筋図と構造図にも反映する。
引き渡し時には、ひび割れの幅、漏水の有無、補修方法、補修後の仕上げまで確認したい。ひび割れを表面だけ埋めるのではなく、原因が乾燥収縮なのか、打継ぎなのか、構造的な動きなのかを判断して対応する。
ひつヤギ君RC造なら、コンクリートが厚いほど強いの?
じギィ博士厚さだけでは決まらないぞ。鉄筋の位置や量、コンクリートの強度、壁や柱の配置、打設品質までそろって初めて性能を発揮する。完成後には見えない部分ほど、打設前の図面と記録で確認することが大切じゃ。
暮らしをつくる12の図鑑
HOUSE BUILDING ENCYCLOPEDIA
家づくりの知識を、ひとつずつ。
じギィ博士の研究ノート


