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ルーフィングとは?3つの基本材料と粘着・透湿・遮熱機能をわかりやすく解説

屋根材の下で雨水を防ぐルーフィングの役割

家づくりで屋根を考えるとき、多くの人が最初に気にするのは、「瓦にするか」「スレートにするか」「金属屋根にするか」といった屋根材の種類ではないでしょうか。

しかし、屋根を雨から守っているのは、外から見える屋根材だけではありません。その下には、完成後には見えなくなる**ルーフィング(屋根下葺材)**が敷かれています。

瓦やスレート、金属屋根には、材料同士の継ぎ目や重なりがあります。通常の雨は屋根材の表面を流れますが、強い風を伴う雨などでは、一部の雨水が屋根材の下へ入り込むことがあります。その雨水を受け止め、野地板へ到達させないための防水層ルーフィングです。

イメージとしては、次のような二段構えです。

  • 屋根材:雨水の大部分を受け流す
  • ルーフィング:屋根材の下へ入った雨水を排出し、野地板を守る

ルーフィングが劣化したり、施工に不備があったりすると、すぐに室内へ水が落ちなくても、先に野地板が濡れている可能性があります。つまり、室内にシミが現れたときには、屋根内部ではすでに劣化が進んでいることもあるのです。

この記事では、ルーフィングをまず基本となる材料・構造追加される機能・施工方法に分けます。そのうえで、それぞれの特徴と選び方、住宅会社へ確認したいポイントを解説します。

屋根材の下で雨水を防ぐルーフィングの役割
目次

まず全体像|ルーフィングは「基本材料」と「追加機能」を分けて考える

ルーフィングの記事が分かりにくくなりやすいのは、異なる分類基準が同じ「種類」として横並びにされることが多いからです。

たとえば、アスファルト系高分子系は、主に材料や構造の違いです。一方、粘着層付きは固定方法透湿遮熱は製品に持たせた機能を表します。

そのため、ルーフィングは次のように二段階で考えると整理しやすくなります。

基本となる3つの材料・構造

  1. 従来型アスファルトルーフィング
  2. 改質アスファルトルーフィング
  3. 高分子系ルーフィング

製品に追加される3つの特徴

  1. 粘着層付き
  2. 透湿機能
  3. 遮熱機能
分類何が違うのか主な特徴
従来型アスファルト防水材料・構造実績が長く、価格を抑えやすい
改質アスファルト防水材料・構造アスファルトへゴムや樹脂を加え、柔軟性や耐久性などを高める
高分子系防水材料・構造合成樹脂などを利用した非アスファルト系が中心
粘着層付き固定・施工方法裏面を下地へ密着させる
透湿追加機能雨水を防ぎながら水蒸気を通しやすくする
遮熱追加機能反射層により放射熱の影響を抑える

ここで重要なのは、この6項目が互いに排他的ではないことです。

たとえば、改質アスファルトルーフィングの裏面に粘着層を設けた製品があります。また、高分子系のシートに透湿性と遮熱性を持たせた製品もあります。

したがって、「6種類の中から一つを選ぶ」のではありません。まず基本となる材料や耐久性を考え、そこへ住宅の条件に応じて粘着・透湿・遮熱などの特徴を加える、という順番で考えます。

ひつヤギ君

透湿ルーフィングや遮熱ルーフィングは、アスファルト系とは完全に別の材料だと思っていたよ。

じギィ博士

透湿遮熱は、主に「どのような機能を持つか」を表す言葉じゃ。同じ製品が高分子系であり、透湿型であり、さらに遮熱機能も備えていることがあるんじゃよ。ここを分けて考えると、カタログがずっと読みやすくなるぞ。

先に結論|一般的な新築住宅なら「製品名を確認した改質アスファルト」が現実的な基準

最初に結論をまとめると、一般的な新築住宅では、ARK 04sに適合する改質アスファルトルーフィングを基準に考えるのが現実的です。できれば紙基材か不織布基材か、メーカー、製品名まで確認します。「ゴムアス」「改質アスファルト」とだけ書かれた仕様では、実際のグレードまでは分かりません。

屋根材に瓦やSGL鋼板などの長寿命を狙える材料を使うなら、ルーフィングもメーカーが耐久試験や想定耐用年数を示している上位製品まで検討します。

じギィ博士

屋根材だけが長持ちしても、ルーフィングの更新のために屋根材を外すことになれば、高耐久屋根材を選んだ利点が薄れるからの~。

一方、透湿・遮熱・粘着は、単純な上位互換ではありません。

  • 緩勾配、複雑な屋根、強風の影響を受けやすい場所、カバー工法では、粘着層付きが有力です。
  • 屋根通気層まで設計されている住宅では、透湿ルーフィングを使う意味が大きくなります。
  • 遮熱ルーフィングは、空気層や通気層を含めた屋根構成とセットで考えます。断熱材の代わりにはなりません。
  • 高分子系は軽量性や柔軟性に強みがありますが、「高分子系だから30年もつ」と一括りにはできません。
  • アスファルトルーフィング940はJISに適合する製品であり、直ちに欠陥品という意味ではありません。ただし、長寿命の屋根をつくりたい場合には、より性能を高めた製品と比較せずに採用する理由は乏しくなります。

要するに、ルーフィング選びで大切なのは「一番高い製品」を選ぶことではありません屋根材の想定寿命、屋根勾配、通気の取り方、留め付け方法、将来の改修方法を一つの屋根システムとして合わせることです。

住宅・屋根の条件第一候補選ぶときの注意点
一般的な新築住宅ARK 04s適合の改質アスファルトメーカー・製品名・基材まで確認
瓦・SGLなど長寿命屋根材高耐久型の改質アスファルトなど屋根材と改修時期が合うか確認
緩勾配・複雑な屋根粘着層付き改質アスファルト適用勾配と下地条件を確認
屋根カバー工法改修用の粘着層付き既存屋根材への適合と将来の撤去性を確認
屋根通気層を設ける住宅透湿ルーフィング軒から棟まで湿気の出口があることが前提
夏の屋根熱を抑えたい住宅遮熱機能付きルーフィング空気層・通気層、断熱材とセットで判断
ひつヤギ君

結局、一番高くて高性能なルーフィングを選べば安心、というわけではないんだね。

じギィ博士

その通りじゃ。屋根材が何年もつのか、通気層があるのか、どのように固定するのか。その条件に合わない高性能は、費用をかけても十分に生かせんのじゃよ。

雨漏りは「室内に水が落ちる前」から始まっている

雨漏りというと、天井にシミができたり、壁紙が濡れたり、ポタポタと水が落ちてきたりする状態を思い浮かべるかもしれません。

ひつヤギ君

えっ違うの!?

じギィ博士

うむ、それは雨漏りの始まりではなく、かなり後の段階で現れる症状じゃ。

雨水が屋根材の下に入り込み、ルーフィングを越え、野地板まで到達し、最後に屋根の内部、そして室内へと雨水が侵入します。

つまり、屋根の防水で本当に重要なのは、

「室内に水を落とさないこと」だけではありません。

そのもっと手前にある、

「雨水を野地板まで到達させないこと」

が重要なのです。

屋根材で雨水を受け流し、そこから入り込んだ雨水をルーフィングが受け止める。

この二段構えで、屋根の内部を雨水から守っていると考えると分かりやすいでしょう。

では、なぜルーフィングは、これほど重要なのにあまり意識されないのでしょうか。

ひつヤギ君

そういえば、屋根材はよく見るけど、ルーフィングって見たことない……。

じギィ博士

ルーフィングは、家が完成してしまえば普段の生活からは見えん。
だからこそ、屋根材ほど『何を使っているか』が意識されにくいんじゃ。

ここが、家づくりでルーフィングを考えるときのポイントです。

屋根材を選ぶときは、瓦にするのか、スレートにするのか、金属屋根にするのかを考えるでしょう。

しかし、屋根材だけで屋根の防水性能が決まるわけではありません。

屋根材の下にはルーフィングがあり、そのさらに下には野地板があります。

普段は見えない場所だからこそ、「何が使われているのか」「どのような性能を持っているのか」まで確認しておくことが大切です。

「ルーフィングにはどんな種類がある?」

① 従来型アスファルトルーフィング(紙基材)

アスファルトルーフィング940の構造と特徴

長い歴史を持つ、もっとも基本的なルーフィングです。代表的なのが、JIS A 6005で規定されている「アスファルトルーフィング940」紙を基材として、そこにアスファルトを染み込ませることで防水性を持たせています。

ひつヤギ君

価格が安く、施工方法も広く普及しているため、現在でも新築住宅などで使われているよ!

じギィ博士

重要なのは「紙をベースにしている」という所じゃ。

時間が経つにつれてアスファルトが劣化すると、徐々に硬くなり、柔軟性が失われていきます。

その結果、破れやひび割れなどが起こりやすくなるため、改質アスファルト系などの高耐久タイプと比べると、長期的な耐久性では不利になります。

耐用年数の目安は10〜20年程度とされますが、実際の寿命は屋根の環境や施工状態によっても変わります。

じギィ博士

もちろん、安い・入手しやすい・施工実績が豊富というのは大事なことじゃ。しかし、ルーフィングは完成後には見えなくなる部分だからこそ、「紙を基材としたタイプで十分なのか、それとも、もう少し長く野地板を守れるものを選ぶのか」は、新築時に一度考えておきたいところじゃな。

② 改質アスファルトルーフィング(ゴムアス)

改質アスファルトルーフィングの柔軟性と耐久性

従来のアスファルトルーフィングに、合成ゴムや合成樹脂などを加えて性能を高めたもの「改質アスファルトルーフィング」です。住宅では「ゴムアス」と呼ばれることもあります。

従来型よりも温度変化に強く、施工時に折れたり破れたりしにくいうえ、経年による硬化やひび割れも起こりにくくなっています。

じギィ博士

従来型との大きな違いは、柔軟性と耐久性じゃ。

ひつヤギ君

耐用年数は20年以上が一つの目安とされているよ!

また、改質アスファルトルーフィングには、釘穴からの雨水の浸入を抑える「釘穴シール性」を高めた製品もあります。屋根のルーフィングは多数の釘やタッカーによって固定されるため、こうした性能は見逃せないポイントです。

じギィ博士

価格は従来型より少し高くなるが、屋根材の下に長期間残り、簡単には交換できない防水層であることを考えると、追加費用をかける意味は比較的大きいと思うぞ。

ひつヤギ君

改質アスファルトルーフィングって、やっぱりかなり高くなるの?
性能が良くなるなら、屋根全体の費用も結構上がりそうだけど……。

じギィ博士

実は、そこまで大きな差ではないんじゃ。
もちろん製品によって価格は違うが、例えば同じメーカーの製品で比較すると、1㎡あたりでは100円程度の差に収まる例もある。

ひつヤギ君

えっ、思っていたより全然大きな差じゃないんだね。
それなら、長く野地板を守ることを考えると、改質アスファルトを選ぶのもアリかも!


・アスファルトルーフィング940(Pカラー):21m×1m=21㎡、8,000円(税別)~

・改質アスファルトルーフィング(PカラーEX+):18m×1m=18㎡、8,800円(税別)~
※あくまで販売価格の一例で、製品・販売店・時期によって価格は変わります。

特に新築住宅で、「できるだけ長く野地板を守りたい」と考えるなら、改質アスファルトルーフィングは有力な選択肢です。

※巻面積で単純換算した材料価格の比較です。実際の追加費用は重ね代、端材、送料、施工会社の仕入価格などによって変わります。

じギィ博士

住宅会社によっては、特に指定しなければアスファルトルーフィング940が標準仕様になっている場合もある。
『ルーフィングは何を使いますか?』と確認せずに進めると、知らないうちに940が採用されていることもあるから、必ず確認するんじゃぞ!!

基材は「不織布」を選ぶ

同じ改質アスファルトでも、芯材(基材)によって寿命は変わります。大きく分けて2タイプ。

  • 紙タイプ:コストは安いが、湿気や経年劣化で弱りやすい。長期的な耐久性では不織布タイプに劣る。
  • 不織布タイプ:繊維を絡み合わせたシートを基材としており、引裂きや破れに強く、耐久性を高めやすい。長期的な防水性能を重視する住宅で採用されることが増えている。
じギィ博士

長期耐久性を重視するなら不織布基材がおすすめじゃ。

③ 粘着層付き改質アスファルトルーフィング

粘着層付き改質アスファルトルーフィングの施工構造

ルーフィングの裏面に粘着層を設け、野地板に貼り付けて施工するタイプです。

一般的なルーフィングはタッカー(ホッチキスのような道具)などで野地板に固定しますが、粘着層付きタイプは裏面の粘着層によって野地板に密着させます。

ただし、粘着層付きにしたからといって、屋根から釘やビスがなくなるわけではありません。

ひつヤギ君

どういうこと?

じギィ博士

屋根材を固定する際には釘やビスなどが使われるから、施工方法によってはそれらがルーフィングを貫通することがあるからじゃ。

粘着層付きタイプの大きな特徴は、このような釘・ビスなどによる貫通部の防水性を高めやすいことです。

さらに、屋根勾配が緩い場合にも、防水面で有利になりやすいという特徴があります。緩勾配の屋根では雨水が屋根面を流れ落ちる速度が遅くなり、屋根材の継ぎ目などから雨水が入り込むリスクも高くなります。そのため、ルーフィングの重ね部分や釘・ビスによる貫通部をしっかり防水することが重要です。

ひつヤギ君

緩勾配の屋根水性を高めるうえでメリットになるんだね!!

一方で、粘着層付きならどんな緩勾配でも施工できるわけではありません。屋根材にはそれぞれ必要な最低勾配があり、ルーフィングについても製品ごとに施工条件が異なります。緩勾配の屋根に採用する場合は、屋根材とルーフィングの両方について、メーカーが定める施工条件を確認する必要があります。

じギィ博士

基材や構造は製品によって異なる不織布などを使用する製品もあれば、異なる構成の製品もある。実際に選ぶ際は「粘着」という特徴だけでなく、基材・改質アスファルトの種類・釘穴シール性・耐久性などを製品ごとに確認することが重要じゃぞ

粘着層付きタイプでは、粘着性のあるアスファルトが釘の周囲に密着し、釘穴から水が入り込むリスクを低減する効果が期待できる。

④ 高分子系ルーフィング

高分子系ルーフィングの軽量性と柔軟性

高分子系ルーフィングは、合成ゴム合成樹脂などを主な材料とするルーフィングです。アスファルトを主原料とするルーフィングとは材料が異なり、軽量で、柔軟性や伸縮性に優れた製品があることが特徴です。

ひつヤギ君

アスファルトじゃないんだね。

屋根は、夏と冬の温度差や木造住宅の下地の動きによって、わずかに伸縮します。高分子系はこうした動きに追従しやすいため、防水層に無理な力がかかりにくく、長期間の防水性能を維持しやすいというメリットがあります。また、製品によっては30年程度の耐用年数を想定したものもあります。

一方で、高分子系には合成ゴム系や樹脂系など複数の種類があり、耐久性や強度、伸縮性などの性能は製品によって異なります

じギィ博士

「高分子系だから30年もつ」とは限らないぞ。
選ぶ際は製品ごとの耐用年数や性能を確認することが重要じゃ。

高分子系は、樹脂やゴムの特性を生かして、軽量性・柔軟性・強度などを重視したルーフィングと考えると分かりやすいです。

ただし、アスファルト系にも改質アスファルトなど性能を高めた製品があるため、「高分子系のほうが耐久性に優れる」と単純に比較することはできません。 さらに紫外線への耐性露出可能期間も製品によって異なります。屋根下葺材は基本的に屋根材で紫外線から守られるものなので、施工時の長期露出には注意が必要です。

⑤ 透湿ルーフィング

透湿ルーフィングが雨水を防ぎ湿気を逃がす仕組み

透湿ルーフィングは、外から入る雨水を防ぎながら、屋根内部の湿気を水蒸気として外へ逃がしやすくしたルーフィングです。

一般的なアスファルト系ルーフィングは防水性に優れる一方、湿気も通しにくいため、野地板に水分が含まれていると乾燥しにくくなることがあります。透湿ルーフィングは、この弱点を補うために使われます。

ひつヤギ君

雨水は通さないのに、湿気は通すの?
なんだか矛盾しているように聞こえるね。

じギィ博士

雨水と水蒸気では、シートを通ろうとするときの状態が違うからじゃ。液体の水は通しにくく、気体である水蒸気は通しやすい構造にすることで、防水性と透湿性を両立しているんじゃよ。

屋根内部では、室内から移動してきた水蒸気や、施工時に野地板へ含まれた水分などが残ることがあります。湿気が長期間抜けなければ、野地板のカビや腐朽、釘や金物の錆などにつながる可能性があります。

透湿ルーフィングを使うことで、野地板に含まれた湿気を屋根の外側へ逃がしやすくし、乾燥しやすい屋根構成をつくれることが大きなメリットです。

特に、高気密・高断熱住宅や屋根断熱の住宅など、屋根内部の湿気対策を重視する場合に検討されます。

ただし、透湿ルーフィングは、敷くだけで湿気を屋外へ排出してくれるものではありません。

ひつヤギ君

透湿ルーフィングにすれば、それだけで野地板の湿気対策は終わりじゃないの?

じギィ博士

ルーフィングを通り抜けた湿気にも、その先の逃げ道が必要なんじゃ。せっかく湿気がシートを通っても、その上に屋根材が密着していれば、そこで行き止まりになってしまうぞ。

透湿性能を生かすには、一般的にルーフィングと屋根材の間へ通気層を設け、軒先などから入った空気が棟付近まで流れる屋根構成が必要です。

瓦屋根のように屋根材の下へ空間をつくりやすい屋根もありますが、金属屋根やスレート屋根では、通気胴縁や二重垂木などによって別に通気層を設けなければ使用できない製品もあります。

また、透湿ルーフィングには、高分子系の材料を使った製品が多くあります。そのため、「高分子系」と「透湿系」は完全に別の種類ではなく、両方の特徴を持つ製品もあると考えたほうが正確です。

また、製品によっては、JIS A 6111の耐久性試験で「50年相当」とされる加熱処理区分を満たすものもあります。

ただし、これは試験上の区分であり、実際の住宅で50年間の防水性能が一律に保証されるという意味ではありません。

じギィ博士

透湿ルーフィングを選ぶときは、シートの性能だけでなく、「抜けた湿気がどこを通って、どこから屋外へ出るのか」まで住宅会社に確認するんじゃ。通気層のない屋根に高価な透湿ルーフィングだけを使っても、その性能を十分に生かせない可能性があるぞ。

⑥ 遮熱ルーフィング

遮熱ルーフィングが放射熱を反射する仕組み

遮熱ルーフィングは、シートの表面にアルミなどの反射層を設け、屋根材から野地板側へ伝わる放射熱を反射しやすくしたルーフィングです。

真夏の屋根材は太陽の日射を受けて高温になります。屋根材から放射される熱の一部を遮熱層で反射することで、野地板や小屋裏へ伝わる熱を抑える効果が期待できます。

ひつヤギ君

遮熱ルーフィングを使えば、夏の2階もかなり涼しくなるの?

じギィ博士

屋根から入る熱を減らす助けにはなるが、遮熱ルーフィングだけで室温が決まるわけではないぞ。断熱材の厚さ、屋根の色、通気層、窓から入る日射、換気やエアコンなども関係するからじゃ。

遮熱ルーフィングは、断熱材の代わりではありません。

遮熱は、主に屋根材から放射される熱を反射する対策です。一方、断熱材は屋外と室内の温度差によって移動する熱を抑えます。

そのため、断熱は夏と冬の温熱環境を支える土台、遮熱は夏の熱負荷を減らす補助と考えると分かりやすくなります。

また、遮熱性能を生かすには、反射面に接する空気層や通気層が重要です。遮熱層と屋根材が密着すると、放射だけでなく接触による熱伝導の影響が大きくなり、期待した効果を得にくくなることがあります。

ひつヤギ君

銀色の遮熱シートを屋根材のすぐ下に敷けば、それだけでいいわけじゃないんだね。

じギィ博士

そうじゃ。遮熱層、空気層、通気経路を一つの屋根構成として考える必要がある。製品によっては、屋根材を直接接触させてはいけないものもあるから、施工条件の確認が欠かせんぞ。

例えば、フクビの遮熱ルーフエアテックスは遮熱・透湿・防水機能を持つ製品ですが、金属屋根に使用する場合は、屋根材を直接接触させず、湿気や熱を排出できる通気下地屋根工法で施工するよう示されています。

このように、遮熱ルーフィングには透湿機能を併せ持つ製品も多くあります。セーレンのルーフラミテクトRXも、遮熱層、透湿防水フィルム、特殊ポリマーを組み合わせた製品です。

つまり、遮熱ルーフィングも独立した材料の種類ではなく、高分子系や透湿系のルーフィングに遮熱機能を加えた製品があると考えるとよいでしょう。

ひつヤギ君

遮熱性能が高ければ、防水性能はあまり気にしなくてもいいの?

じギィ博士

順番が逆じゃ。ルーフィングの最も重要な役割は、あくまで雨水の浸入を防ぐことじゃ。まず防水性と耐久性を確認し、そのうえで透湿や遮熱が必要かを判断するんじゃぞ。

遮熱ルーフィングを選ぶときは、カタログに「遮熱」と書かれているだけで判断せず、次の点を確認します。

  • どの屋根材に使用できるのか
  • 屋根材との間にどの程度の空間が必要か
  • 軒先から棟まで通気経路がつながっているか
  • 透湿性能も備えているか
  • 釘穴やビス周囲の止水性をどのように確保するか
  • 耐久試験と製品保証はどのような内容か

遮熱ルーフィングは、夏の暑さ対策として役立つ可能性があります。しかし、シート単体で選ぶのではなく、通気層・断熱材・屋根材まで含めた屋根全体で選ぶことが重要です。

本当に多い後悔ポイント

製品カタログには性能が書かれていますが、家づくりで起きる後悔は、材料そのものより確認不足や施工中の管理から生まれることがあります。

仕様書に製品名が書かれていなかった

仕様書や見積書に「アスファルトルーフィング」「ゴムアス」としか書かれていないケースです。着工後に調べ始め、監督へ確認して初めてメーカーと製品名が分かり、変更できるか慌てることになります。

契約前に確認したいのは、種類だけではありません。

  • メーカー名
  • 製品名・品番
  • 適合規格
  • 基材が紙か不織布か
  • 粘着式かタッカー仮留めか
  • メーカーが示す適用屋根材と勾配
  • 保証または耐久試験の条件

ここまで仕様書へ記載してもらえば、「同等品」への変更が起きたときも比較できます。

屋根材だけ長寿命にして安心していた

瓦やSGL鋼板を選び、「屋根は長期間メンテナンス不要」と考えたものの、後からルーフィングの存在を知るケースがあります。ルーフィングは屋根材の下にあるため、交換するには屋根材を一度外す工事になりやすく、足場、撤去、再施工の費用がかかります。

後悔を避けるには、屋根材とルーフィングを別々に選ばず、「次に屋根を開けるのは何年後か」を施工会社へ確認します。

高価なルーフィングなら施工は気にしなくてよいと思った

雨水が集中しやすい谷、棟、壁との取り合い、天窓、配管貫通部では、材料のグレード以上に施工詳細が重要です。重ね幅が不足していたり、水上側と水下側の順序が逆だったり、不要な位置に穴を開けたりすれば、高耐久製品でも防水層として機能しません。

施工中に確認したいのは、製品のロゴだけではなく、しわ・破れ・浮き、重ね幅、谷と棟の増し張り、貫通部の処理です。

屋根材を施工するまで長期間むき出しだった

ルーフィング施工後に屋根工事が延期され、長期間放置されると強風雨で端部がめくれてしまいます。

ルーフィングは完成後に屋根材で覆われる前提の材料です。施工後から屋根材を葺くまでの予定、雨天時の養生、強風後の点検方法も確認しておくと安心です。

「透湿」「遮熱」という言葉だけで選んだ

透湿は湿気の出口があって初めて機能し、遮熱は空気層や通気層を含めて考える必要があります。高機能な製品を追加しても、屋根構成が対応していなければ費用に見合う効果を得にくくなります。

機能名ではなく、「この住宅のどの層で、どのように効果が出るか」を図で説明してもらうことが重要です。

後悔しないための7つの選び方

1.屋根材とルーフィングの更新時期を合わせる

最初に考えるべきは、屋根材単体の寿命ではなく屋根全体の改修周期です。屋根材を50年使いたいのに、下葺材は短期更新を前提とした仕様では、組み合わせがよいとはいえません。

反対に、20〜30年程度で屋根材ごと更新する計画なら、非常に高価な超高耐久品を使っても寿命を使い切れない場合があります。

2.種類名ではなく製品名まで決める

「改質アスファルト」「高分子系」「透湿」という名称だけでは性能を特定できません。契約図書にはメーカー、製品名、品番、規格を記載してもらいます。

3.改質アスファルトはARK 04sを一つの基準にする

改質アスファルトにはJISによる一律の製品規格がなく、JWMAのARK 04sが基本性能を確認する目安になります。ただし、ARK 04sは最低限の推奨品質です。長寿命を狙うなら、その上で基材、厚さ、劣化防止層、メーカー試験を比較します。

4.耐用年数の数字を保証期間と混同しない

「50年相当の試験に合格」と「実際の屋根で50年間保証」は別の意味です。確認する数字は、促進耐久試験、メーカーの想定耐用年数、製品保証、雨漏り保証を分けて読みます。

5.透湿と遮熱は屋根の断面図で判断する

軒先から入った外気がどの通気層を通り、屋根内部の湿気や熱をどこから排出するのかを確認します。施工会社が通気経路を説明できなければ、透湿・遮熱材だけを追加しても判断できません。

6.屋根勾配と難所部分を優先する

緩勾配では雨水が流れにくく、屋根材の重ね部から入り込むリスクが高くなります。谷が多い屋根、壁にぶつかる屋根、天窓や煙突がある屋根も雨仕舞が複雑です。

このような屋根では、一般部の材料価格だけでなく、粘着層付き、二重張り、増し張り、役物の納まりを優先して検討します。

7.施工中に見えるタイミングを逃さない

完成後、ルーフィングは見えません。施工直後に次の項目を写真で残してもらいます。

  • 使用製品のラベルとロゴ
  • 屋根全面の施工状態
  • 谷、棟、軒先、壁際
  • 天窓、換気口、配管などの貫通部
  • 重ね部と固定位置
  • 破れやしわを補修した箇所

材料の性能表と施工写真を一緒に保管しておけば、将来の点検や葺き替えでも役立ちます。

住宅会社へそのまま聞ける確認文

ルーフィングについて詳しくない場合は、次のように質問すれば必要な情報をまとめて確認できます。

屋根下葺材について、メーカー名、製品名、品番、適合規格、基材、固定方法を教えてください。屋根材の想定更新時期に対して、この製品を選ぶ理由も知りたいです。透湿または遮熱機能がある場合は、屋根の通気層と湿気・熱の排出経路が分かる断面図を見せてください。また、谷・棟・壁際・貫通部の施工方法と、施工後から屋根材を葺くまでの養生方法も確認したいです。

「標準仕様なので大丈夫です」という返答だけでは、製品も性能も分かりません。比較に必要なのは、営業担当者の安心という言葉ではなく、製品仕様と施工方法です。

ひつヤギ君

「おすすめは何ですか」と聞くだけでは、十分じゃないんだね。

じギィ博士

うむ。おすすめという言葉より、製品名、規格、採用理由、通気経路、施工方法を聞くことじゃ。具体的に答えてもらえば、その住宅に合った選択かを後からでも検証できるぞ。

迷ったときの最終判断

予算と性能のバランスを取りたい一般住宅では、ARK 04s適合の改質アスファルトルーフィングを最低ラインではなく比較の出発点にします。そのうえで、長寿命屋根材なら高耐久品、緩勾配やカバー工法なら粘着層付き、屋根通気まで設計するなら透湿型、夏の熱負荷も抑えたいなら遮熱機能付きへ進みます。

反対に避けたいのは、次の選び方です。

  • 「940は絶対駄目」「高分子系なら絶対長持ち」と材料名だけで断定する
  • 屋根材の寿命だけを見て、下葺材を確認しない
  • 「ゴムアス」「高耐久」という曖昧な仕様のまま契約する
  • 透湿・遮熱シートだけ追加し、通気層を確認しない
  • 粘着層付きなら屋根材の釘やビスもなくなると思う
  • 高価な製品なら施工不良も補えると考える

ルーフィングは完成すると見えなくなります。だからこそ、見える屋根材より先に仕様を決め、施工中に確認しておく価値があります。

屋根材、ルーフィング、勾配、通気、施工。この5つがそろって初めて、雨に強く、長く使える屋根になります。

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この記事を書いた人

家について調べるのが好きな、ひつじ年・山羊座の偶蹄目科の♂です。
家づくりの「なぜ?」を調べるのが趣味です。
調べて、考えて、納得したことを自分なりに整理して発信しています。このこのサイトが、皆さんの家づくりの「なぜ?」を解決する手助けになればうれしい……メェ。笑

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