間取り図鑑No.002
主寝室
Primary Bedroom
夫婦の就寝を中心に考える部屋。必要な広さは畳数だけでは決まらず、ベッド本体の外寸・左右の通路・収納・窓・隣室との関係によって使いやすさが変わる。
選ぶポイントは、6畳か8畳かではなく、ベッドを置いた後に、どこへ何cmの余白が残るかにある。

| 広さ | 動線 | 収納 | プライバシー |
| ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
※星が多いほど、その場所を計画するときに慎重な検討が必要となる。
主寝室とは?
主寝室は、住宅の中心となる就寝室。夫婦二人で使う場合が多いが、同じベッドで寝るのか、ベッドを分けるのかによって必要な幅は大きく変わる。
一般的なマットレスは、シングルが幅約97cm、ダブルが約140cm、クイーンが約170cm。シングルを2台並べれば、マットレスだけで約194cmとなる。
ただし、図面へ入れるのはマットレス寸法ではない。ヘッドボードやフレームを含むベッド全体の外寸が必要となる。マットレスの長さが約195cmでも、ベッド全体では200cmを超える商品がある。
「6畳ならダブルベッドを置ける」という判断でも足りない。同じ面積でも、正方形に近い部屋と細長い部屋では、左右の通路、収納前の余白、置けるベッドの向きが異なる。
- ベッドは、マットレスではなくフレーム外寸で考える
- 同じ畳数でも、部屋の縦横比によって使いやすさが変わる
- 就寝中の二人が、それぞれどう出入りするかまで確認する

主な種類と違い
中央配置|二人が左右から出入りできる

ダブルやクイーンなどのベッドを、部屋の中央へ置く配置。
左右に通路を取れるため、それぞれが自分の側から寝起きしやすい。枕元へ照明、コンセント、サイドテーブルを左右に分けて配置できる。
一方、ベッドの両側へ余白が必要となるため、部屋の横幅を使う。窓やクローゼットが壁面を分断していると、中央に置けても収納扉を開けられない場合がある。
左右を同じ幅にそろえることより、寝室の入口から二人それぞれの寝る位置へ無理なく移動できるかを優先したい。
壁寄せ配置|通路を一方へまとめられる

ベッドの片側を壁へ寄せ、反対側に通路をまとめる配置。
限られた部屋でも比較的大きなベッドを置きやすく、チェストやデスクを置く余白もつくりやすい。
ただし、壁側で寝る人は、相手をまたぐか足元まで移動しなければならない。壁に接する側は、シーツ交換やベッド下の掃除もしにくくなる。
小さな子どもとの添い寝には使いやすい場合もあるが、夫婦二人で長く使うなら、壁側の人が毎日どう出入りするかまで考える必要がある。
ツイン配置|寝起きと寝具を分けられる

シングルなどのベッドを2台置き、中央にも通路を取る配置。
マットレスの硬さ、掛け布団、就寝時間を個別にしやすい。片方のマットレスだけを交換でき、体調や生活時間が変わったときにも対応しやすい。
一方、ベッドの外側と中央に余白が必要となるため、最も部屋の横幅を使う。中央通路を確保しても、寝室入口や収納へつながらなければ使いにくい。
現在はベッドを密着させる場合も、将来離せるように、窓・コンセント・照明を片側へ寄せすぎないことが重要となる。
メリット・デメリット
- 二人の就寝位置に合わせて設備を計画できる
- 寝具を常設したまま休める
- 就寝前後の動作を寝室内で完結しやすい
- 大きなベッドが部屋の使い方を固定しやすい
- 起床時間が違うと、照明や収納の音で相手を起こしやすい
- 窓、収納扉、エアコンを先に決めると、ベッド位置が制限される
畳数ではなく、ベッドを置いた後の余白を見る
主寝室では、部屋全体の面積より、ベッドの周囲に残る幅が重要となる。
たとえば、幅145cmのベッドを幅265cmの部屋へ中央配置すると、左右の余白は約60cmずつとなる。同じベッドを幅240cmの部屋へ置けば、左右は約47cmずつしか残らない。
どちらも図面上はベッドを置ける。しかし、着替え、シーツ交換、二人のすれ違いまで考えると、使いやすさは同じではない。
計画目安としては、次のように考えると分かりやすい。
- 毎日使うベッド脇:60cm前後
- 使用頻度の低いベッド脇:45~50cm程度
- 足元を通路にする場合:60cm前後
- クローゼット前:扉を開けても人が立てる幅
- ベッド下収納:引き出しを最後まで出せる幅
これらは法律上の最低寸法ではない。体格、着替え方、介助の可能性によって必要な幅は変わる。
図面ではベッドの長方形だけでなく、人が立つ位置、収納扉、引き出し、掛け布団が垂れる範囲まで重ねたい。
選ぶときに役立つ三つの視点
一人当たりの寝る幅を見る

ダブルベッドは二人用として販売されるが、幅140cmなら一人当たり約70cmとなる。クイーン幅170cmなら、一人当たり約85cm。シングル2台なら、約97cmずつ使える。
夫婦の体格、寝返り、掛け布団の使い方によって必要な幅は異なる。広いベッドを選んでも、部屋の通路がなくなれば使いにくい。
「何サイズのベッドが入るか」ではなく、一人当たりの寝る幅と、ベッド周囲の余白を両方確保できるかを見る。
二人の夜間動線を分けて見る

夜中に一人がトイレへ行く場合、相手をまたいだり、ベッドの足元を大きく回ったりする配置は使いにくい。
確認したいのは、寝室入口からベッドまでの最短距離ではない。左右それぞれの寝る位置から、寝室の外へ出るまでの経路となる。
開き戸がベッドへ当たらないか、暗い状態でも家具の角へぶつからないかを見る。壁寄せ配置では、壁側の人が毎日どちらから出入りするかまで決めておきたい。
光・音・風を左右別に見る

同じベッドで寝ていても、窓、廊下、エアコンとの距離は左右で異なる。
窓に近い側は、朝日、外の音、冬の冷気の影響を受けやすい。エアコンの正面にベッドを置けば、一方だけへ風が当たり続ける場合がある。
頭側の壁の向こうがトイレ、浴室、階段、テレビ壁なら、排水音や足音、テレビの音が枕元へ伝わりやすい。
平面図には枕の位置まで入れ、夫婦それぞれが受ける光・音・風の違いを確認する。
選択肢になる住宅・注意したい条件
- ベッドを置く壁が、窓や扉で細かく分断されていない
- 二人がそれぞれ自分の側から出入りできる
- ベッド位置を決めてから照明とコンセントを配置している
- 畳数だけでベッドが置けると判断している
- クローゼット前とベッド脇の通路が重なっている
- 枕元へエアコンの風や隣室の生活音が届く
購入前の確認と注意点
ベッドの頭側に何があるか確認する

主寝室では、ベッドの周囲だけでなく、頭側の壁の向こう側も確認したい。
壁の反対側にトイレ、浴室、階段、テレビがあると、排水音、足音、テレビの音が枕元へ伝わりやすい。
完成後にベッドの向きを変えようとしても、窓、収納扉、コンセントの位置によって変更できない場合がある。
寝室だけを切り取らず、隣室の設備や家具まで図面へ入れ、生活音が出る場所と枕の位置を離せるかを見る。
収納を使う時間まで考える

主寝室内のクローゼットは、衣類をまとめやすい一方、寝ている人の近くで扉や引き出しを開けることになる。
夫婦の起床時間が違う家庭では、照明、ハンガー、引き出しの音で相手を起こしやすい。夜勤や早朝勤務がある場合は、主寝室を通らず使える収納や、廊下・洗面室側へ普段着を分ける方法も検討したい。
収納量だけでなく、誰が何時に着替えるかまで考えて、クローゼットの入口と照明を決める。
二台に分けた配置も図面へ入れる

現在はダブルやクイーンを一台置く予定でも、将来も同じ寝方を続けるとは限らない。
生活時間、体調、介護、好みの変化によって、シングルベッドを二台に分けたくなる場合がある。
一台を中央へ置く図面だけでなく、二台を離した配置も作り、窓、収納扉、寝室入口と干渉しないか確認したい。
照明とコンセントも中央だけに寄せず、ベッドを分けたときに左右で使える位置へ用意しておく。
ひつヤギ君6畳あれば、ダブルベッドは問題なく置ける?
じギィ博士置けるかどうかと、二人が使いやすいかは別じゃ。ベッドを置いた後の左右、足元、収納前に何cm残るかを見るのじゃ。
暮らしをつくる12の図鑑
HOUSE BUILDING ENCYCLOPEDIA
家づくりの知識を、ひとつずつ。
じギィ博士の研究ノート


