間取り図鑑No.003
子ども部屋
Children’s Room
寝る、勉強する、着替える、持ち物を管理するための個室。必要な広さは子どもの年齢ではなく、大人用ベッド・学習机・収納を置いた後に残る通路から考える。
選ぶポイントは帖数だけでなく、使える壁の長さ・家具の置き方・思春期のプライバシー・将来分割の設備計画にある。

| 広さ | 動線 | 収納 | プライバシー |
| ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
※星が多いほど、その場所を計画するときに慎重な検討が必要となる。
子ども部屋とは?
子ども部屋は、幼児期から同じ使い方を続ける部屋ではない。
小さいうちは遊び場として使い、小学生になると学用品が増える。中学生以降は、大人とほぼ同じ大きさのベッドや机を使い、着替えやオンライン通話など、家族から離れて過ごす時間も長くなる。
そのため、幼児用の小さな家具で間取りを確認すると、成長後に通路が消えやすい。計画時には、最も家具が大きくなる中学生以降の状態を図面へ入れておきたい。
子ども部屋を広くすればよいわけでもない。勉強をLDKで行う家庭なら、個室は寝る、着替える、持ち物を置く機能に絞れる。一方、机、本棚、楽器、部活動用品まで置くなら、それに合う壁面と床面積が必要となる。
- 幼児用家具ではなく、成長後の家具で広さを考える
- 帖数より、ベッドと机を置ける壁の長さが重要
- 将来分割は、壁を追加できるだけでは成立しない

主な種類と違い
独立個室

子ども一人につき一室を設け、壁、ドア、窓、収納を最初から分ける形。
入居時から音や照明を分けられ、年齢差のある兄弟にも対応しやすい。片方が早く寝ても、もう片方が机を使いやすい。
一方、小さいうちは個室を使わず、空室になりやすい。二室を細かく区切ることで、それぞれの家具配置が窮屈になる場合もある。
広さを均等にするだけでなく、窓、収納、エアコン、廊下からの音まで両室で比較する必要がある。
将来分割

幼児期は広い一室として使い、必要になった時点で間仕切り壁を設ける形。
小さいうちは広い遊び場として使え、個室が必要になるまで部屋を分断しない。ただし、中央へ壁を追加できるだけでは不十分となる。
分割後の両室に、入口、窓、照明、スイッチ、コンセント、収納、エアコンの設置場所が必要。片方だけが窓や空調を使える計画では、二室へ分けても使いにくい。
住宅の居室には採光や換気に関する条件があるため、分割後の各室が居室として成立するかも設計段階で確認したい。
コンパクト個室

机や本棚を共有の学習スペースへ出し、個室にはベッド、衣類、最低限の私物だけを置く形。
個室を小さくしやすい一方、机を置かないことを前提に広さを削りすぎると、生活の変化へ対応できない。受験勉強やオンライン授業を個室で行いたくなっても、机を追加できない場合がある。
コンパクトにするなら、机を置く可能性のある壁を一本残し、コンセントも用意しておきたい。現在の使い方を固定するのではなく、家具を追加できる余白を残す計画となる。
メリット・デメリット
- 睡眠と家族の生活時間を分けやすい
- 学用品や衣類の持ち主を分けられる
- 成長に合わせてプライバシーを確保できる
- 幼児期は使われないことがある
- 小さく区切ると家具配置が固定されやすい
- 将来分割では両室の条件に差が出やすい
子ども部屋は帖数より「使える壁」で決まる
同じ4.5帖や6帖でも、家具の置きやすさは同じではない。
窓、ドア、収納扉が壁を細かく分断すると、ベッドや机を置ける連続した壁がなくなる。床面積が確保されていても、家具を置くたびに窓や収納をふさぐ部屋となる。
一般的なシングルベッドは長さが約2mある。机には本体の奥行きだけでなく、椅子を引く空間も必要となる。さらに、ベッドへ入る通路と収納を開ける場所が重ならなければならない。
確認したいのは、家具を置けるかではなく、家具を使っている状態でも歩けるか。椅子を引き、収納扉を開けた図を重ねると、実際に残る床が分かる。
選ぶときに役立つ三つの視点
成長後の家具で通路を見る

新築時に幼児用ベッドや小さな机を置けば、部屋は広く見える。しかし、その家具は数年で使わなくなる。
図面には、大人用のシングルベッド、学習やパソコン作業ができる机、本棚、衣類収納を入れる。椅子を引いた状態でも、入口からベッドまで歩けるかを見る。
ロフトベッドで床を広く使う案もあるが、それを前提に部屋を小さくすると、通常のベッドへ替えたときに成立しない。特殊な家具を使わなくても納まるかを先に確認したい。
机とベッドを置ける壁を分けて見る

ベッドの横へ机を置けても、枕元へ窓が来たり、椅子が収納扉へ当たったりすれば使いにくい。
ベッドには約2mの連続した壁、机には椅子を引ける奥行きが必要となる。窓の下へ机を置く場合は、カーテンが机へ当たらないか、窓を開閉できるかも確認する。
「この辺にベッド」「空いた場所に机」ではなく、ベッド用の壁と机用の壁を一つずつ確保できるかを見る。
音と視線を思春期の状態で見る

子ども部屋のプライバシーは、鍵を付けることではなく、室内の声や視線をどこまで分けるかで考える。
兄弟の部屋を隣り合わせる場合、ベッドの頭側同士を同じ薄い壁へ寄せると、話し声や物音が伝わりやすい。収納を間に挟む、ベッドの位置をずらすなど、家具配置でも影響を減らせる。
階段を上がった正面に入口があると、ドアを開けたときにベッドまで見える場合がある。小さい頃ではなく、中高生になったときの音と視線で確認したい。
選択肢になる住宅・注意したい条件
- ベッドと机に使える連続した壁を確保できる
- 兄弟の年齢差や就寝時間を踏まえて個室を分けたい
- 将来分割後の入口、窓、空調まで先に計画できる
- 帖数だけを決め、成長後の家具を図面へ入れていない
- 一室を中央で割れば二部屋になると考えている
- ロフトベッドなど特定の家具を使わないと成立しない
購入前の確認と注意点
将来分割後の二室を完成形で確認する

将来分割を採用するなら、広い一室の図面だけでは判断できない。壁を設けた後の二室を、別の平面図として作成してもらいたい。
各室に入口、窓、照明、スイッチ、コンセント、収納、エアコン用コンセントと配管経路があるかを見る。間仕切り予定位置に床暖房や天井照明、点検口がまたがっていないかも確認する。
壁の下地を準備するだけでなく、分割後に二人が同時に生活できる状態まで図面化することが重要となる。
家具を使用中の状態で図面へ入れる

家具は外形だけではなく、椅子を引いた状態、収納扉を開けた状態、ベッドへ出入りする位置まで入れる。
特に確認したいのが、入口付近へ置く机と、クローゼット前へ置くベッド。扉を開けるたびに椅子を動かしたり、ベッドの上へ立たなければ衣類を取れなかったりする配置は避けたい。
現在使っている家具ではなく、成長後に使う予定の最大寸法で確認する。
窓と高い家具の位置を重ねる

子ども部屋では、ベッド、机、本棚、ロフトベッドなど、窓の近くへ家具が置かれやすい。
低い窓の前へベッドや机を置くと、家具が足掛かりになる場合がある。カーテンやブラインドの操作コードが、ベッドの枕元へ垂れない配置も必要となる。
図面では窓だけを見るのではなく、将来置く可能性がある高い家具まで重ねて確認する。
ひつヤギ君子ども部屋は、最初から一人一部屋つくったほうがいいの?
じギィ博士家族によって違うが、部屋数だけを先に決める必要はないぞ。大切なのは、個室が必要になった時期に、寝る・学ぶ・しまう・一人で過ごすが無理なくできることじゃ。
暮らしをつくる12の図鑑
HOUSE BUILDING ENCYCLOPEDIA
家づくりの知識を、ひとつずつ。
じギィ博士の研究ノート

