外壁図鑑No.005
塗り壁
Exterior Wall Plaster
仕上げ材を現場で塗り、色や模様、凹凸をつくる外壁仕上げ。
継ぎ目の少ない外観と豊かな質感が魅力となる一方、性能は仕上げ材だけでは決まらない。下地・下塗り材・補強材・仕上げ材を一つの工法として見ることが選ぶポイントとなる。

| デザイン | 初期費用 | 耐久性 | メンテナンス |
| ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
塗り壁外壁とは?
液状やペースト状の仕上げ材を、コテ、ローラー、吹付けなどで施工する外壁仕上げ。
サイディングのような板を張り並べるのではなく、現場で壁面へ塗るため、継ぎ目を抑えた一体的な外観をつくりやすい。色だけでなく、骨材の大きさ、塗る厚さ、道具の動かし方によって表情が変わる。
ただし、塗り壁は外壁の一番外側にあたる仕上げ。建物を支える下地や、雨水を防ぐ防水層まで含めた名称ではない。
- 継ぎ目の少ない一体的な外観
- 材料と塗り方によって質感が変わる
- 仕上げ材だけでなく、下地との組み合わせが重要

モルタル外壁との違い

違いは、表面の見た目ではなく、仕上げ材の下にモルタル層があるかにある。
モルタル外壁だけに当たる例
防水紙 → ラス → モルタル → 塗装
モルタルで外壁下地をつくり、一般的な外壁塗料で仕上げる構成。
モルタル外壁と塗り壁の両方に当たる例
防水紙 → ラス → モルタル → 意匠用塗り壁材
モルタルで下地をつくり、その上へコテ模様などを付ける構成。下地はモルタル外壁、表面は塗り壁仕上げとなる。
| モルタル外壁 | 塗り壁 | |
|---|---|---|
| 表しているもの | 外壁下地の工法 | 表面の仕上げ方法 |
| 主に見る部分 | 防水紙・ラス・モルタル | 下地処理・ベースコート・仕上げ材 |
| 主な注意点 | 塗り厚、乾燥、ひび割れ、防水 | 下地との適合、汚れ、模様、改修方法 |
外観だけでは、モルタル下地か専用ボード下地かを見分けられない。塗り壁を選ぶときは、表面材の商品名だけでなく、その下に何があるかを確認する。
※「塗り壁」は広い意味でモルタル外壁を含むこともある。本記事では重複を避けるため、意匠用の仕上げ材を使った外壁を「塗り壁」として解説する。
主な種類と違い
樹脂系|色と模様の選択肢が多い

アクリル樹脂などを結合材とし、砂や骨材を混ぜた仕上げ材。
コテ塗り、ローラー、吹付けなどに対応し、模様と色の種類が豊富。製品によって、低汚染、防藻・防かび、ひび割れ追従などの機能が付く。
同じ樹脂系でも性能は一律ではない。樹脂の名称だけで判断せず、屋外使用の可否、対応する下地、耐候性、改修方法を確認する。
石灰・セメント系|落ち着いた素材感

石灰やセメントなどを主成分とする仕上げ材。光沢を抑えた質感や、左官らしい自然な濃淡をつくりやすい。
硬質な材料は、下地が動くとひび割れが表面へ現れることがある。材料単体の硬さではなく、下地処理、補強材、目地の位置まで含めて考える必要がある。。
土・火山灰・鉱物系|材料そのものの表情を生かす

土、火山灰、砂、鉱物などの素材感を生かした仕上げ材。
粒の大きさや自然な色幅が外観へ現れやすく、均一な工業製品とは異なる表情をつくれる。一方、原料名が同じでも、結合材や施工方法、吸水性、改修方法は製品ごとに異なる。
「自然素材」という呼び方だけで耐久性や手入れの少なさは判断できない。
メリット・デメリット
- 継ぎ目を抑えた外観をつくれる
- 色と質感の組み合わせが豊富
- 曲面や細かな形へ対応しやすい
- 仕上がりに施工差が出やすい
- 凹凸へ汚れが残ることがある
- 部分補修を目立たなくするのが難しい
選ぶときに役立つ三つの視点
商品名より、下地との組み合わせを見る

気に入った仕上げ材が、すべての下地へ使えるとは限らない。
モルタル、窯業系ボード、専用下地、外断熱材では、必要な下地処理やシーラーが異なる。既存サイディングの上へ施工する改修工法も、目地処理や指定仕上げ材が決められている。
比較するときは、仕上げ材の名称だけでなく、どの下地へ、何を挟み、どの仕上げ材を塗るのかを見る。
雨が当たる場所と当たらない場所を分けて考える

外壁の汚れ方は、方角だけでは決まらない。
雨が当たる壁は汚れが流れる一方、窓下には雨水が集中しやすい。深い軒の下やバルコニー内側は雨が届きにくく、ほこりが残ることもある。日当たりの少ない北面や植栽に近い壁は、乾きにくさも確認したい。
将来どのように塗り直すかを見る

塗り壁の改修方法は、一般的な外壁塗料をそのまま上から塗ればよいとは限らない。
既存の質感を残せる専用トップコート、同じ仕上げ材による塗り重ね、模様を作り直す全面改修など、製品によって方法が異なる。メーカーによっては、既存の風合いを残す改修専用材も用意している。
新築時に、塗り替え可能な材料と、模様を残せる改修方法まで確認しておく。
選択肢になる住宅・注意したい条件
- 継ぎ目の少ない外観をつくりたい住宅
- 既製品にはない色や質感を求める住宅
- 下地から仕上げまで指定された工法で施工できる住宅
- 軒が短く、壁へ雨が強く当たる住宅
- 下地と仕上げ材の組み合わせが不明な計画
- 部分補修を完全に目立たなくしたい場合
購入前の確認と注意点
外壁材ではなく、施工システム名を確認する

「外壁塗り壁仕上げ」だけでは、使用する材料の組み合わせが分からない。
見積書では、下地、補強材、ベースコート、シーラー、仕上げ材を確認。メーカーの標準施工仕様と同じ組み合わせになっているかを見る。
数年経過した施工例を見る

完成直後の施工例だけでは、色あせや汚れ方まで判断できない。
可能なら、同じ材料を使用して数年たった住宅を見る。正面だけでなく、北面、軒下、窓下、外壁の下端を確認すると、実際の変化をつかみやすい。
改修方法を先に確認する

採用前に、洗浄方法、部分補修、再塗装に使える材料を確認する。
仕上げ材によっては、強い高圧洗浄や適合しない塗料が表面を傷めることもある。施工会社が変わっても確認できるよう、商品名、色番号、模様名、標準改修仕様を残しておく。
ひつヤギ君塗り壁の家は、全部モルタル外壁なの?
じギィ博士塗り壁は表面の仕上げ。下地はモルタルとは限らず、専用ボードや外断熱材の場合もある。外から見ただけでは判断できないぞ。
暮らしをつくる12の図鑑
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家づくりの知識を、ひとつずつ。
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