外壁図鑑No.006
ALC
Autoclaved Lightweight aerated Concrete
セメントや石灰質・けい酸質の原料を、高温高圧の蒸気で養生した軽量気泡コンクリートパネル。
内部の細かな気泡によって、一般的なコンクリートより軽く、耐火性や断熱性にも優れる。一方、ALC本体は水を吸いやすいため、塗装・目地シーリング・開口部の防水を一組で考える外壁材となる。

| デザイン | 初期費用 | 耐久性 | メンテナンス |
| ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
塗り壁外壁とは?
ALCは、内部に無数の細かな気泡を持つコンクリート系のパネル。工場で板状に成形し、内部へ補強材を入れ、高温高圧の蒸気で養生してつくられる。
外壁では、パネルを金物やビスで躯体へ取り付け、継ぎ目へシーリング材を充填し、表面を塗装して仕上げる。サイディングのように工場で完成した塗装品だけでなく、無塗装のパネルを現場で仕上げる製品もある。
注意したいのは、ALCそのものへ高い防水性があるわけではないこと。気泡構造は軽さや断熱性につながる一方、水を吸いやすい性質も生む。雨から守る役割は、主に表面の塗膜と目地・開口部の防水が担う。
- 軽さ・耐火性・断熱性を持つコンクリート系パネル
- 厚さによって、使う建物や取付方法が異なる
- 長持ちさせる鍵は、パネル本体より塗膜と目地の防水

主な種類と違い
厚形・薄形|厚さだけで優劣を決めない

厚さによって大きく二つに分かれる。
| 区分 | 厚さ | 主な用途の傾向 |
|---|---|---|
| 厚形パネル | 75mm以上200mm以下 | 鉄骨造のビル、共同住宅など |
| 薄形パネル | 35mm以上75mm未満 | 木造・軽量鉄骨造の住宅など |
住宅の35mm・37mm・50mm程度の製品と、鉄骨建築で使われる100mm程度のパネルは同じALCでも取付方法や用途が異なる。
平パネル・意匠パネル|模様の深さまで見る

表面が平らな平パネルと、凹凸模様を加工した意匠パネルがある。
平パネルは、塗装の色や仕上げ模様を生かしやすい。意匠パネルは、彫りの深さによって陰影をつくれる一方、凹部へ汚れが残りやすく、部分補修では模様を合わせにくい。
取付方法|外壁を固定しすぎない

厚形パネルの外壁では、縦壁ロッキング構法など、建物の変形にパネルが追従できる取付方法が使われる。パネルを一枚ずつ微小に動かし、地震時の躯体変形をそのまま外壁へ伝えにくくする仕組み。
薄形パネルは、住宅の下地へ専用ビスや金物で固定する。厚形と薄形では、固定方法も目地の考え方も同じではない。
ALCという材料名だけでなく、建物の構造・パネルの厚さ・取付構法を一組で確認する。
メリット・デメリット
- 軽量で建物への負担を抑えやすい
- 耐火性に優れる
- 断熱性と遮音性を得やすい
- 塗膜が傷むと水を吸いやすい
- 目地が多く、シーリングの管理が必要
- 衝撃で欠けることがある
選ぶときに役立つ三つの視点
パネルではなく、防水の三点セットを見る

ALC外壁の防水は、主に「表面の塗膜」「パネル間の目地」「窓や配管まわりのシーリング」で成り立つ。
高耐久塗料を選んでも、目地のシーリングが先に硬化・剥離すれば水の入口ができる。反対に、シーリングだけを高性能品へ変えても、ALCに適合しない塗料では付着不良や膨れにつながることがある。
比較するときは、ALC・塗料・シーリング材を別々の上位品としてではなく、適合する一つの防水仕様として見る。
目地を隠すより、動ける納まりを見る

ALCの目地は、単なる見た目の線ではない。建物やパネルの動きを受け、ひび割れを集中させない役割も持つ。
厚形パネルの伸縮目地では、シーリングを左右の二面へ接着させ、奥へ接着させない納まりが基本となる。三面へ固着すると、動いたときにシーリングへ無理な力がかかりやすい。
目地を少なく見せることだけを優先せず、どこを動かし、どこで水を止める設計かを確認する。
下端・窓まわり・設備貫通部を見る

広い壁面より先に見たいのが、外壁の下端、窓まわり、換気口や配管の貫通部。
下端は雨の跳ね返りを受けやすく、欠けや塗膜切れも起こりやすい。窓まわりは、ALCとサッシという異なる材料が接するため、動きの差をシーリングで吸収する。設備貫通部では、後から配管を追加した部分の防水処理が弱点になりやすい。
壁の中央だけを見て「ALCは丈夫」と判断せず、端部と異種材料の境目まで含めて外壁を見る。
選択肢になる住宅・注意したい条件
- 耐火性を重視し、コンクリート系の重厚な外観を求める住宅
- 塗装による色や意匠の自由度を生かしたい住宅
- 塗膜と目地を定期的に点検し、計画的に補修できる住宅
- 「ALCは長寿命だから塗装不要」と考えている計画
- 海沿い・積雪地・雨の跳ね返りが多い場所で、端部の納まりを確認していない住宅
- 自転車や荷物がぶつかりやすい狭い通路へ、無防備に採用する計画
購入前の確認と注意点
後付けする設備を先に決める

庇、物干し、照明、配管カバーなどを付ける場合、ALCパネルだけで重量を受けられるとは限らない。
取り付ける物の重さに合わせ、躯体や補強下地へ固定するのか、ALCに対応する専用金物を使うのかを決めておく。エアコン配管や換気口の位置も先に決めれば、完成後の穴あけと防水補修を減らせる。
補修跡を含む施工例を見る

ALC外壁は、目地、ビス穴、欠けを補修してから現場塗装する。小さな色見本だけでは、補修部や目地がどの程度見えるか分からない。
完成住宅では正面だけでなく、光が斜めに当たる壁、窓まわり、建物の角を見る。現場仕上げとして許容できる見え方かを確認する。
保証を三つに分けて読む

ALC外壁の保証は、パネル本体、塗装、シーリングで対象や期間が異なることがある。
「外壁○年保証」という数字だけでなく、ひび割れ、欠け、塗膜の剥がれ、目地の切れ、雨水の侵入がそれぞれ対象になるかを確認する。指定時期の点検や補修を行わないと保証から外れる条件も読んでおく。
ひつヤギ君ALCはコンクリートだから、雨にも強いんじゃないの?
じギィ博士火には強いが、水を止めるのは主に表面の塗膜と目地じゃ。パネルが丈夫でも、防水まで永久とは限らないぞ。
暮らしをつくる12の図鑑
HOUSE BUILDING ENCYCLOPEDIA
家づくりの知識を、ひとつずつ。
じギィ博士の研究ノート


