外壁図鑑No.004

モルタル

Exterior Wall Tile

セメント・砂・水を練った材料を下地へ塗り重ね、塗装や吹付材などで表面を仕上げる外壁。

継ぎ目の少ない一体的な外観と、左官ならではの質感が魅力。一方、仕上がりは表面材だけでなく、下地の構成、ひび割れ対策、乾燥期間によって大きく変わる。

スクロールできます
デザイン初期費用耐久性メンテナンス
★★★★★★★☆☆☆★★★☆☆★★☆☆☆

モルタル外壁とは?

防水紙の上へ金網状のラスを取り付け、モルタルを塗ってつくる外壁。表面には塗装、吹付材、左官材などを施工する。

サイディングのように工場製品を張り並べるのではなく、現場で材料を塗り重ねて壁をつくる点が大きな特徴。曲面や細かな形にも対応しやすく、継ぎ目を目立たせない外観をつくれる。

ただし、「モルタル」という名称だけでは性能を判断できない。防水紙、ラス、モルタル、補強材、仕上げ材まで含めた壁全体を見る必要がある。

POINT
  • 継ぎ目の少ない一体的な外観
  • コテや吹付けによる多彩な表情
  • ひび割れは幅だけでなく、位置・深さ・変化を見る

主な仕上げと違い

リシン仕上げ|細かな砂粒を吹き付ける

細かな骨材を含む仕上げ材を吹き付け、砂壁のような表情をつくる方法。

薄く仕上げるため、落ち着いた質感を出しやすく、施工費も比較的抑えやすい。一方、表面がざらついているため、ほこりや藻が付きやすく、下地のひび割れが表面へ現れることもある。

スタッコ仕上げ|厚みのある凹凸をつくる

厚付けの仕上げ材を吹き付けたり、コテやローラーで押さえたりして、立体的な模様をつくる方法。

重厚感を出しやすく、光の当たり方によって表情が変わる。凹凸が深いほど陰影は強くなるが、溝へ汚れが残りやすく、部分補修では模様の違いも目立ちやすい。

吹付タイル|模様の上を塗膜で覆う

下塗り、模様をつくる主材、表面を保護する上塗り材を重ねる仕上げ。

表面を滑らかに仕上げるものから、凹凸を残すものまで選べる。上塗り材によって色や光沢を調整しやすい一方、年月がたつと塗膜の色あせや硬化が進むため、再塗装が必要となる。

名称に「タイル」と付くが、陶磁器製のタイルを張る工法ではない。

メリット・デメリット

メリット
  • 継ぎ目を抑えた一体的な外観をつくれる
  • 曲面、斜めの壁、細かな納まりにも対応しやすい
  • 塗り替えによって色や機能を更新できる
注意点
  • 乾燥収縮や建物の動きによってひび割れが生じることがある
  • 職人の技量や施工時の天候によって仕上がりに差が出やすい
  • 表面の汚れや藻が凹凸に入り込む場合がある

選ぶときに役立つ三つの視点

大きな塗り見本を、横からの光で見る

モルタル仕上げは、色よりも凹凸と影の影響を受けやすい。

室内で見る小さな見本では穏やかでも、外壁全体へ施工すると模様が強く見えることがある。深い凹凸は陰影を生む一方、ほこりや雨だれも残りやすい。

最低でもA3程度、可能ならさらに大きな塗り見本を屋外で確認。正面だけでなく、朝夕を想定した横からの光でも見る。

窓の角と長い壁から、ひび割れの道筋を考える

ひび割れは、壁のどこにでも同じ確率で現れるものではない。

窓の角、壁の幅が急に変わる部分、異なる下地が接する部分、継ぎ目のない長い壁は力が集中しやすい開口部が多い住宅や大きな窓を設ける住宅では、外観だけでなく補強方法まで確認したい。

補強メッシュやラスの追加はひび割れを抑える手段となるが、完全に発生を防ぐ保証ではない。建物の形、下地の動き、乾燥収縮をまとめて考える必要がある。

部分補修後の見え方まで決める

モルタル外壁は補修できるが、補修跡を完全に消せるとは限らない。

年月が経った壁は、紫外線、雨、汚れによって色が変化する。同じ品番の材料を使っても、新しく塗った部分だけ明るく見えることがある。コテ模様や吹付けの粒まで再現するには、施工記録と職人の技術も必要。

将来は部分補修で済ませるのか、一定範囲を塗り直すのか。完成時から補修方針を考えておくと、判断しやすくなる。

選択肢になる住宅・注意したい条件

検討しやすい住宅
  • 継ぎ目を見せない外観をつくりたい
  • 曲面や塗り壁らしい質感を取り入れたい
  • 工場製品にはない手仕事の表情を求めている
注意したい条件
  • 大きな窓や長い壁が多く、ひび割れ対策が不明
  • 工期が短く、各工程の乾燥期間を確保しにくい
  • 「モルタル一式」としか仕様書に書かれていない

購入前の確認と注意点

工程表で「乾かす日」を見る

モルタルは、塗る作業だけでなく、下塗りと上塗りの間に乾燥・養生が必要となる。

工程表では施工日数だけでなく、雨天や低温で乾燥が遅れた場合に、日程を延ばせるかを確認する。工期を優先して次の工程へ進めば、ひび割れや仕上げ不良の原因となる。

目地や見切りの位置を立面図で見る

継ぎ目の少ないモルタル外壁でも、壁の長さや建物の形によって目地や見切り材が必要になる。

特に確認したいのは、大きな窓のまわり、長く続く壁、モルタルと別の外壁材が接する部分。完成後に見える線を立面図へ書き込み、外観とのバランスを見る。

足場を外す前に、離れて確認する

仕上げ直後は、足場や養生シートによって壁全体を見渡しにくい。

足場を外す前に、日中の自然光でコテ模様、色むら、補修跡、窓まわりの仕上がりを確認する。近くで細部を見るだけでなく、建物から離れ、壁全体の模様が偏っていないかを見ることが重要となる。


ひつヤギ君

小さなひび割れが一本でもあったら、施工不良なの?

じギィ博士

幅だけでは判断できないぞ。表面の塗膜だけか、モルタルの奥まで続いているか、窓の角から伸びているか、時間とともに広がっているかを見る。雨染み、浮き、錆色の汚れを伴う場合は、早めの調査が必要じゃ。

暮らしをつくる12の図鑑

HOUSE BUILDING ENCYCLOPEDIA

家づくりの知識を、ひとつずつ。

じギィ博士の研究ノート