屋根図鑑No.017
透湿ルーフィング
Breathable Roofing Underlayment
雨水を止めながら、屋根内部の水蒸気を外側へ通す下葺き材。
選ぶポイントは、シート単体の透湿性ではなく、湿気の出口までつながる屋根構成。

| 耐久性 | 破れにくさ | 釘穴止水性 | コスト |
| ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
透湿ルーフィングとは?
屋根材の下に敷き、入ってきた雨水を軒先へ流しながら、野地板側の水蒸気を屋外へ逃がす防水シート。
水蒸気は通しても、雨粒は通しにくい構造を持つ。穴が開いて空気が自由に抜ける材料ではない。
一般的なアスファルトルーフィングは防水性が高い一方、水蒸気を通しにくい。透湿ルーフィングは、野地板に入った湿気を乾燥側へ移動させやすくする。
ただし、シートを透湿タイプへ替えるだけでは結露対策にならない。通過した水蒸気を排出する通気層と出口が必要となる。
- 雨水と水蒸気は大きさと状態が異なる
- 湿気を通しても、通気層がなければ排出しにくい
- 防水性・釘穴止水性・耐久性は別に確認する

一般的なルーフィングとの違いは「乾く方向を残せること」
野地板は、室内側から移動した水蒸気や施工時の含水、わずかな雨水で湿ることがある。
アスファルト系の下葺き材は水分を通しにくいため、屋根の内側で乾燥させる設計が基本となる。透湿ルーフィングは、外側へ乾く経路もつくれる。
ここで重要なのは、透湿ルーフィングが湿気を吸い取る材料ではないこと。水蒸気が移動できるのは、シートの両側に水蒸気圧の差があるときに限られる。
メリット・デメリット
- 野地板の外側にも乾燥経路をつくれる
- 軽量な製品が多く、屋根上で扱いやすい
- 高温時のべたつきを抑えた非アスファルト製品がある
- 一般的な940や改質アスファルトより高価になりやすい
- 通気層や専用部材が必要になると工事費も増える
- 製品によって釘穴止水性や対応屋根材が異なる
製品と仕様の違い

透湿防水層
透湿防水層には、高密度ポリエチレン不織布や樹脂フィルムなどが使われる。
確認する数値は透湿抵抗や透湿度。同じ単位と試験方法で比べる必要がある。透湿抵抗は小さいほど水蒸気を通しやすい。

補強層と防滑層
屋根上では、歩行、引張り、下地の段差に耐える強さも必要となる。表面の不織布は防滑性や保護性を担い、その下に防水層を持つ製品がある。
表面が毛羽立っても、直ちに防水層の破損とは限らない。どの層が止水を担うかを製品断面で確認する。

遮熱・粘着は別の機能
透湿ルーフィングには、アルミ層を加えた遮熱タイプや、固定方法を工夫した製品がある。
透湿・遮熱・粘着は別の性能となる。透湿タイプというだけで、すべての機能を備えるわけではない。
選ぶときに役立つ三つの視点
通気層の位置まで図面で見る
透湿ルーフィングを通った水蒸気は、その上側から排出する必要がある。
屋根材との間に通気層を設け、軒側から空気を入れ、棟側などから抜く構成が基本となる。必要な通気層の厚さ、入口、出口は製品と屋根工法で異なる。
見積書に「透湿ルーフィング」と書かれていても、通気層と排気口がなければ効果を生かしにくい。断面図で空気の通り道を確認する。
透湿性と釘穴止水性を別々に見る
透湿性が高くても、釘やビスの貫通部から水が入りにくいとは限らない。
屋根材を固定する釘やビスは、ルーフィングを貫通する。製品資料では、透湿度だけでなく釘穴止水試験、防水性、使用する固定具を確認する。
釘穴を減らしたい場合は粘着式も候補となるが、屋根材を固定する釘やビスまでなくなるわけではない。
屋根材と施工方法の適合を見る
透湿ルーフィングの上へ屋根材を直接施工できるとは限らない。通気胴縁、桟木、二重野地などを指定する製品がある。
瓦、金属、スレートでは、屋根材の固定方法と下地構成が異なる。製品名を決め、対応屋根材、勾配、留め付け、重ね幅を施工説明書でそろえる。
選択肢になる住宅・注意したい条件
- 屋根断熱で、野地板の外側にも乾燥経路を持たせたい家
- 高気密・高断熱化に合わせて屋根の湿気対策を組み立てる家
- 通気層を含む屋根構成を設計段階から決められる新築や葺き替え
- 通気層の入口と出口が図面にない
- 製品名が決まらず、対応屋根材や固定方法を確認できない
- 既存屋根の上へ重ねるだけで、湿気の出口をつくれないカバー工法
メンテナンスと注意点
通気層を途中でふさがない

通気層は、途中で狭くなったり断熱材でふさがれたりすると空気が流れにくい。軒・棟・谷・天窓まわりで経路が連続していることが重要となる。
防水層の傷を見分ける

表面の不織布だけが擦れた状態と、下の透湿防水層まで切れた状態では意味が異なる。
屋根材を載せる前に、防水層へ達する切り傷、タッカーの打ち損じ、しわ、重ね部の浮きを確認する。補修方法は製品指定に合わせる。
製品名と屋根構成を写真で残す

完成後は、透湿ルーフィングも通気層も屋根材で隠れる。
製品名の印字、シート全景、重ね部、通気胴縁、軒の吸気部、棟の排気部を撮影しておく。次の改修時に、屋根の乾燥経路を判断する資料となる。
ひつヤギ君透湿ルーフィングなら、野地板の結露は起きないの?
じギィ博士ルーフィングだけでは決まらんぞ。通した湿気を外へ運ぶ通気層と出口がそろって、初めて乾燥経路として働くんじゃ。
暮らしをつくる12の図鑑
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家づくりの知識を、ひとつずつ。
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