屋根図鑑No.016

高分子系ルーフィング

Synthetic Polymer Roofing Underlayment

合成樹脂や合成ゴムの特性を生かした屋根の下葺き材。

選ぶポイントは、軽さだけでなく「釘穴の止水性」と「劣化後の性能」。

スクロールできます
耐久性破れにくさ釘穴止水性コスト
★★★★★★★★★★★★★★

高分子系ルーフィングとは?

屋根材の下に敷き、隙間から入った雨水を軒先へ流す防水シート。合成樹脂や合成ゴムなどを使い、防水性や柔軟性を持たせたもの。

軽量で運びやすく、暑い時期のべたつきや寒い時期の硬化を抑えた製品がある。

ここでは、勾配屋根の屋根材下に使う下葺き材を紹介。屋上や陸屋根の「合成高分子系シート防水」とは区別する。

POINT
  • 軽量性や温度変化への対応が特徴
  • 釘穴を止水する仕組みや補強方法に製品差
  • 着・遮熱・透湿は、製品ごとに備わる別の機能

アスファルト系との違いは「止水層のつくり方」

アスファルト系は、原紙や不織布にアスファルトを含ませたり、塗り重ねたりして防水性を確保する。改質タイプは、さらにゴムや樹脂を加えて柔軟性などを補う。

非アスファルト型の高分子系は、樹脂やゴムなどの層で水を止め、繊維で補強する構成。材料の組み合わせによって、軽さと強さを両立させている。

ただし、「高分子系」と書かれていても、アスファルト不使用とは限らない。合成樹脂の表面材と改質アスファルトを組み合わせた製品もあるため、断面構成まで見ること。

メリット・デメリット

メリット
  • 軽量な製品が多く、屋根上への運搬やロールの取り回しがしやすい
  • 高温時のべたつきや低温時の硬化を抑えた製品がある
  • 合成繊維などで補強し、引張りや引裂きに強くした製品がある
デメリット
  • 940や一般的な改質アスファルトルーフィングより材料費が上がりやすい
  • 製品数や施工実績がアスファルト系より限られ、施工者が扱いに慣れていない場合がある
  • 同じ高分子系でも、釘穴止水性・固定方法・対応する屋根材に差がある

製品と仕様の違い

高分子系ルーフィングは、表面の色や厚さだけでは中身を判断できない。次の三つに分けると違いが見えやすい。

止水を担う高分子層

雨水を止める層には、樹脂フィルムや特殊ポリマーなどを使用。

シート自体が水を通さないことと、釘を打った後も漏れにくいことは別の性能。屋根材を固定する釘・ビスが貫通するため、釘穴まわりの止水試験も選ぶ材料になる。

シートを支える補強材

不織布や織布などは、シートを引張りや引裂きから守る補強材。

薄くても補強によって強さを持たせられるため、厚い順に丈夫とは限らない。数値を比べる場合は、試験方法と単位をそろえること。

粘着・遮熱・透湿は別の機能

粘着は下地へ貼り付ける機能、遮熱は熱の伝わりを抑える機能、透湿は水蒸気を通す機能。

高分子系ならすべて備わるわけではない。特に、湿気対策が目的なら「高分子系」ではなく、透湿性能の記載を見ること

選ぶときに役立つ三つの視点

「30年相当の試験」と「30年保証」を分ける

30年後を想定した促進試験で、止水性を確認している製品もある。一定の温度と期間で劣化を進めた試験結果であり、実際の屋根で30年間使った実績や保証とは別。

資料では、何年相当かに加え、試験後に何の性能が残ったかを見る。シートの強さを測ったのか、釘穴からの漏水を調べたのかで意味が変わる。

保証が付く場合は、材料のみか、施工や修理費まで対象かも確認する。

軽さは「1本」ではなく「1㎡」で比べる

20m巻と40m巻では、ロール1本の重さを比べても材料の軽さは分からない。重量を幅×長さで割り、1㎡当たりにそろえると比較しやすい。

軽量化の利点は、荷揚げや持ち運びの負担軽減。下葺き材の変更だけで、住宅の耐震性が大きく高まるとは判断できない。

屋根材・勾配とセットで選ぶ

下葺き材単体の性能が高くても、予定する屋根に使えるとは限らない。製品資料では、次の三つを確認する。

  • 使用する屋根材と勾配への適合
  • 野地板や既存屋根など、対応する下地
  • 留め付け方法と、指定のテープ・補修材

見積りもシート代だけでなく、下地処理や専用部材を含む総額で比較する。

選択肢になる住宅・注意したい条件

選択肢になる住宅
  • 軽量で扱いやすい下葺き材を採用したい家
  • 寒冷時の柔軟性や、夏場の熱への強さを重視する家
  • 屋根材を長く使うため、下葺き材の耐久性も見直したい家
注意したい条件
  • 見積書にメーカー名・製品名がない
  • 屋根材や勾配への適合が不明
  • カバー工法で、既存下地への対応が不明

メンテナンスと注意点

屋根材を載せる前に傷を補修する

引裂きに強くても、工具や下地の突起で穴が開くことはある。屋根材で隠す前に、切り傷・破れ・留め具の打ち損じを点検し、指定の方法で補修する。

風によるめくれを防ぐ

施工途中のシートが風であおられると、固定部から裂ける原因になる。強風時に無理に広げず、指定の位置と間隔で留め付ける。

粘着式では、下地の清掃・乾燥と圧着が必要。

製品名と施工写真を残す

完成後の屋根写真では、使用したルーフィングも、その施工状態も分からない。

新築や葺き替えでは、次の写真が役立つ。

・谷・壁際・天窓まわりなどの接合部

・製品名が読める包装やシートの印字

・屋根全体に敷き終えた状態

ひつヤギ君

薄いシートだと、釘を打ったところが心配だね。

じギィ博士

見るのは厚さより、釘を打った後の止水性じゃ。劣化させた後にも漏れにくいか、試験結果まで読むと選びやすいぞ。

暮らしをつくる12の図鑑

HOUSE BUILDING ENCYCLOPEDIA

家づくりの知識を、ひとつずつ。

じギィ博士の研究ノート

t>