屋根図鑑No.018

遮熱ルーフィング

Reflective Roofing Underlayment

屋根から伝わる放射熱を反射する機能を加えた下葺き材。
選ぶポイントは、銀色の見た目ではなく、反射面に接する空気層と防水層の構成。

スクロールできます
耐久性破れにくさ釘穴止水性コスト
★★★★★★★★★★★★

遮熱ルーフィングとは?

屋根材の下に敷く防水シートへ、アルミなどの反射層を加えた下葺き材。

夏の屋根材は日射で高温になる。そこから室内側へ移動する熱には、材料を伝わる熱と、赤外線として放射される熱がある。遮熱層は後者を反射し、野地板や屋根内部へ届く熱を減らす。

ただし、遮熱ルーフィングは断熱材ではない。厚みで熱の移動を遅らせる材料ではなく、反射面と向かい合う空気層があって効果を発揮しやすくなる。

POINT
  • 反射するのは主に放射熱
  • 断熱材の代わりにはならない
  • 空気層、防水層、通気経路を一体で考える

断熱材との違いは「熱を止める方法」

断熱材は、材料内部に動きにくい空気を含み、熱が伝わる速度を遅くする。遮熱材は、表面で赤外線を反射し、放射による熱移動を抑える。

魔法瓶に例えると、断熱材は厚い保温層、遮熱層は内側の反射面となる。役割が異なるため、どちらか一方を選ぶ関係ではない。

遮熱ルーフィングを採用しても、断熱材の厚さや性能を減らせるとは限らない。住宅の断熱性能は、断熱材を含む屋根・天井全体で決まる。

メリット・デメリット

メリット
  • 夏季に屋根から入る放射熱を抑えられる
  • 防水・透湿・遮熱を一枚にまとめた製品がある
  • 軽量な非アスファルト製品は屋根上で扱いやすい
デメリット
  • 一般的なルーフィングより材料費が上がりやすい
  • 空気層や通気下地を追加すると工事費も増える
  • 反射面が屋根材へ密着する構成では効果を生かしにくい

製品と仕様の違い

反射層

反射層には、アルミ箔やアルミ蒸着層などが使われる。

見るべき数値は、日射反射率だけではない。屋根内部で向かい合う面からの熱放射を抑える性能には、放射率も関係する。数値を比べるときは、測定方法と測定面をそろえる。

防水層と補強層

遮熱ルーフィングの基本的な役割は、屋根材の下へ入った雨水を軒先へ流すこと。防水層の釘穴止水性や重ね部の施工が不要になるわけではない。

製品によって、透湿防水層、不織布、特殊ポリマー、改質アスファルトなどの組み合わせが異なる。

透湿性は別の性能

銀色の遮熱層があっても、水蒸気を通すとは限らない。

透湿型は、反射層を含めた積層全体で透湿性を確保している。非透湿型を野地板へ直接張る構成もある。遮熱と透湿を一つの性能として判断しないことが重要となる。

選ぶときに役立つ三つの視点

反射面の上に空気層があるか

遮熱層と屋根材が密着すると、熱は接触部分から伝わりやすい。反射による遮熱を生かすには、反射面と屋根材の間に空気層を設ける構成が基本となる。

通気胴縁、桟木、二重垂木など、空気層のつくり方は屋根材と製品で異なる。軒から空気を入れ、棟などから排出できることも確認する。

温度差の「測定場所」を見る

製品資料に温度低下が示されていても、屋根材表面、野地板裏面、小屋裏空気、室温では意味が異なる。

試験体の屋根材、断熱材、空気層、外気温、日射条件が変われば結果も変わる。「何度下がるか」だけで住宅の冷房費を判断しない。

比較するときは、同じ構成・同じ測定位置の試験を見る。

屋根材と下地工法の適合を見る

遮熱ルーフィングの上へ金属屋根や化粧スレートを直接施工できない製品がある。通気下地を設ければ対応できる場合もある。

製品名を特定し、対応屋根材、勾配、通気層、固定具、重ね幅を施工説明書でそろえる。銀色のシートへ変更するだけの見積りでは、必要な屋根構成まで判断できない。

選択肢になる住宅・注意したい条件

選択肢になる住宅
  • 日射の強い地域や、日当たりのよい屋根を持つ家
  • 屋根断熱で、屋根面からの放射熱を抑えたい家
  • 通気層を含む屋根構成を設計段階から決められる新築や葺き替え
注意したい条件
  • 反射面と屋根材が全面的に密着する
  • 「室温が何度下がる」だけで製品を比較する
  • 遮熱・透湿・防水をすべて備えると考えている

メンテナンスと注意点

しわやたるみで通気層を狭めない

大きなしわやたるみは、雨水の流れを妨げ、通気層を狭くする原因となる。反射面を平らに張り、通気胴縁や桟木で空気の経路を確保する。

反射層の傷だけで判断しない

表面のアルミ層が擦れた状態と、下の防水層まで切れた状態では緊急度が異なる。

屋根材を載せる前に、防水層へ達する傷、タッカーの打ち損じ、重ね部の浮きを確認する。補修材と補修方法は製品指定に合わせる。

空気層を含めて写真に残す

完成後は、遮熱ルーフィングも空気層も屋根材で隠れる。

製品名の印字、シート全景、反射面の状態、通気胴縁、軒の吸気部、棟の排気部を撮影しておく。次の改修時に、下地構成を判断する資料となる。

ひつヤギ君

透湿ルーフィングなら、野地板の結露は起きないの?

じギィ博士

遮熱ルーフィングは断熱材の代わりにはならんぞ。遮熱は放射熱を抑える機能。必要な断熱性能は、断熱材を含む屋根全体で確保するんじゃ。

暮らしをつくる12の図鑑

HOUSE BUILDING ENCYCLOPEDIA

家づくりの知識を、ひとつずつ。

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