陶器瓦とは?特徴・メリット・デメリットと選び方

陶器瓦は、粘土を成形し、表面に釉薬をかけて焼き上げた屋根材です。「釉薬瓦(ゆうやくがわら)」とも呼ばれます。

焼き物ならではの質感と、色が長持ちすることが魅力です。伝統的な波形だけでなく、平らですっきりした瓦もあり、和風から現代的な住宅まで幅広く使われています。

初期費用や重さには注意が必要ですが、外観を長く保ちたい人にとって、有力な選択肢になる屋根材です。

目次

陶器瓦ってどんなもの?

陶器瓦の特徴は、表面に使われる釉薬(ゆうやく)にあります。

釉薬は、焼く前の瓦にかける「うわぐすり」です。高温で焼くと溶け、冷えるとガラス質の層になります。お茶碗の表面をイメージすると分かりやすいでしょう。

この層が瓦に色や質感を与え、表面から水が染み込むのを抑えます。完成した瓦に塗料で着色する方法とは異なり、焼く工程で仕上げをつくるのが陶器瓦です。

陶器瓦は、すべてツヤツヤしている?

ガラス質と聞くと、光沢の強い表面を想像するかもしれません。しかし、陶器瓦には艶を抑えたマットな仕上げもあります。

光沢のある瓦は光を受けて表情が変わり、マットな瓦は落ち着いた印象になります。同じ黒系でも仕上げによって見え方が違うため、色名だけでなく艶にも注目すると、好みの瓦を選びやすくなります。

陶器瓦の形と屋根の印象

陶器瓦は、形によって屋根に生まれる陰影が変わります。

代表的な形特徴と見た目
J形・和形波形が連なり、伝統的で重厚な印象になる
F形・平板凹凸が控えめで、すっきりした外観に合う
S形などの洋形大きな波形が深い陰影をつくり、南欧風などの外観に合う

「陶器瓦」は材料と表面仕上げの呼び方で、「J形」「F形」などは形の呼び方です。陶器瓦を選ぶことと、和風の屋根を選ぶことは同じではありません。

外観を考えるときは、まず形を選び、そのあと色と艶を合わせるとイメージを整理しやすくなります。

陶器瓦のメリット

色や質感を長く保ちやすい

陶器瓦は、紫外線による色の変化が少なく、基本的に定期的な塗り替えを必要としません。

新築時に選んだ色や焼き物の質感を、長く楽しめるのが大きな利点です。屋根の塗装費用を抑えやすいことも、将来の維持費を考えるうえで魅力になります。

並べたときに、焼き物らしい表情が生まれる

陶器瓦は工場でつくられますが、焼き物なので、同じ色でも微妙な色合いの違いが出ることがあります。何枚も並ぶことで、その違いが屋根の表情になります。

均一ですっきりした仕上がりが好みなら、色のばらつきがどの程度ある商品なのかも見ておきたいところです。小さな見本だけでなく、屋根全体の施工写真を見ると判断しやすくなります。

陶器瓦のデメリット・注意点

重さを前提にした設計が必要

陶器瓦は重量のある屋根材です。屋根が重いほど地震時に建物へ加わる力も大きくなるため、採用する瓦の重さを建物の設計に反映する必要があります。

重量を比べるときは、「瓦1枚の重さ」より「屋根1㎡あたりの重さ」を見るのがポイントです。大きな瓦は1枚が重くても、同じ面積に使う枚数は少なくなるためです。

建築時の費用が高くなりやすい

材料費に加え、瓦を並べて固定し、屋根の端や頂部を納める施工費がかかります。

見積もりでは、屋根の広い面に使う瓦だけでなく、端や頂部に使う専用の瓦、施工費まで含んだ金額を確認しましょう。材料単価だけでは、完成した屋根の費用は分かりません。

強い衝撃には注意が必要

陶器瓦は雨や日差しに長く耐えられる一方、飛来物などの強い衝撃で割れることがあります。お茶碗が日常的に水や熱に触れても使える一方、落とすと割れるのに近い性質です。

傷みが数枚に限られていれば、部分交換で対応できる場合があります。ただし、廃番になると同じ形や色を入手しにくくなるため、採用したメーカー・商品名・色名は残しておくと補修時に役立ちます。

「防災瓦」は、何が違う?

陶器瓦を調べると、「防災瓦」という名前も出てきます。

例えば、瓦同士がかみ合うツメなどを設け、浮き上がりやずれを抑える構造を持った製品があります。釘やビスなどによる固定と組み合わせて、風や地震で瓦が外れにくいように工夫されています。

ここで分けて考えたいのが、「瓦が外れにくいこと」と「家が地震に耐えられること」です。防災瓦でも屋根の重量はあるので、建物側にはその重さに合った耐震設計が必要です。

ひつヤギ君

防災瓦って、軽くした瓦のことじゃないんだね

じギィ博士

重さより、ずれたり外れたりしにくくする工夫じゃ。名前だけでなく、どんな仕組みかを見ると分かりやすいぞ。

陶器瓦の手入れと、知っておきたい表面の変化

陶器瓦の手入れは、割れ・欠け・ずれや固定状態を点検し、必要な部分を補修するのが基本です。

ただし、表面に見える線が、すべて瓦本体の割れとは限りません。

細かなひび模様は「貫入」の場合がある

陶器瓦の表面には、貫入(かんにゅう)と呼ばれる細かなひび模様が現れることがあります。

これは釉薬の層に生じるもので、瓦本体まで割れたひびとは異なります。メーカーが焼き物の特性として説明している貫入は、それだけで交換が必要な不具合ではありません。

一方、本体に達する割れや欠けは補修の対象になります。見分けに迷う場合は、写真や製品情報をもとにメーカーや施工業者へ確認しましょう。

陶器瓦を選ぶなら、ここを見る

陶器瓦は「丈夫な瓦」というだけで選ぶより、次の点まで見ると商品の違いがつかめます。

見るところ選ぶときのポイント
屋根の凹凸や陰影が、家の雰囲気に合うか
色・艶日なたと日陰でどう見えるか
色のばらつき屋根全体に並んだ表情が好みか
重量施工した状態で1㎡あたり何kgになるか
かみ合わせ・固定方法浮きやずれを抑える工夫があるか

カタログの色名や正面写真に加えて、実物を少し傾けて光を当ててみると、艶や表面の質感が分かります。最後に施工例で全体の見え方を確かめると、完成後のイメージをつかみやすくなります。

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