いぶし瓦とは?銀色になる仕組みと特徴・メリット・デメリット

いぶし瓦は、粘土を焼き上げたあとにいぶし、表面に炭素の膜をつくった瓦です。

この膜によって生まれる、独特の銀灰色が特徴です。光を受けた部分は明るく、影になる部分は濃く見え、瓦の重なりに深い陰影が生まれます。

落ち着いた外観を長く楽しめる一方、重さや初期費用には注意が必要です。また、年月によって色や光沢が変わるため、新品だけでなく、使い込まれた姿まで見て選びたい屋根材です。

目次

いぶし瓦ってどんなもの?

原料は粘土です。瓦の形に整えて乾燥させ、高温で焼いたあと、窯の中で燻化(くんか)という工程を行います。

燻化とは、酸素を抑えた窯の中にガスなどを送り込み、瓦をいぶすこと。この工程で表面に薄い炭素膜が形成され、いぶし銀色に仕上がります

銀色の正体は、塗料でも金属でもない

いぶし瓦には、銀色のペンキや金属を塗っているわけではありません。表面の炭素膜が光を反射することで、銀色の光沢が生まれます。

そのため、正面から見ると濃い灰色でも、角度を変えると銀色に輝くことがあります。写真の色見本だけでは伝わりにくい、この光の変化がいぶし瓦の魅力です。

「いぶし」は形ではなく、仕上げ方の名前

いぶし瓦と聞くと、波形の和瓦を思い浮かべるかもしれません。しかし、「いぶし」は瓦の形を表す言葉ではありません。

伝統的な波形に加え、すっきりした平板タイプもあります。和風に仕上げたいのか、銀灰色を生かした現代的な外観にしたいのかによって、形を選べます。

いぶし瓦のメリット

光と影で、屋根に奥行きが生まれる

いぶし瓦は、明るく光る部分と影になる部分の差が美しく、瓦の曲線や重なりが引き立ちます。

特に波形の瓦では、山の部分に光が当たり、谷の部分に影が落ちます。色数を増やさなくても、屋根全体に豊かな表情が生まれるのが特徴です。

焼き物の質感を長く楽しめる

高温で焼き締めた粘土瓦は、長く使える屋根材です。いぶし瓦は基本的に定期的な塗り替えを前提としておらず、素材そのものの風合いを生かして使います。

ただし、新品の銀色がそのまま続くわけではありません。色や光沢の変化も含めて楽しめる人に向いた素材です。

いぶし瓦のデメリット・注意点

色や光沢は均一に変わるとは限らない

屋外で使ううちに、いぶし瓦の表面は少しずつ変化します。その現れ方は、瓦の品質や周囲の環境、雨の当たり方などによって異なります。

屋根全体が同じ速さで、同じ色に変わるとは限りません。「年月とともに必ずきれいな灰色になる」と考えるより、実際に年数がたった施工例を見て判断するほうが確実です。

自然な変化を味わいと感じるか、色の不ぞろいさが気になるか。ここは好みが分かれるところです。

重さに合った建物の設計が必要

いぶし瓦は重量のある屋根材です。地震時には、その重さに応じた力が建物へ加わるため、採用する瓦の重量を設計に反映する必要があります。

確認するのは、瓦1枚の重さではなく、屋根に葺いた状態で1㎡あたり何kgになるかです。瓦の大きさや重ね方が違えば、必要な枚数も変わります。

初期費用が高くなりやすい

瓦の製造には焼成と燻化の工程があり、商品によっては表面を丁寧に磨くなどの加工も加わります。施工にも、瓦を並べて固定し、軒先や棟を納める手間がかかります。

費用は瓦の種類と屋根の形で変わるため、材料単価だけでなく、専用部材と施工を含めた総額で確認しましょう。

強い衝撃で割れることがある

長く使える瓦でも、飛来物や無理な荷重によって割れることがあります。雨風に耐える性質と、衝撃への強さは別です。

傷みが一部に限られていれば、その瓦だけを交換できる場合があります。

同じ銀色でも、いぶし瓦とは限らない

瓦を選ぶときに知っておきたいのが、「銀色」は見た目の呼び方で、「いぶし」は製法の呼び方だということです。

銀色の瓦の中には、釉薬で銀色を出した商品もあります。写真で似ていても、いぶし瓦と同じ仕上げとは限りません。

「いぶし風の色が好み」なのか、「いぶし瓦そのものの質感が好み」なのかを分けて考えると、商品を選びやすくなります。色名だけで決めず、製品の仕上げを確認しましょう。

手入れは、色よりも割れ・ずれを確認する

いぶし瓦の点検では、瓦本体の割れや欠け、並びのずれ、固定状態を確認します。

色の変化だけで交換を決めることはできません。一方、見た目がきれいでも、本体に割れがあれば補修が必要です。自分で屋根に上がらず、施工業者などに状態を見てもらいましょう。

部分交換では「形」と「色」の両方が問題になる

補修用の瓦は、色が似ていれば何でも使えるわけではありません。周囲の瓦と寸法や重なりが合うことが必要です。

さらに、形が合っても、新しい瓦と既存の瓦では色や光沢に差が出ることがあります。時間がたっても、完全に同じ見た目になるとは限りません。

将来の補修に備えて、メーカー・商品名・寸法が分かる資料を残しておくと役立ちます。

ひつヤギ君

同じ銀色の瓦を探せば、交換できると思ってた。

じギィ博士

まずは形や寸法が合うことじゃ。そのうえで、周りの瓦との色の違いも確認するんじゃよ。

いぶし瓦を選ぶときは、三つの見え方を確かめる

いぶし瓦は、次の三つを見比べると、完成後のイメージがつかみやすくなります。

確かめるもの分かること
実物の瓦を、角度を変えて見る銀色の光り方と表面の質感
屋根全体の施工例を見る瓦の形や重なりがつくる陰影
年数がたった施工例を見る色や光沢が変化したあとの雰囲気

新しい瓦の輝きだけでなく、時間を重ねた姿も好きだと思えるか。それが、いぶし瓦を選ぶうえで大切な判断になります。

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