粘土を成形し、釉薬をかけずに焼き上げた屋根材です。
赤やオレンジ、茶色など、焼いた土ならではの温かい色合いが特徴です。南欧風の住宅などで使われ、外観に明るく素朴な印象を与えます。
素焼き瓦を選ぶなら、色だけでなく、焼き物らしい質感と、屋根全体に並べたときの見え方にも注目してみましょう。
素焼き瓦ってどんなもの?

素焼き瓦は、粘土を瓦の形に整え、乾燥させてから窯で焼いたものです。
陶器瓦のように表面へ釉薬をかけたり、いぶし瓦のように燻して炭素膜をつくったりせず、焼いた粘土の表情を生かして仕上げます。
「素焼き」は焼きが不十分という意味ではありません。屋根材として使うために焼成された、粘土瓦の一種です。
また、素焼きは瓦の形ではなく、仕上げ方を表す名前です。丸みの大きな瓦だけでなく、平らな形の商品もあります。
「テラコッタ瓦」と何が違う?
素焼き瓦は、「テラコッタ瓦」と呼ばれることもあります。テラコッタは、焼いた土でつくられる焼き物を指す言葉です。
ただし、「テラコッタ調」という表現は、素材ではなく見た目を示している場合があります。素焼きの風合いを別の仕上げで再現した商品もあるため、名前だけで判断せず、製品の表面仕上げを確認しましょう。
素焼き瓦の仕上げ|焼いた土の色を生かす

素焼き瓦の赤やオレンジ色は、表面に塗った塗料の色ではありません。
粘土に含まれる鉄分などが焼成によって変化し、赤褐色の色合いが生まれます。土の成分や焼く条件によって、明るいオレンジから深い茶色まで違いが出ます。
表面にはガラス質の釉薬がないため、強いツヤよりも、土らしい落ち着いた質感が楽しめます。
ここで知っておきたいのが、もともとの焼きむらと、使い始めてからの汚れや傷みは別ということです。一枚ごとの色の違いだけで、不良や劣化とは判断できません。
素焼き瓦のメリット
自然な色合いが外観になじむ
赤茶色の素焼き瓦は、白やベージュの外壁、木目の玄関ドアなどと合わせやすい屋根材です。
土や木を感じさせる素材でまとめると、温かみのある外観になります。同じ赤系でも、鮮やかなオレンジなら明るく、深い茶色なら落ち着いた印象になります。
色の濃淡で屋根に表情が生まれる
焼き上がりによるわずかな色の違いが、屋根全体に奥行きをつくります。
きっちり均一な色とは違う、焼き物ならではの表情が魅力です。複数の色を組み合わせて、好みの配色に仕上げる商品もあります。
定期的な塗り替えを基本としない
素焼き瓦は、塗膜で色をつけた屋根材ではないため、色を保つための定期的な再塗装を基本としません。
ただし、塗り替えがいらないことと、手入れがいらないことは別です。割れやずれなどの点検と、必要に応じた補修は欠かせません。
デメリット・注意点
重量がある
素焼き瓦も粘土瓦なので、屋根材として重量があります。
「表面に釉薬がないから軽い」とは限りません。実際の重さは瓦の厚さや形、一平方メートルに使う枚数などで変わります。
強い衝撃で割れることがある
焼き物のため、飛来物や屋根の上を歩くときの荷重などで割れたり欠けたりすることがあります。
一枚単位で交換できる場合もありますが、同じ商品でも新旧の瓦で色がそろうとは限りません。補修に備えて、商品名や施工時の資料を残しておくと役立ちます。
汚れやコケで見え方が変わる
土ぼこりやコケなどによって、新築時より暗く見えることがあります。日当たりや乾きやすさの違いから、屋根の面ごとに差が出ることもあります。
ただし、汚れがあるだけで瓦の寿命とは判断できません。見た目の変化と、割れや表面の剥がれといった傷みは分けて見ることが大切です。
寒冷地では凍害への対応を確認する
瓦に含まれた水分が凍結と融解を繰り返すと、ひび割れや表面の剥がれにつながることがあります。これが凍害です。
水の吸いやすさや凍害への強さは、原料や焼成方法などによって異なります。「素焼きだから使えない」「瓦だから大丈夫」と一括りにせず、寒冷地での使用条件を商品ごとに確認しましょう。
実は、素焼き瓦にも違いがある

同じ素焼き瓦でも、瓦の形、色の幅、表面の質感は商品によって異なります。
特に外観を左右するのが、一枚ごとの自然な色むらと、複数色を組み合わせる「混ぜ葺き」の違いです。
自然な色むらは、土や焼成によって生まれます。一方、混ぜ葺きは、色の違う瓦を一定の割合で組み合わせる方法です。
例えば、明るいオレンジを多くすれば華やかに、茶色を多くすれば落ち着いた印象になります。同じ商品でも、色の割合や配置によって完成した屋根の表情は変わります。
そのため、瓦のサンプル一枚だけで、屋根全体の色を決めないことがポイントです。
こんなところを確認
素焼き瓦を選ぶときは、次の点を確認してみましょう。
| 確認すること | チェックするポイント |
|---|---|
| メーカー・商品名 | 実際に採用する製品は何か |
| 形・表面仕上げ | 波の大きさや土の質感は好みに合うか |
| 配色 | 単色か混ぜ葺きか、色の割合はどうするか |
| 施工例 | 同じ商品・配色で葺いた屋根はどう見えるか |
| 使用条件 | 寒冷地など、その地域で使える製品か |
| 将来の補修 | 交換用の瓦をどう確保するか |
特に参考になるのは、希望する配色に近い施工例です。
瓦を間近で見たときと、地上から屋根全体を見たときでは印象が変わります。素材の質感はサンプルで、配色のまとまりは屋根全体の写真で見ると、完成後を想像しやすくなります。
「色が変わったら塗装」が必要?
ひつヤギ君屋根が前より黒っぽく見えるんだけど、塗り直す時期なのかな?
じギィ博士まずは何で黒く見えるのかじゃ。汚れなのか、コケなのか、瓦そのものが傷んでいるのかで、必要な手入れは変わるぞ。
素焼き瓦は、見た目が変わったからといって、すぐに塗装する屋根材ではありません。
汚れへの対処と、割れた瓦の交換は別の作業です。塗装しても、ひび割れや欠けが元に戻るわけではありません。
年数や色だけで決めず、どこに、どんな変化が起きているかを見ることが、メンテナンスの出発点になります。


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