薄い鋼板に、錆を抑えるための合金めっきを施した材料です。
住宅の屋根では、折り曲げたり段差をつけたりして使います。軽さとすっきりした外観が特徴ですが、「ガルバリウム鋼板」と聞いただけでは、屋根の仕様がすべて決まったわけではありません。
選ぶときは、鋼板の表面仕上げと、屋根としての形・施工方法まで見ることが大切です。
ガルバリウム鋼板ってどんなもの?
ガルバリウム鋼板は、鋼板の表面をアルミニウムと亜鉛を中心とした合金めっきで覆ったものです。
めっきとは、金属の表面に別の金属の薄い層をつくる処理のこと。ガルバリウム鋼板では、この層が鋼板の腐食を抑えます。
住宅の屋根には、さらに表面を塗装した製品が広く使われています。黒や茶色の屋根も、色だけでは分からないものの、その内側にめっき層があります。
ガルバリウム鋼板は「材料の名前」
屋根に縦のラインが入るものも、横方向に段差が並ぶものもあります。
これは材料が違うからではなく、鋼板の加工方法や葺き方が違うためです。
「何でできているか」と「どう屋根にするか」は別の話。 この違いを知っておくと、カタログや見積書が読みやすくなります。
ガルバリウム鋼板の構造

塗装された製品は、大きく分けると次のような構造です。
| 部分 | 主な役割 |
|---|---|
| 塗膜 | 色やツヤをつくり、水や酸素などが内側へ届きにくくする |
| 合金めっき | 鋼板の腐食を抑える |
| 鋼板本体 | 屋根材の形と強さを支える |
※役割を分かりやすく示したもので、実際には下塗りや裏面側の処理などもあります。
ここで大切なのは、塗膜の色あせと、鋼板本体の腐食は同じではないということです。
色が薄くなっただけで、すぐに屋根材が使えなくなるわけではありません。一方、塗り直しても、腐食で失われた鋼板の厚さは戻りません。
ガルバリウム鋼板のメリット
屋根を軽く仕上げやすい
薄い鋼板を使うため、屋根にかかる重量を抑えやすいのが特徴です。
ただし、薄いほどよいわけではありません。板厚だけでなく、折り曲げた形や固定方法も屋根の強さに関わります。
すっきりした外観をつくれる

縦のラインを強調したシャープな屋根や、横の段差が整然と並ぶ屋根など、仕上げ方を選べます。
同じ黒でも、ツヤの強さや凹凸で印象は変わります。色見本に加えて施工写真を見ると、家全体との組み合わせを想像しやすくなります。
長い板を使い、途中の継ぎ目を減らせる
縦葺きでは、屋根の頂部から軒先まで一枚の長い板で施工できる場合があります。雨が流れる途中の継ぎ目を減らせるのが利点です。
ただし、すべての製品が一枚で施工されるわけではありません。搬入のしやすさを考え、途中でつなぐ製品もあります。
デメリット・注意点
傷や水分が残る場所から錆びることがある

ガルバリウム鋼板は錆びにくい材料ですが、錆びないわけではありません。
深い傷や切断面、落ち葉などで湿った状態が続く場所は注意が必要です。海から飛んでくる塩分など、周囲の環境も影響します。
新築でも、施工時の傷や切りくずを放置しないことが大切です。材料の性能だけでなく、施工中の扱い方も長持ちに関わります。
強い衝撃でへこむことがある
飛来物や屋根の上を歩く際の荷重によって、へこむことがあります。
へこみだけなのか、表面に傷があるのか、水がたまる変形になっているのかで、必要な対応は変わります。気になる箇所があっても、自分で屋根に上がらず点検を依頼しましょう。
雨音や暑さへの対策は、材料名だけでは分からない
薄い鋼板は雨粒が当たると振動し、日射を受ければ熱くなります。ただし、それが室内にどれだけ伝わるかは、屋根製品と建物の構成で変わります。
雨音が気になるなら、鋼板をたたいた音だけで判断せず、採用予定の屋根と天井の仕様でどう対策するかを見ることが大切です。
暑さについても、屋根の裏に断熱材が付いていることと、家全体の断熱が十分なことは別です。「断熱材付き」という言葉だけで安心せず、何のために、どれだけ設けられているかを確認しましょう。
実は、ガルバリウム鋼板にも違いがある
同じガルバリウム鋼板でも、塗膜、板厚、形、裏面材の有無などは製品によって異なります。
家づくりで特に見落としたくないのが、屋根の勾配と製品の組み合わせです。
ガルバリウム鋼板なら、どんな緩い勾配でも使えるわけではありません。継ぎ目の構造などに応じて、製品ごとに使用できる勾配が定められています。実際にメーカーの仕様でも、製品によって条件が異なります。
外観を気に入って選んでも、計画中の屋根には使えない場合があります。色を決める前に、その屋根で使える製品かを確かめると、打ち合わせの手戻りを減らせます。
こんなところを確認
| 確認すること | 見ておきたいポイント |
|---|---|
| 製品名・仕様 | どの鋼板を、どの屋根形状に加工して使うか |
| 屋根勾配 | 計画中の傾斜で施工できるか |
| 表面仕上げ | 色・ツヤ・塗膜の性能はどう違うか |
| 雨音・暑さ対策 | 屋根製品と建物側でどう対応するか |
| 保証 | 対象となる現象・期間・適用条件は何か |
| 補修 | 傷や腐食が見つかったとき、どう手を入れるか |
保証は、長さよりもまず中身を見ます。
例えば、「穴あき保証」は、その期間ずっと色あせも錆も起きないという意味ではありません。 塗膜の剥がれ、変退色、赤錆、穴あきは、保証上別の扱いになることがあります。
また、材料の保証と施工による雨漏りの保証も同じではありません。保証書では「何が起きたときに、誰が、どこまで対応するか」を読むと、年数だけでは分からない違いが見えてきます。
「塗り直せば元に戻る」は本当?
ひつヤギ君古くなっても、塗り直せばまた新品みたいに使えるの?
じギィ博士塗装は表面を保護する手入れじゃ。錆で薄くなった鋼板や、傷んだ継ぎ目まで元に戻すものではないぞ。
ガルバリウム鋼板の手入れは、塗装だけではありません。状態によって、部分的な補修や部材の交換が必要になることもあります。
「何年経ったから塗る」ではなく、塗膜の傷みなのか、腐食なのか、接合部の不具合なのか。手入れの方法より先に、傷んでいる場所と原因を確かめることが大切です。


コメント