断熱図鑑No.005

硬質ウレタンフォーム

Rigid Polyurethane Foam Board

細かな独立気泡に発泡ガスを閉じ込め、板状に成形した断熱材。薄くても高い断熱性能を得やすく、外張り断熱や屋根・床の充填断熱に使われる。

選ぶポイントは、硬質ウレタンという材料名だけでなく、熱伝導率・厚さ・面材・継ぎ目の処理を一組で見ることにある。

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初期費用断熱性能燃えにくさ施工の安定性
★★☆☆☆★★★★★★★☆☆☆★★★★☆

硬質ウレタンフォームとは?

硬質ウレタンフォームは、原料を発泡させて無数の細かな気泡をつくり、板状に成形した断熱材。工場で厚さや密度を管理して製造されるため、現場で発泡させる吹付けウレタンとは施工方法が異なる。

断熱性能が高い理由は、樹脂そのものではなく、独立した気泡の中に熱を伝えにくいガスを閉じ込めているため。住宅用製品では、両面にアルミ箔や紙などの面材を張ったものも多い。

薄いボードで必要な性能を確保しやすい一方、施工後に膨らんで隙間を埋める材料ではない。寸法が合わなければ、その隙間は残る。

POINT
  • 薄い厚さでも高い断熱性能を確保しやすい
  • 工場成形品のため、ボード本体の厚さが安定している
  • 性能の弱点は、継ぎ目・切断部・固定部に生じやすい

主な種類と違い

JISの種類|数字だけでなく面材を見る

JIS A 9521では、硬質ウレタンフォーム断熱材が1種・2種・3種などに分けられている。

1種は面材や表面層を持たないもの、2種は非透湿性の面材を付けたもの、3種は透湿性面材などを組み合わせたものが基本となる。さらに密度や熱伝導率によって、号数や区分が細かく分かれる。

住宅では「硬質ウレタンフォーム」とだけ書かれていることがあるが、それでは性能を特定できない。製品によって熱伝導率も湿気の通しやすさも異なるため、JIS区分・製品名・面材まで確認する必要がある。

標準品と高性能品|同じ厚さでも性能が違う

硬質ウレタンフォームの熱伝導率は、JIS区分によっておおむね0.019~0.029W/(m・K)の範囲に分かれる。数値が小さいほど、同じ厚さで熱を通しにくい。

ただし、「硬質ウレタンだから高性能」とひとまとめにはできない。例えば熱伝導率0.024と0.021の製品では、同じ50mmでも得られる熱抵抗が異なる。

高性能品は厚さを抑えやすいが、価格も上がりやすい。柱や垂木の寸法に余裕があるなら、標準品を厚く使ったほうが合理的な場合もある。

面材付きボード|表面は飾りではない

アルミ箔などの面材には、フォームを保護し、水蒸気を通しにくくする役割がある。製品によっては、赤外線を反射する遮熱面材として使われる。

ただし、アルミ面材が付いていれば、どこへ施工しても同じ遮熱効果が出るわけではない。放射熱を反射させるには、面材に接する空気層の位置や納まりが関係する。

非透湿性面材は湿気を通しにくい分、壁や屋根の乾燥方向にも影響する。面材の性能だけを見ず、壁全体の防湿計画と組み合わせて考える。

メリット・デメリット

メリット
  • 薄くても断熱性能を確保しやすい
  • 厚さと品質が安定している
  • 構造材の外側を連続して覆える
デメリット
  • 切断寸法が合わなければ隙間が残る
  • 継ぎ目や固定部に性能差が出る
  • 火や高温に弱い

ボード本体より、線と点が弱点になる

硬質ウレタンフォームボードは、面の部分では厚さが均一になりやすい。一方で、ボード同士の継ぎ目は「線」、固定ビスや金物は「点」の弱点となる。

外張り断熱では、継ぎ目へ指定テープを張ることで断熱層と気密層を連続させる方法がある。ただし、テープなら何でもよいわけではない。アルミ面材、紙面材、樹脂面材では、適合するテープや下地条件が異なる。

また、窓まわり、配管貫通部、出隅、軒桁まわりは長方形のボードだけでは納まりにくい。中央部分の施工写真だけでなく、こうした端部を見ることが重要となる。

選ぶときに役立つ三つの視点

熱伝導率ではなく、厚さを含む熱抵抗で比べる

断熱材の実際の断熱性能は、熱伝導率だけでは決まらない。

熱抵抗は、断熱材の厚さを熱伝導率で割って求める。例えば熱伝導率が小さい製品でも、施工厚さが薄ければ、厚く施工した標準品より熱抵抗が小さくなることがある。

カタログの熱伝導率だけを横に並べず、採用する厚さで熱抵抗を計算する。屋根・壁・床で同じ厚さにそろえる必要もない。

「何mmの商品か」まで決まって、初めて断熱性能を比較できる。

面材が湿気の逃げ方を変える

硬質ウレタンフォームには、水蒸気を通しにくい面材を持つ製品がある。この性質は吸湿を抑える方向には働くが、壁の中へ入った湿気を乾かしにくくする場合もある。

特に両面アルミ箔の製品では、ボード部分の透湿抵抗が大きくなる。室内側の防湿層、構造用面材、外側の防水層まで水蒸気を通しにくい構成にすると、乾燥できる方向が限られる。

「水に強いから結露しない」のではない。確認したいのは、室内から湿気を入れない方法と、入った水分をどちらへ乾かす設計なのかである。

外張りでは、断熱材の外側を何で支えるかを見る

外張り断熱では、柱や構造用面材の外側へボードを張り、その外側に胴縁と外壁材を取り付ける。

断熱材が厚くなるほど、胴縁を固定するビスも長くなる。外壁の重さや風圧は、柔らかい断熱材ではなく、ビスを通じて構造体へ伝える必要がある。

そのため、ボードの厚さだけ増やせばよいわけではない。使用できる厚さ、ビスの種類、固定間隔、胴縁の寸法は工法ごとに確認する。

選択肢になる住宅・注意したい条件

検討しやすい住宅
  • 屋根や壁の厚さを抑えながら、断熱性能を高めたい住宅
  • 柱や梁の外側を連続して覆う外張り断熱を採用する住宅
  • ボードの割付と継ぎ目処理まで施工図で決められる住宅
注意したい条件
  • 複雑な形状や配管が多く、細かな切断箇所が増える部分
  • 面材の透湿性を確認せず、防湿層を重ねた壁構成
  • 外張り断熱の厚さだけを増やし、外壁の固定方法を検討していない計画

購入前の確認と注意点

製品名・JIS区分・面材を一つの仕様として残す

「硬質ウレタンフォーム50mm」だけでは、断熱性能も湿気の通しやすさも特定できない。

仕様書には、商品名と厚さに加え、JIS区分、熱伝導率、熱抵抗、両面の面材を記載する。高性能品へ変更した場合も、商品名だけを差し替えず、厚さと熱抵抗が設計値を満たしているか確認する。

同じ厚さでも製品によって性能は異なる。見積書の「同等品可」が、どの性能まで同等なのかも明確にしておきたい。

継ぎ目と切断部の処理を先に決める

硬質ウレタンフォームは、現場で膨らんで隙間を埋めるボードではない。柱間へ充填する場合は周囲の隙間を何で処理するか、外張りでは継ぎ目へどのテープを使うかを施工前に決める。

窓まわり、配管貫通部、建物の角では、面材を切断する部分が増える。現場判断で市販テープや発泡材を使うのではなく、メーカーが指定する補助材料と施工方法を確認する。

完成後は隠れるため、ボードの割付、継ぎ目、端部、貫通部が分かる写真を残す。

防火認定はボード単体ではなく、壁の構成で確認する

硬質ウレタンフォームは、火にさらしたまま使う材料ではない。石膏ボード、構造用面材、外装材などで覆い、認定された壁や屋根の構成として使用する。

「難燃」「準不燃」と表示された製品でも、どの厚さ、面材、下地、仕上げ材との組み合わせで認定されているかを確認する。別のボードや仕上げ材へ変更すれば、同じ認定を使えない場合がある。



ひつヤギ君

板なら厚さがそろっているし、施工も失敗しにくそうだね。

じギィ博士

本体の厚さは安定しておるが、ボード同士は勝手につながらんぞ。性能を見るなら、板の中央より継ぎ目と端を見ることじゃ。

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