断熱図鑑No.006

フェノールフォーム

Phenolic Foam

フェノールフォームは、フェノール樹脂を細かな気泡状に発泡させたボード系断熱材だ。住宅用製品には熱伝導率0.018~0.020W/(m・K)程度のものがあり、薄い厚さでも大きな熱抵抗を確保しやすい。

火に触れると表面に炭化層をつくる性質も特徴。

スクロールできます
初期費用断熱性能燃えにくさ施工の安定性
★☆☆☆☆★★★★★★★★★☆★★★★☆

フェノールフォームとは

フェノールフォームは、熱に強いフェノール樹脂の中に発泡ガスを閉じ込めた断熱材である。内部には100μm以下の微細な気泡が形成され、気泡膜と内部のガスによって熱の移動を抑えている。

住宅では外張り断熱、付加断熱、充填断熱、RC造の内断熱などに使われる。工場で一定の厚さに成形されたボードを現場で切断して納めるため、吹付材のように現場で発泡状態が変化することはない。一方、硬いが粘りの少ない材料なので、角の欠けや面材の損傷を見逃さない施工が求められる。

POINT
  • 微細な気泡により、薄くても高い熱抵抗を確保しやすい
  • 火に触れると表面が炭化し、炎が内部へ進むのを抑える
  • 面材と気泡膜を傷めない保管・切断・納め方が重要になる

主な種類と違い

標準品と高性能品|同じ厚さでも熱抵抗が違う

住宅用フェノールフォームには、熱伝導率0.020W/(m・K)前後の標準品と、0.018~0.019W/(m・K)程度の高性能品がある。

例えば厚さ60mmの場合、熱伝導率0.020の製品なら熱抵抗は3.0㎡・K/W、0.018の製品なら約3.3㎡・K/Wとなる。同じ厚さでも、室内から逃げる熱の抑えやすさは同じではない。

「フェノールフォーム60mm」とだけ書かれた見積書では、どの性能を採用するのか判断できない。製品名と熱伝導率まで確認したい。

面材の違い|表面は飾りではない

フェノールフォームの表面には、不織布やアルミニウムはくなどの面材が貼られている。

面材は表面を整えるだけではなく、製品の取扱性、透湿性、発泡ガスの保持、防火上の扱いに関係する。切断や運搬で面材が破れた部分は、工場出荷時と同じ状態ではなくなる。

アルミニウムはくを両面に貼り、不燃材料認定を取得した製品もある。ただし、通常のフェノールフォームまで自動的に不燃材料になるわけではない。

単体ボードと複合ボード|使える場所が異なる

フェノールフォーム単体のボードだけでなく、石膏ボードや無機質板などと一体化した複合製品もある。

複合製品は、内断熱や鉄骨造の外装下地など、使用場所に合わせて断熱材と下地材を組み合わせたもの。施工工程を減らしやすい反面、対応する構造、仕上げ材、留付け方法が決められている。

単体ボードへ現場で別の板を重ねても、認定された複合製品と同じ扱いにはならない。

メリット・デメリット

メリット
  • 薄い断熱層をつくりやすい
  • 長期性能を考えた気泡構造
  • 炭化層が炎の進行を抑える
デメリット
  • 角や小片が欠けやすい
  • 水濡れを前提にはできない
  • 切断粉の管理が必要になる

微細な気泡が、薄さと長期性能を支える

発泡系断熱材は、気泡の中に閉じ込めたガスによって熱の移動を抑えている。そのため、気泡膜が壊れたり、内部のガスが空気と入れ替わったりすると、断熱性能が変化する。

フェノールフォームは、100μm以下の微細な気泡を形成した製品がある。気泡が細かければ、ガスが移動する経路も細かく分かれ、断熱性能の変化を抑えやすくなる。

ただし、「フェノールフォームなら永久に性能が変わらない」という意味ではない。製品を比べるときは、製造直後の熱伝導率だけでなく、経年変化を含めた表示や試験内容も確認したい。

選ぶときに役立つ三つの視点

熱伝導率ではなく、必要厚さで比べる

熱伝導率が小さい製品でも、厚さが不足すれば必要な断熱性能は得られない。

例えば熱伝導率0.018の製品を45mm使った場合、熱抵抗は2.5㎡・K/W。熱伝導率0.020の製品を50mm使った場合も、熱抵抗は同じ2.5㎡・K/Wとなる。

数字の小ささだけで高性能と判断せず、実際に施工する厚さで熱抵抗を比較する。

面材と切断面を分けて考える

製品表面には工場で面材が貼られているが、現場で切った断面には面材がない。窓や配管まわりでは切断面が増え、細い材料や小さな欠けも生じやすくなる。

切断面へ使うテープや補修材は、一般的な気密テープで自由に代用できるとは限らない。採用する製品の施工要領に合った材料と処理方法を確認する。

炭化する性質と防火認定を混同しない

フェノールフォームは、炎を受けると表面に炭化層をつくる。ただし、この性質だけで建築基準法上の不燃材料や防火構造になるわけではない。

確認するのは、断熱材単体や面材付き製品の材料認定と、外壁材、下地、断熱材、内装材を組み合わせた壁全体の防火構造認定。

「フェノールだから火に強い」という説明だけでは、住宅に必要な防火性能を満たしているか判断できない。

選択肢になる住宅・注意したい条件

検討しやすい住宅
  • 壁を極端に厚くせず、高い断熱性能を確保したい住宅
  • 外張り断熱や付加断熱で、連続した断熱層をつくりたい住宅
  • RC造の内断熱改修など、室内側の減少を抑えたい住宅
注意したい条件
  • 工事中に雨へさらされやすく、保管場所を確保できない現場
  • 複雑な配管まわりに細かな切り欠きが多い設計
  • 製品名や防火認定番号を決めず、材料種類だけで発注する工事

購入前の確認と注意点

製品名・厚さ・面材を一組で記載する

見積書に「フェノールフォーム一式」とだけ書かれていると、標準品と高性能品、面材の違いを確認できない。

メーカー名、商品名、品番、熱伝導率、厚さ、熱抵抗、面材、施工部位まで記載してもらう。同じ厚さのフェノールフォームでも、製品が変われば断熱性能や使用条件が変わる。

水濡れと欠損の判断を確認する

搬入後にどこで保管し、施工途中の雨をどう防ぐのか確認する。濡れた板を使える条件や、面材が破れた板、角が欠けた板を交換する基準も決めておきたい。

乾かせば必ず元の状態へ戻るとは限らない。現場の判断だけで使用せず、採用製品の取扱説明書やメーカー基準に従う。

防火認定は壁全体の仕様で確認する

防火地域や準防火地域では、製品単体の燃えにくさだけでなく、採用する壁全体の認定番号を確認する。

外壁材、下地、断熱材の製品と厚さ、内装材、留付け方法が認定仕様と一致している必要がある。断熱材だけを同等品へ変更しても、同じ認定を使えるとは限らない。



ひつヤギ君

火に強いなら、どこでも不燃材として使える?

じギィ博士

炭化して燃え広がりを抑える性質と、不燃材料認定は別じゃ。面材付き製品の認定と、壁全体の防火構造認定を分けて見るんじゃぞ。

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