屋根図鑑No.014

改質アスファルトルーフィング

Modified Asphalt Roofing Felt

暑さ・寒さで性質が変わるアスファルトに、柔軟性や粘りを加えた下葺き材。
選ぶポイントは、厚さよりも「何を改良し、何で補強しているか」。

スクロールできます
耐久性破れにくさ釘穴止水性コスト
★★★★★★★★★★★★★★

改質アスファルトルーフィングとは?

屋根材の下に敷き屋根材の隙間から入った雨水を軒先へ流す防水シート。

一般的なアスファルトルーフィング940との大きな違いは、単にシートを厚くしたことではない。アスファルトへ合成ゴムや合成樹脂などを加え、温度変化による硬化や軟化、下地の動きに対応しやすい性質を持たせている。

「ゴムアス」と呼ばれることも多いが、改質に使う材料や配合は製品によって異なる。名前だけを見て、すべて同じ構造・性能だと考えないことが大切

POINT

POINT
  • アスファルトの性質を改質材で補っている
  • 厚さだけでなく、柔軟性や釘穴まわりの性能が違う
  • 同じ改質系でも、基材や施工方法に製品差がある

940との違いは、厚さより「材料の動き」

屋根の下葺き材は、施工後も同じ状態のままではない。

夏には屋根面が高温になり、冬には冷える。木造住宅の野地板も、湿度や温度によってわずかに伸縮する。ルーフィングには、水を通さないことに加え、こうした変化の中で破れや隙間を生じにくくする性能が求められる。

改質アスファルトルーフィングは、アスファルトの柔軟性や粘りを高めることで、低温時の折れや下地の動きに対応しやすくした材料だ。

ただし、これは「改質系なら絶対に破れない」という意味ではない。炎天下での施工、下地の段差、強く引っ張った張り方など、施工条件が悪ければ傷む可能性はある。

メリット・デメリット

メリット
  • 寒い時期の折り曲げでも、割れを抑える工夫がある
  • 下地のわずかな動きに追従する柔軟性を持たせられる
  • 釘やビスの周囲に密着し、貫通部からの浸水を抑える製品がある
デメリット
  • 940から変更すると、材料費が増える
  • 同じ「改質系」でも、基材・厚さ・質量・性能に幅がある
  • 高性能品でも、重ね幅や立ち上げ、端部の施工不良までは補えない

製品と仕様の違い

改質アスファルトルーフィングを理解するときは、表面だけでなく中にある基材を見る。

原紙を使ったタイプ

アスファルトを含ませた原紙に、改質アスファルトや表面材を組み合わせたタイプ。

940に近い構造を持ちながら、アスファルト側の性質を高めている。改質系の中では比較的価格を抑えやすい製品が多い。

不織布を組み合わせたタイプ

合成繊維不織布やガラス繊維を基材・補強材として使うタイプ。

引張りや引裂きに対する強さを持たせやすく、施工中の歩行や下地の動きに対応しやすい。ただし、不織布を使っているだけで耐久性が決まるわけではなく、改質アスファルトの量や構成も確認したい。

複数の基材を組み合わせたタイプ

原紙と不織布などを重ね、それぞれの特徴を生かしたタイプもある。

そのため、見積書に「改質アスファルトルーフィング」とだけ書かれていても、紙系か不織布系か、どの製品かまでは分からない。

選ぶときに役立つ三つの視点

価格差は「変更したら総額でいくら増えるか」で見る

ロール1本の価格差は、そのまま屋根工事の追加費用にはならない。必要本数に加え、施工方法や下地処理が変わる場合があるためだ。

比較するときは、屋根材や工事範囲をそろえ、ルーフィングを変更した場合の増額を見る。

その増額で、基材の補強が変わるのか、粘着層が付くのか、耐久性に関する資料が充実するのか。「高級品へ変更」という言葉より、変更点が分かる見積りのほうが判断しやすい。

「耐用年数」と「保証期間」を混同しない

長期耐久をうたう製品でも、想定する使用期間と保証期間は同じとは限らない。

また、保証の対象が材料なのか、施工を含む防水なのかでも意味が変わる。年数が大きく書かれていても、それだけで屋根の修理費がすべて補償されるとは判断できない。

何年かに加えて、何が対象か。 長く使うための材料選びと、不具合が起きたときの保証は、別々に読むと取り違えにくい。

厚さと重さだけで順位をつけない

厚みは判断材料の一つだが、厚い順に長持ちするとは限らない。

重さにも、アスファルトだけでなく基材や表面材が含まれる。同じ厚さでも補強方法は異なり、重いから柔軟性が高いとも言い切れない。

まず製品名を特定し、断面構成と、メーカーがどの性能を示しているかを見る。数値を比べるなら、試験方法や条件がそろっていることも必要だ。。

選択肢になる住宅・注意したい条件

選択肢になる住宅
  • 初期費用だけでなく、防水の長持ちも重視したい家
  • 屋根材の交換まで、下の防水シートも長く使いたい家
  • 新築や葺き替えで、防水シートを新しくする家
注意したい条件
  • 同じ改質タイプでも、基材や製品によって耐久性は異なる
  • 勾配の緩い屋根では、対応する製品と施工方法を確認する
  • カバー工法では、既存の屋根に適した製品を選ぶ

メンテナンスと注意点

端部や重ね部は製品名以上に重要

屋根全体を高性能なルーフィングで覆っても、軒先・ケラバ・谷・壁際・配管まわりの納まりが不十分なら、そこが雨水の入口になる。

ルーフィングは、平らな面よりも、折り曲げる場所や部材が交差する場所で施工差が出やすい。

張る方向と重ね順を確認

下葺き材は、原則として軒先側から棟側へ張り上げる。上側のシートを下側へ重ねることで、雨水が重ね部へ入りにくい形をつくる。

上下を逆に重ねれば、高性能な製品でも水を受ける向きになってしまう。

施工写真は屋根材を載せる前に残す

完成後の屋根写真では、使用したルーフィングも、その施工状態も分からない。

新築や葺き替えでは、次の写真が役立つ。

・谷・壁際・天窓まわりなどの接合部

・製品名が読める包装やシートの印字

・屋根全体に敷き終えた状態

ひつヤギ君

改質アスファルトなら、940より厚いシートを選べばいいの?

じギィ博士

厚さだけでは決められんぞ。改質材の配合や基材、釘穴まわりの性能も製品によって違うんじゃ。

ひつヤギ君

見積書に「改質アスファルトルーフィング」と書いてあれば十分じゃないんだね。

じギィ博士

そうじゃ。屋根材で隠れた後では見分けにくい。メーカー名と製品名を決め、施工前の梱包と施工中の写真を残しておくと安心じゃ。

暮らしを作る12の図鑑

HOUSE BUILDING ENCYCLOPEDIA

家づくりの知識を、ひとつずつ。

じギィ博士の研究ノート

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