屋根図鑑No.013
アスファルトルーフィング940
Asphalt Roofing Felt 940
紙系の原紙にアスファルトを染み込ませた、標準的な屋根の下葺き材。
材料費を抑えやすい。ただし、交換には上の屋根材を動かす工事が伴う。

| 耐久性 | 破れにくさ | 釘穴止水性 | コスト |
| ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
アスファルトルーフィング940とは?
屋根の下地となる「野地板」の上に敷く、防水シート。
原紙にアスファルトを含ませ、表面もアスファルトなどで覆っている。紙が芯になっているが、普通の紙をそのまま屋根に敷くわけではない。
役割は、瓦・スレート・金属屋根などの隙間から入った雨水を受け、軒先へ流すこと。屋根材が雨の大部分を流し、その下でルーフィングが建物への浸入を防ぐ。
「940」は製品の規格上の呼び名で、厚さや耐用年数を示す数字ではない。
POINT
- 紙系の原紙とアスファルトでつくられる
- 屋根材を通り抜けた雨水を排出する
- 選ぶときの強みは材料費の抑えやすさ

メリット・デメリット
- 高機能な下葺き材と比べ、材料費を抑えやすい
- 複数のメーカーから販売され、製品を探しやすい
- 規格への適合を、製品資料で確認できる
- 長期耐久性や柔軟性を重視するなら、改質系との比較が必要
- 施工中の引っ掛けや折り曲げで、傷めないよう扱う必要がある
- 屋根が完成すると隠れるため、表面から傷みを見つけにくい
製品と仕様の違い
左右の勾配をそろえるか、軒の高さをそろえるかで、屋根の姿が変わる。

色付きでも、改質アスファルトとは限らない
緑や青などの表面色だけでは、940と改質アスファルトルーフィングを見分けられない。
着色や表面処理は、施工時の墨の見やすさ、べたつきや滑りへの対策を目的としている場合もある。色が付いているから高耐久、黒いから低性能、という区別はできない。
見積書の「カラールーフィング」という表記だけでは判断せず、製品名から材料の種類を確かめる。

改質系との差は、厚さだけではない
改質アスファルトルーフィングは、合成ゴムや樹脂等を加えてアスファルトの性質を調整したもの。柔軟性や釘穴の止水性等を高めた製品がある。
同じ厚さでも使っているアスファルトや芯の基材が違えば性能は変わる。
また、「940=紙、改質=不織布」とも限らない。改質系にも紙を基材にした製品があるため、材料名と基材は分けて見る。
選ぶときに役立つ三つの視点
材料の価格差と、工事の差額を分ける
「改質系は940の何倍」と聞いても、それだけでは住宅全体でいくら増えるのか分からない。
新築時の仕様変更なら、比較するのは940を使う場合と、指定した改質系製品を使う場合の工事差額。材料だけの販売価格には、運搬・施工・副資材などが含まれていないこともある。
「高い材料か」だけでなく、「今回の屋根でいくら変わるか」に置き換えると判断しやすい。
太陽光パネルがあるなら、交換の手間も含める
屋根材の下にあるルーフィングを交換するには、上に載っているものを外す作業が必要になる。
太陽光パネルがある屋根では、改修範囲によってパネルや架台の脱着も伴う。下葺き材そのものの価格より、そこへたどり着くための工事が負担になる場合がある。
長く使いたい屋根ほど、最初の材料費と将来の交換作業をセットで考えたい。
屋根材の長寿命を、そのまま当てはめない
「瓦が長持ちするから、屋根全体も同じ期間使える」とは限らない。
屋根材が健全でも、ルーフィングや野地板の補修が先に必要になることがある。屋根材の耐用年数は、その下にある部材の寿命まで保証する数字ではない。
940についても、「何年で必ず交換」と一律に決めるのではなく、使用製品・施工時期・雨漏り歴を残し、屋根全体の改修計画に結び付ける。
選択肢になる住宅・注意したい条件
- 使用する屋根材の施工要領で、940が認められている
- 初期費用と、将来の屋根改修にかける費用を比較して選びたい
- 指定製品の性能と施工条件を把握できている
- 緩勾配の屋根では、下葺き材に追加の指定がないかを見る
- 谷・天窓・壁際が多い屋根では、一般部分とは別の防水処理にも目を向ける
- 屋根材を長期間残したい計画では、高耐久の下葺き材との差額も比較する
メンテナンスと注意点
すでに940の家でも、材料名だけで葺き替えないき

「940は耐久性が低い」と聞いても、それだけで屋根を全面撤去する理由にはならない。
判断したいのは、実際に雨水が入っているか、屋根材に割れやずれがあるか、下地まで傷んでいるか。材料の種類は調査の手掛かりであって、交換を決める診断結果ではない。
雨漏りがある場合は、塗装を先に決めず、原因と補修範囲を調べる。
屋根塗装では、下のシートは更新されない

塗装で屋根の色がきれいになっても、ルーフィングの年齢は変わらない。
塗装見積りと葺き替え見積りを比べるときは、見た目だけでなく、どの部材まで新しくなる工事かをそろえて見る。
なお、カバー工法は既存屋根の上へ新しい防水層を設ける方法。古いルーフィングを取り外して交換する工事とは異なる。下地が傷んでいる場合は、覆う前の補修が必要になる。
完成写真より、隠れる前の写真を残す

完成後の屋根写真では、使用したルーフィングも、その施工状態も分からない。
新築や葺き替えでは、次の写真が役立つ。
・谷・壁際・天窓まわりなどの接合部
・製品名が読める包装やシートの印字
・屋根全体に敷き終えた状態
ひつヤギ君1本が幅1m、長さ21mなら、屋根を21㎡覆えるんだね。
じギィ博士シートそのものの面積はそうじゃ。ただし、施工では端を重ねるから、実際に覆える面積は小さくなるぞ。
ひつヤギ君屋根面積を21で割れば、必要な本数が出るわけじゃないんだ。
じギィ博士そうじゃ。壁際の立ち上げや、切り落とす分もある。材料の数量と屋根面積が違っていても、すぐに余計な請求とは判断できんのじゃ。
暮らしをつくる12の図鑑
HOUSE BUILDING ENCYCLOPEDIA
家づくりの知識を、ひとつずつ。
じギィ博士の研究ノート


