間取り図鑑No.005
玄関
Entrance
玄関は、外から室内へ入る場所であり、家の中の動きが始まる場所でもある。玄関から廊下へ進むのか、リビングへ直接入るのか、家族と来客で通り道を分けるのかによって、暮らし方は変わる。
広さや収納量だけで決めず、玄関から家のどこへつなぐかを考えたい。

| 広さ | 動線 | 収納 | プライバシー |
| ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
※星が多いほど、その場所を計画するときに慎重な検討が必要となる。
玄関とは?
玄関は、外と室内をつなぐ境目である。帰宅後に手を洗う、上着をしまう、買い物袋をキッチンへ運ぶなど、玄関の先に何を配置するかで毎日の動きが変わる。
玄関から家族と来客の通り道を分ける間取りは、2way玄関と呼ばれる。家族用と来客用の経路を分けられる一方、通路や壁に面積を使う。設ければ便利になるとは限らず、家族が実際に使う経路かどうかが判断のポイントとなる。
- 玄関から廊下・リビングなど、どこへつなぐかを考える
- 家族と来客の動線を分ける目的をはっきりさせる
- 玄関や通路に使う面積と、得られる便利さを比べる

主な種類と違い
玄関から廊下へつながる形

玄関から廊下に入り、各部屋へ向かう形。リビングを通らずに洗面室や個室へ行けるため、来客中も家族が移動しやすい。
一方、廊下が長くなると、通路に使う面積が増える。玄関から廊下の先まで視線が抜ける場合もある。
玄関からリビングへ入る形

玄関からリビングへ直接入る形。廊下を短くでき、居室に面積を使いやすい。家族の帰宅に気づきやすい反面、来客もリビングを通る。
リビングで過ごしているときの見え方や、洗面室・階段へ向かう経路を考えておきたい。
家族と来客の通り道を分ける形

玄関から来客用のホールと家族用の経路に分かれる2way玄関。家族は別の経路から室内へ進み、来客は玄関ホールからリビングへ案内するといった使い分けができる。
玄関を整えやすい一方、通路や壁に面積を使うため、家族用の経路が遠回りにならないかを確認する。
メリット・デメリット
- 帰宅後に洗面室やキッチンへ向かう経路を整えられる
- 廊下を短くする、または来客と家族の通路を分けるなど、暮らしに合わせて計画できる
- 玄関から室内への視線や、来客時の家族の出入りを調整しやすい
- 廊下やホールを増やすと、居室に使える面積が減る
- リビング直結型では、来客から室内が見えやすい
- 2way玄関は、家族が別経路を使わないと面積に見合う効果が出にくい
玄関は「広さ」より、靴を脱ぎ履きする姿勢で決まる
玄関では、靴を脱ぐだけでなく、ひもを結ぶ、子どもの靴を履かせる、荷物を持ち替えるといった動作もある。土間の面積だけを見ていると、靴を履くときに腰掛ける場所や、立ち上がるための支えを見落としやすい。
家族が普段どのように靴を履くかを考え、必要ならベンチや手すりを配置する。腰掛けたときに足元へ靴を置けるか、立ち座りの動作を妨げないかまで確認したい。
上がり框の高さや位置によっても、靴を脱ぎ履きする負担は変わる。段差をまたぐ動作や、雨の日に濡れた靴を脱ぐ場面も想定し、家族が無理なく使える玄関かを確かめる。
選ぶときに役立つ三つの視点
帰宅後の行動からつなぐ場所を決める

手洗い、着替え、荷物の片付けなど、帰宅後の行動を順番に並べる。玄関から洗面室へ行きたいのか、荷物をキッチンへ運びたいのか、すぐリビングへ入りたいのかによって、必要な経路は異なる。
目的地を決めずに通路だけを増やすと、遠回りになることがある。家族がよく行く場所をもとに、玄関からのつながり方を考えたい。
来客に見せる範囲を決める

玄関を開けたとき、来客に見られたくないのは靴や荷物なのか、家族の出入りなのか、リビングで過ごす様子なのかを整理する。
隠したいものによって必要な工夫は異なる。靴だけなら収納の配置、家族の通り道まで分けたいなら2way玄関が候補となる。
玄関に使う面積の優先度を考える

玄関ホールや通路を広くすると、その分、居室やほかの収納に使える面積は減る。
玄関の広さを優先するのか、居室を広く取るのか、必要な機能をもとに家全体で配分する。
2way玄関を設ける場合は、その通路を毎日使う価値があるかも考えたい。
選択肢になる住宅・注意したい条件
- 帰宅後に洗面室やキッチンへ向かう流れをつくりたい
- 来客時に家族の通り道や室内を見せたくない
- 玄関の広さより、廊下を短くして居室を確保したい
- 2way玄関を設ける目的が「便利そう」だけになっている
- 家族用の経路が遠回りで、普段の行動と合わない
- 通路やホールを増やした結果、玄関や居室に必要な広さが残らない
購入前の確認と注意点
玄関ドアの寸法と開閉方向を確認する

玄関ドアは、幅や高さだけでなく、開く向きや開閉時のスペースも確認する。
ドアが壁や靴箱に当たらず、荷物を持ったまま出入りできるかを平面図で見る。
大型家具や家電を搬入する予定がある場合は、玄関から設置場所までの経路もたどり、途中で通れなくなる場所がないか確かめておきたい。
土間から廊下までの高さを確認する

玄関の広さや配置は平面図で分かるが、土間と廊下の高低差は断面図を見ないと把握しにくい。
土間、上がり框、廊下の高さを確認し、家族にとって上がり下りしやすいかを設計担当者に相談する。手すりや式台を設ける場合は、取り付ける位置と通行への影響も合わせて確認したい。
夜間照明とスイッチの位置を確認する

夜に帰宅したとき、玄関ドアの鍵穴や靴を脱ぐ場所が見えるかを確認する。
照明の明るさだけでなく、帰宅してからどこで点灯・消灯するのかも大切である。
スイッチの位置や人感センサーの要否を決め、掃除などに使うコンセントが必要なら、用途に合わせて配置を図面に反映しておく。
ひつヤギ君玄関から洗面室へ行けるようにしたら、帰宅後は便利かな?
じギィ博士家族がその経路を毎日使うなら便利じゃ。まず帰宅後の行動を並べて、通路を増やす意味があるか考えるのじゃ。
暮らしをつくる12の図鑑
HOUSE BUILDING ENCYCLOPEDIA
家づくりの知識を、ひとつずつ。
じギィ博士の研究ノート


