屋根図鑑No.012

差し掛け屋根

Staggered Roof

屋根に段差をつくり、建物の内側へ光を招く形。
高窓をどこに向け、どの部屋につなぐかで、その価値が変わる。

スクロールできます
雨仕舞耐風性価格小屋裏
★★☆☆★★☆☆☆★★

差し掛け屋根とは?

「さしかけやね」と読む、壁に片流れ屋根を差し掛けた形。この図鑑では、二つの屋根を上下にずらし、その間に壁ができる「段違い屋根」を紹介する。

招き屋根は屋根面の長さが違う形。差し掛け屋根は、屋根面の間に段差がある形。 横から見ると区別しやすい。

※「差し掛け屋根」は、2階の外壁に接する1階の下屋を指す場合もある。

POINT
  • 二つの屋根の間に段差壁ができる
  • 高窓から、外周の窓とは違う位置へ採光できる
  • 下側の屋根は、棟ではなく壁に接して終わる

メリット・デメリット

メリット
  • 建物の中央付近に採光口を設け、外壁から離れた場所へ光を届けられる
  • 高窓に採光を任せることで、低い位置の壁を収納や家具に使える
  • リビングは高く、隣の部屋は低くするなど、部屋ごとに天井の高さを変えられる
デメリット
  • 段差壁の向きによっては、高窓から直射日光が入り、まぶしさや暑さにつながる
  • 上の屋根や段差壁が、下の屋根に載せる太陽光パネルへ影を落とす場合がある
  • 屋根と壁の工事が接するため、屋根だけの改修でも外壁を一部外すことがある

形状とデザインの違い

段差は、大きくすればよいわけではない。外観のアクセントに使うか、室内へ光を取り込むかで、必要な高さが変わる。

段差を抑えた形

細い段差で屋根の輪郭に変化をつける形。建物全体を高く見せすぎず、落ち着いた外観にまとめられる。

窓を付けない設計もある。その場合は、段差によって室内にどんな高さや広がりが生まれるかを見たい。外観では段違いでも、室内が平らな天井なら、その形を直接感じられないこともある。

高窓を設ける形

段差壁に窓を並べ、勾配天井や吹き抜けへ光を取り込む形。

外から窓が見えることと、欲しい場所が明るくなることは別。 窓の先が小屋裏だったり、途中に天井や間仕切りがあったりすると、居室には光が届かない。

向いてる住宅・注意したい条件

向いてる住宅
  • 奥行きある平屋で、中央ダイニングや廊下が暗くなりやすい家
  • 隣家との視線を避けつつ、日中の明るさを確保したい家
  • 壁面を本棚や収納に使い、採光口を高い位置へ移したい家
注意したい条件
  • 寝室に高窓を設けるなら、朝日を遮れるか。明るさが早朝の目覚めにつながることもある
  • テレビやパソコンの近くでは、画面への映り込みまで考える
  • 太陽光パネルは、上下の屋根を合計した面積ではなく、影を避けて配置できる範囲で検討する

メンテナンスと注意点

高窓は「開けられる」より「閉められる」を考える

手が届かない窓では、突然の雨や外出前に、すぐ閉められることが大切。操作棒が必要なら、その保管場所と、家具を置いたあとも操作できる足元の空間を残す。

採光だけが目的なら、開かないFIX窓も選択肢になる。ただし、開かなくてもガラスの清掃は必要。

カバー工法では、窓下の余裕が減る

既存の屋根に新しい屋根材を重ねると、仕上がりの屋根面が高くなる。段差壁の窓が屋根に近い家では、その分だけ窓下の空間が狭くなる。

問題は見た目だけではない。壁際の板金や防水材を納める場所が足りるか、窓の水抜き部分を邪魔しないかが判断点になる。

外壁を張り替えるなら、隠れた接合部を記録する

段差壁を張り替える際は、普段見えない屋根と壁の防水のつながりを調べる機会になる。屋根材がまだ使えても、壁際の板金や防水シートまで同じ状態とは限らない。

外壁を戻す前に、板金の裏側、防水シートの重なり、補修した場所を写真に残してもらう。完成後の写真だけでは分からない部分が、次の修繕の手掛かりになる。


ひつヤギ君

高い窓を開ければ、夏の熱気が全部抜けそうだね。

じギィ博士

暖かい空気の出口にはできるが、入ってくる空気の道も必要じゃ。低い位置の窓などから、高窓まで空気が通るかを考えるんじゃよ。

ひつヤギ君

高窓だけ開ければいいわけじゃないんだ。

じギィ博士

そうじゃ。それに、外が暑い時間は開けても涼しくなるとは限らん。外気が涼しい時間に熱を逃がす、という使い方じゃな。

暮らしをつくる12の図鑑

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家づくりの知識を、ひとつずつ。

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