屋根図鑑No.010
入母屋屋根
Hip-and-Gable Roof
三角形の妻面を見せながら、四方に軒を巡らせる屋根。
棟や破風の仕上げによって、重厚にも控えめにも表情を変える。

| 雨仕舞 | 耐風性 | 価格 | 小屋裏 |
| ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ |
入母屋屋根とは?
「いりもややね」と読む、上部が切妻、下部が寄棟の形をした屋根。
寄棟屋根との見分け方は、両端の上部に三角形の壁「妻面」があること。その下にも屋根が回り込み、建物の四方に軒が続く。二つの屋根を別々に載せるのではなく、一つの屋根として組み上げる。
妻面の斜めの縁を飾る「破風板」や、瓦を積んだ棟が外観の見どころになる。一方、妻壁の下端と屋根が接する部分には、壁を伝う雨を屋根へ逃がす処理が必要だ。
入母屋は形の名称であり、瓦専用ではない。金属で葺いても、妻面と四方の軒を持つ基本形は変わらない。
- 上部に妻面、下部に四方向の屋根面
- 棟と破風の仕上げが外観を左右
- 妻壁の下にも防水処理が必要

メリット・デメリット
- 上部の三角形と下部の軒が重なり、和風住宅らしい立体感が生まれる
- 四方向に軒を設けられ、妻側の窓や外壁も覆える
- 妻面に開口部を設け、小屋裏の換気や採光に利用できる
- 屋根面だけでなく、棟・破風・妻壁にも手入れが必要
- 屋根材を替えても形状の複雑さは残り、加工や接合の手間を減らしにくい
- 古い飾り瓦は同じ製品が手に入らず、部分交換でも外観が変わる場合がある
形状とデザインの違い
入母屋屋根の印象は、瓦の色だけでは決まらない。棟の高さ、破風の厚み、軒の反りが建物との釣り合いをつくる。

棟や装飾を強調した形
棟瓦を高く積み、鬼瓦や飾り瓦を見せる仕上げ。屋根の輪郭が際立ち、平屋でも存在感が出る。
改修で棟を低くすると、重量を減らせる場合がある一方、正面の印象も変わる。残したい鬼瓦や棟の姿は、撤去前に写真で共有しておきたい。

棟や装飾を抑えた形
棟を低くまとめ、破風や軒の線をすっきり見せる仕上げ。入母屋の形を生かしながら、現代的な外壁にも合わせやすい。
金属屋根へ替える場合は、瓦の厚みがなくなることで破風が目立つこともある。屋根面の色と合わせて、軒先や破風の見え方まで確認する。
向いてる住宅・注意したい条件
- 平屋や低層住宅で、屋根を外観の主役にしたい家
- 縁側や庭に面した窓を、連続した軒で覆いたい家
- 古い和風住宅の姿を残しながら改修したい家
- 正面に見せたい妻面と、道路から実際に見える向きが合っているか
- 小屋裏収納を計画するなら、高さだけでなく柱や斜材が通路を遮らないか
- 増築歴がある家では、入母屋本体と増築屋根の接合部を見落とさない
メンテナンスと注意点
漆喰が落ちたら、棟のずれまで見る

瓦葺きの入母屋では、複数の棟に漆喰が使われていることがある。庭に白い破片が落ちていても、それだけで屋根全体の葺き替えとは決まらない。
漆喰の傷みと、棟の崩れは別の問題。 漆喰だけの剥がれなら部分補修で済む場合があるが、瓦がずれたり棟が蛇行したりしていれば、積み直しや固定の修復を検討する。
雨漏りが再発するなら、妻壁の下も調べる

瓦を交換したのに雨漏りが止まらない場合は、妻壁と屋根の接合部も調査対象になる。入母屋には、屋根の途中に壁が立ち上がる箇所があるためだ。
「強風を伴う雨だけで漏れる」「長雨になると染みが広がる」など、発生条件を写真と一緒に残す。室内の染みは水の出口であり、入口が真上にあるとは限らない。
瓦を残せるかは、表面と下地を分けて判断

「瓦はきれいなのに、葺き替えが必要なのか」という悩みは、下葺き材や野地板の状態を見ると整理できる。
瓦が健全なら、一度外して下地を直し、使える瓦を戻す葺き直しが選択肢になる。ただし、取り外す際の割れや、補充用の瓦を確保できるかによって可否は変わる。
ひつヤギ君小屋裏が広いなら、天井を外して吹き抜けにできそうだね。
じギィ博士先に小屋組を見たいのう。入母屋の複雑な形を支える柱や斜材が、使いたい場所を通っていることもあるぞ。
ひつヤギ君高さがあっても、邪魔な木を自由に取れるわけじゃないんだね。
じギィ博士そうじゃ。部材を見せて生かす方法もある。残す骨組みと、断熱する位置を決めてから空間を考えるんじゃ。
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