屋根図鑑No.009
陸屋根
Flat Roof
傾斜を抑え、建物を水平に閉じる屋根。
屋上を使えるか、雨水をどう逃がすかで、設計も維持費も変わる。

| 雨仕舞 | 耐風性 | 価格 | 小屋裏 |
| ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ★☆☆☆☆ |
陸屋根とは?
「ろくやね」と読む、ほぼ水平な屋根。完全な平面ではなく、排水口へ向かう緩い勾配をつけて雨水を流す。
屋根面は、シートや塗膜などの防水層で覆う。周囲に低い壁「パラペット」がある場合は、その内側まで防水層を立ち上げ、屋根面とつなげる。集まった水を排出する部品が「ルーフドレン」。
平らな屋根と、人が使える屋上は別。 点検時だけ立ち入る屋根もあり、テラスとして使うには、人や家具の重さに耐える構造と、防水層を傷めない床の仕様が必要になる。
- わずかな勾配で排水口へ水を集める
- 屋根面から周囲の立ち上がりまで防水
- 屋上利用には専用の設計が必要

メリット・デメリット
- 高い棟を設けず、水平な輪郭の外観にまとめられる
- 屋上利用を計画すれば、地上の庭とは別の屋外空間をつくれる
- 設備を屋上に置くことで、敷地内の通路や庭を確保できる
- 排水口が詰まると、周囲の壁に囲まれた屋根面に水がたまりやすい
- デッキや設備を載せるほど、防水改修時の撤去・復旧作業が増える
- 軒を出さない外観では、窓の日よけや外壁への雨掛かりを別に考える必要がある
形状とデザインの違い
外から同じ箱型に見えても、内側の屋根が違えば手入れも変わる。

防水層で仕上げる陸屋根
シート防水・塗膜防水・アスファルト防水などで屋根面を覆う形。
防水層を露出させる仕様と、保護材などで覆う仕様がある。露出していれば傷みを見つけやすく、保護されていれば表面から防水層の状態を直接確認しにくい。見えている床面が、そのまま防水層とは限らない。

勾配屋根を隠した陸屋根風
緩い勾配の金属屋根などを、外周の壁で隠した形。
修繕の対象は屋根材や板金、樋になる。中古住宅では、外観写真だけで陸屋根と判断せず、屋根伏図や点検写真で実際の構成を把握したい。
向いてる住宅・注意したい条件
- 屋根の傾斜を見せず、箱型の外観にしたい家
- 狭い敷地で、屋上を物干しやくつろぎの場所として使いたい家
- 点検や修繕のために、屋根へ上がる経路を確保できる家
- 周囲に高い木がある敷地では、落ち葉が集まる排水口の位置に注意
- 屋上への出入口は、使いやすさと雨水を室内へ入れない高さの両立が必要
- 積雪地では、雪の重さに加え、排水口が雪や氷でふさがる条件も考える
メンテナンスと注意点
排水口は「詰まり」と「流れ」を分けて見る

落ち葉よけのカバーがきれいでも、排水管の中まで通っているとは限らない。掃除後も同じ場所に水が残るなら、管の詰まりや屋根面の勾配を調べる。
非常用の排水口「オーバーフロー」からの出水は、通常の排水が追いついていないサイン。水が出ている出口をふさがず、主排水の不具合を探る。
トップコートの塗り直しと、防水改修を区別

トップコートは、防水層の表面を保護する仕上げ。塗り直して見た目が整っても、防水層の破れや下地の傷みまで直るわけではない。
見積りでは、表面保護だけの工事か、防水層そのものを直す工事かを確認する。膨れや継ぎ目の浮きがある場合は、その処置が含まれているかも見る。
改修費は屋根面積だけで比べない

平らな面が同じ広さでも、周囲の立ち上がりの長さ、ドレンの数、設備配管の貫通箇所で工事量は変わる。
デッキや室外機がある屋根では、移動・撤去・復旧費も必要になる。見積りは「防水○㎡」の単価に加え、端部・排水口・設備まわりの工事範囲をそろえて比較する。
ひつヤギ君屋上に人工芝を敷けば、手軽に庭みたいにできそうだね。
じギィ博士先に、防水層を傷めない敷き方と、点検のためにはがせるかを考えたいのう。排水口を覆うと、落ち葉や泥にも気づきにくくなるぞ。
ひつヤギ君じゃあ、簡単にはがせるようにして、排水口の周りは空けておけばいいんだね。
じギィ博士そうじゃ。排水口の周囲を空けて、掃除できる場所を残す。屋上は、使いやすさと手入れのしやすさを一緒につくるんじゃ。
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