土地図鑑No.001

用途地域

Zoning District

建てられる建物の用途を地域ごとに分け、住環境や商業・工業の利便を整える都市計画のルール。
土地選びでは、今の街並みだけでなく「将来、周囲に何が建てられるか」を読む手掛かりとなる。

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種類分かること分からないこと確認先
13種類建てられる用途の傾向建物の大きさや高さの全条件自治体の都市計画図・窓口

用途地域とは?

住宅・店舗・工場などが無秩序に混在しないよう、建築できる建物の用途を地域ごとに定める仕組み。

大きく住居系8種類・商業系2種類・工業系3種類に分かれる。住宅を建てられる地域でも、店舗や事務所、ホテル、工場などをどこまで認めるかが異なる。

土地選びで見るべきなのは、名称のイメージだけではない。用途地域は「現在そこに何があるか」ではなく、その地域で何が建てられる可能性があるかを示す。

POINT
  • 用途地域は周辺環境の将来像を読む材料
  • 同じ用途地域でも建物の高さや大きさは別の指定で変わる
  • 用途地域が指定されていない土地もある

13種類は三つのグループで見る

住居系|住環境を守る8種類

用途地域街の傾向
第一種低層住居専用地域低層住宅を中心とする落ち着いた地域
第二種低層住居専用地域低層住宅を中心に、小規模な店舗なども認める地域
田園住居地域低層住宅と農地が調和する環境を守る地域
第一種中高層住居専用地域中高層住宅を中心とする地域
第二種中高層住居専用地域中高層住宅を中心に、一定の店舗や事務所も認める地域
第一種住居地域住宅環境を守りながら、店舗や事務所も認める地域
第二種住居地域住宅と、より幅広い店舗・施設が共存する地域
準住居地域幹線道路沿いの利便と住環境の調和を図る地域

「住居系」でも、店舗や共同住宅が一切建たないわけではない。建物の種類・規模によって可否が変わる。

商業系|買い物や業務の利便を高める2種類

用途地域街の傾向
近隣商業地域近隣住民の日常的な買い物を支える地域
商業地域店舗・事務所・娯楽施設などが集まりやすい地域

駅前や中心市街地に多く、利便性を得やすい。一方、高い建物、交通量、夜間の明るさや音も確認したい。

工業系|工場の利便を優先する3種類

用途地域街の傾向
準工業地域住宅・店舗と軽工業などが混在しやすい地域
工業地域工場の利便を高める地域。住宅も建築できる
工業専用地域工場のための地域。住宅は建築できない

準工業地域は「工業」という名称だけで住宅に不向きとは決まらない。反対に、現在は静かでも、将来の土地利用まで同じとは限らない。

用途地域で分かること・分からないこと

分かること
  • 住宅・店舗・工場など、建てられる用途の範囲
  • 街が住居・商業・工業のどれを中心に計画されているか
  • 将来の周辺環境を考えるための大枠
用途地域だけでは分からないこと
  • 建てられる面積と延べ床面積
  • 建物の最高高さや斜線制限
  • 防火地域・準防火地域の指定

選ぶときに役立つ三つの視点

今の建物ではなく、建て替え後を考える

目の前が平屋や空き地でも、その状態が続くとは限らない。

用途地域と高さ・容積の指定を見て、将来そこへ共同住宅、店舗、事務所などが建つ可能性を考える。眺望や日当たりを周辺の現況だけで判断しない。

便利さと静かさの優先順位を決める

駅や店に近い土地は便利だが、人や車の動きも増えやすい。低層住宅を中心とする地域は落ち着きやすいが、買い物や通勤が不便な場合もある。

用途地域の名称に優劣はない。家族が何を便利と感じ、何を避けたいかで選ぶ。

建てたい家が入るかを確認する

用途地域が住宅を認めていても、希望する床面積、高さ、三階建て、店舗併用などがそのまま実現できるとは限らない。

土地の建ぺい率・容積率・高さ制限・道路条件まで重ね、希望する家の概略プランが収まるかを見る。

選択肢になる土地・注意したい条件

住宅地として検討しやすい条件
  • 希望する暮らしと周辺の土地利用方針が合っている
  • 将来建ち得る建物を考えても、日当たりや静かさを受け入れられる
  • 用途地域以外の建築条件でも希望の家が収まる
注意したい条件
  • 用途地域の境界や幹線道路に近い
  • 現在の空き地や低い建物を前提に日当たりを判断している
  • 用途地域だけを見て、地区計画や高さ・防火指定を確認していない

購入前の確認と注意点

自治体の都市計画図で確認する

不動産広告の記載だけでなく、自治体が公開する都市計画図やGISで位置を確認する。色だけで判断せず、用途地域名、建ぺい率、容積率、その他の指定を読む。

境界が近ければ窓口で確認する

ウェブ地図は縮尺や表示位置によって境界が曖昧に見える。敷地内や道路の向かい側に境界がある場合は、自治体の都市計画窓口で確認する。

重要事項説明と設計条件をそろえる

契約前に、重要事項説明書の用途地域と各種制限が自治体資料と一致するか確認する。建築会社へ渡す資料も同じ条件にそろえ、購入前の概略プランと条件の食い違いを防ぐ。

ひつヤギ君

第一種低層住居専用地域なら、ずっと静かなままなの?

じギィ博士

低層住宅を中心とする地域でも、周辺の建物や交通まで保証するものではない境界の向こう側や幹線道路も確認する。

暮らしをつくる12の図鑑

HOUSE BUILDING ENCYCLOPEDIA

家づくりの知識を、ひとつずつ。

じギィ博士の研究ノート