構造・工法図鑑No.001

木造軸組

Japanese Post and Beam Construction

柱、梁、土台を組み合わせて骨組みをつくり、筋かいや構造用面材を張った耐力壁で地震や風に抵抗する工法。「在来工法」と呼ばれることも多い。

間取りの自由度は高いが、好きな場所へ自由に窓を設けられるわけではない。重要なのは柱の本数より、耐力壁・床・接合金物・基礎が途切れずにつながっているかとなる。

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間取り自由度大空間改修性品質安定性
★★★★☆★★★☆☆★★★★☆★★★☆☆

木造軸組工法とは?

木造軸組工法は、基礎の上に土台を置き、柱を立て、その上へ梁や桁を架けて骨組みをつくる工法。

住宅の重さは、屋根や床から梁、柱、土台、基礎へと下向きに伝わる。地震や風による横向きの力は、筋かいや構造用面材を使った耐力壁で受け止める。

柱と梁だけを組んでも、横から押されると四角形が平行四辺形のように変形しやすい。そこで斜め材となる筋かいを入れるか、骨組みの外側へ構造用面材を留め、壁の変形を抑える。

POINT
  • 柱と梁は、屋根や床の重さを基礎へ伝える
  • 筋かいや構造用面材は、地震や風による横揺れを受け持つ
  • 耐力壁だけでなく、床・金物・基礎までつながって初めて力を発揮する

主な種類と違い

筋かい耐力壁|壁の中へ斜め材を入れる

柱と柱の間へ、木材の筋かいを斜めに入れた耐力壁。片方向に1本入れる方法と、交差させる「たすき掛け」がある。

地震では建物が左右へ繰り返し揺れるため、筋かいには押される力と引っ張られる力が交互に加わる。筋かい材だけが太くても、端部の金物が外れれば耐力壁として働かない。

壁の内部を斜めに横切るため、配管、分電盤、埋込収納、換気ダクトと干渉しやすい。現場で筋かいを切り欠いて設備を通すと、設計した耐力を失うおそれがある。

面材耐力壁|板と釘で骨組みの変形を抑える

柱や土台、梁の外側へ構造用合板などを張り、指定された釘で固定した耐力壁。

面材そのものだけでなく、釘の種類、間隔、端からの距離、打ち込み深さによって性能が決まる。釘の間隔が広すぎる、釘頭を深く沈めすぎる、面材の端から外れているといった施工では、カタログ上の壁倍率を発揮できない。

窓や玄関の部分は面材を張っていても、開口があるため一枚の耐力壁として単純には数えられない。窓の両側に残る壁の幅まで含めて構造計画が必要となる。

金物工法・門型フレーム|接合部や大開口を補強する

柱と梁の接合部に専用金物を使い、木材を大きく削らずに組み立てる工法がある。一般に金物工法と呼ばれるが、鉄骨造になるわけではなく、構造の基本は木造軸組となる。

広い窓やビルトインガレージなど、耐力壁を置きにくい場所では、柱と梁を強固に接合した門型フレームを使うこともある。

ただし、金物やフレームを使えば自動的に耐震性が上がるわけではない。製品ごとに決められた梁、柱、金物、ボルト、基礎との接合を一組で設計する必要がある。

メリット・デメリット

メリット
  • 柱と耐力壁を分けて計画できる
  • 構造の選択肢が多い
  • 非耐力壁は変更しやすい
デメリット
  • 耐力壁の位置が間取りを制限する
  • 接合部の数が多い
  • 設備工事と構造材が干渉しやすい

木造軸組の耐震性は「力の通り道」で決まる

地震に強い木造軸組を考えるとき、耐力壁の枚数だけを見るのは不十分となる。

地震による横向きの力は、屋根や2階床へ集まり、床の面を通って耐力壁へ伝わる。耐力壁の端では柱を引き抜く力が生じ、その力を柱頭・柱脚金物が受け、土台、アンカーボルト、基礎へ流す。

つまり、力の流れは次のようにつながる。

屋根・床 → 耐力壁 → 柱頭柱脚金物 → 土台・アンカーボルト → 基礎

どこか一か所が弱ければ、その先に強い部材を使っても性能を発揮できない。

選ぶときに役立つ三つの視点

壁の量より、計算方法を見る

「耐震等級3」と書かれていても、どの方法で確認したかによって検討範囲が異なる。

仕様規定による壁量計算では、必要な耐力壁の量、配置、柱の接合などを確認する。住宅性能表示制度では、等級に応じた地震力に対し、壁、床、接合部、基礎などを評価する。耐震等級3は、建築基準法で想定する地震力の1.5倍に対して倒壊・崩壊しない程度が基準となる。

「等級3相当」という言葉だけではなく、住宅性能評価を取得するのか、どの構造計算方法を使うのかまで分けて見る。

耐力壁と大きな開口を同じ図面で見る

窓が大きいほど明るく開放的になるが、その部分には耐力壁を置けない。特に建物の角近くに大きな窓を設けると、外周部で横揺れを受ける壁が不足しやすい。

間取り図だけでなく、耐力壁の位置を重ねた図面で確認する。南側へ大開口を集めるなら、残りの壁、建物内部の耐力壁、門型フレームなどでどのように補うかが重要となる。

窓を小さくすればよいという話ではない。開口と構造を同時に決めているかが判断点となる。

設備配管が構造材を横切る場所を見る

2階のトイレや浴室、キッチンの排水管は、太い管を下階へ通す必要がある。換気設備や全館空調では、さらに大きなダクトスペースが必要となる。

これらの経路を後から決めると、筋かい、梁、耐力面材と干渉する。特に梁の中央付近へ大きな穴を開ける、筋かいを切る、耐力面材を大きく欠くといった処理は避けなければならない。

設備図と構造図を別々に完成させるのではなく、配管・ダクト経路を構造計画へ先に反映できているかを見る。

選択肢になる住宅・注意したい条件

検討しやすい住宅
  • 窓、収納、間仕切りを細かく調整したい住宅
  • 将来、非耐力壁の位置を変える可能性がある住宅
  • 筋かい、面材、金物、フレームを使い分けて間取りを組み立てたい住宅
注意したい条件
  • 南面の連続窓、吹き抜け、ビルトインガレージを同時に設ける住宅
  • 1階を大空間、2階を細かな個室にして上下の壁位置が大きくずれる間取り
  • 排水管や換気ダクトの経路を、構造設計後に決める計画

購入前の確認と注意点

構造計算の条件を最終仕様と一致させる

構造計算書には、階数、間取り、屋根材、外壁、太陽光パネル、吹き抜けなど、計算時の条件がある。

設計後に窓を大きくしたり、太陽光パネルを追加したり、屋根材を変更したりした場合は、完成する住宅と計算条件が一致しているか確認する。古い間取りで取得した耐震等級を、変更後の間取りへそのまま使うことはできない。

耐力壁・金物・梁を図面へ残す

平面図だけでは、どの壁が構造を負担しているか分からない。

耐力壁の種類と位置、壁倍率、柱頭柱脚金物、アンカーボルト、梁の寸法、床や屋根の構面が分かる図面を保存する。将来のリフォームで壁や柱を撤去できるか判断する資料にもなる。

「木造軸組だから間取り変更しやすい」のではなく、構造を負担していない部分を図面で見分けられることが重要となる。

壁を閉じる前の施工状態を記録する

筋かい、構造用面材の釘、柱脚金物、梁の穴、アンカーボルトは、完成後には見えなくなる。

耐力面材を張った状態、筋かい端部、金物、配管と梁の取り合いが分かる写真を残す。設計図と異なる位置へ穴を開けた場合や部材を変更した場合は、変更後の構造上の扱いも記録する。



ひつヤギ君

木造軸組なら、柱が多いほど地震に強いの?

じギィ博士

柱の本数だけでは決まらんぞ。横揺れを受けるのは主に耐力壁じゃ。床から耐力壁、金物、基礎まで力がつながっていることが大切じゃ。

暮らしをつくる12の図鑑

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家づくりの知識を、ひとつずつ。

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