外構図鑑No.004
オリーブ
Olive
銀色を帯びた常緑葉と、年月とともに表情が増す幹が特徴の庭木。乾燥には比較的強いが、水はけの悪い土、強い寒風、強剪定後に伸びる徒長枝には注意が必要となる。
実を楽しみたい場合は、オリーブという名称だけでなく、品種・開花時期・受粉相性まで確認したい。

| 成長の穏やかさ | 管理のしやすさ | 目隠し効果 | 狭い庭との相性 |
| ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
オリーブとは?
オリーブは、地中海沿岸を原産地とするモクセイ科の常緑樹。細長く革質の葉を持ち、葉の裏側は白銀色に見える。
枝は横へ広がりながら増え、剪定せずに育てれば小さな鉢植えの姿のままでは収まらない。一般的なオリーブは、成木になると高さ4〜8m、品種や環境によってはさらに大きくなる。
初夏には小さな白い花が咲き、受粉すると緑色の実ができる。実は成熟に伴って紫黒色へ変わるが、収穫した実をそのまま食べることはできず、渋抜きなどの加工が必要となる。
オリーブは一本でも実が付く品種がある一方、全体として自家不和合性が強い。安定して実を付けたい場合は、開花時期が重なる別品種の花粉が必要となる。
- 銀色を帯びた常緑葉と、古くなるほど表情が増す幹が特徴
- 実の付き方は、品種と受粉相性によって大きく変わる
- 乾燥に強くても、植え付け直後や鉢植えでは水切れに注意する


育ち方と管理
日当たりより、水が抜ける場所を優先する

オリーブは日当たりのよい場所で枝葉が充実する。半日陰でも枯れるとは限らないが、枝が光の方向へ偏り、花や実が少なくなりやすい。
さらに重要なのが排水性。地中海性の樹木であるオリーブは、乾燥した土地には対応しやすい一方、根が長時間ぬれ続ける環境を苦手とする。
雨の後に水が残る低い場所、粘土質の狭い植栽枡、雨樋の排水が集まる場所は避けたい。水はけの悪い土では、根の傷みや葉の黄変につながる。
植え付け直後は乾かしすぎない

成木のオリーブは乾燥に比較的強い。ただし、植え付けたばかりの木は、まだ根が周囲の土へ広がっていない。
庭植えでは、土の表面だけで判断せず、根鉢の深さまで乾いているかを見る。鉢植えは庭植えより乾きやすいため、夏に葉が巻く、葉先が茶色くなる、古葉が急に落ちる場合は水切れを疑う。
反対に、受け皿へ水をため続ける管理も避ける。乾燥への強さと、過湿への強さは同じではない。
樹形を小さくするより、上向きの枝を抜く

オリーブは刈り込んで輪郭だけを整えると、枝の途中から細かな新芽が増え、樹冠の内側が混みやすい。
基本は、内向きの枝、交差する枝、真上へ勢いよく伸びる枝を付け根から抜く間引き剪定。中心部へ光と風が入る状態をつくる。
太い枝を一度に切り戻すと、切り口の周囲から強い徒長枝が何本も伸びることがある。
高さを抑えたい場合は、目標の高さを超えてから幹を切るのではなく、若いうちに残す主枝を選ぶ。
メリット・デメリット
- 常緑でも重く見えにくい
- 幹の変化を楽しめる
- 根付いた後は乾燥へ対応しやすい
- 実の有無を予測しにくい
- 強く切ると徒長枝が増えやすい
- 実と古葉が舗装を汚すことがある
選ぶときに役立つ三つの視点
実を付けたいのか、葉と樹形を楽しみたいのか

オリーブ選びでは、最初に実の必要性を決める。
観賞が目的なら、葉色、枝の広がり、幹の形を優先できる。実を収穫したい場合は、一本の姿だけでなく、品種名と受粉相手まで考える必要がある。
異なる品種を二本植えても、開花時期がずれていれば十分に受粉しない。庭に植えられる本数と、開花時期が重なる組み合わせを確認したい。
実を必要としない庭では、実付きのよさがメリットになるとは限らない。玄関アプローチや駐車場の近くでは、落果後の掃除まで含めて判断する。
鉢の大きさではなく、枝の広がりを見る

売り場のオリーブは、細長い鉢に入れられ、枝をひもでまとめた状態になっていることがある。
植え付け後にひもを外すと、枝が想像以上に横へ広がる場合がある。現在の鉢幅ではなく、枝先から枝先までの幅と、主枝が伸びている方向を見る。
建物の角、道路境界、駐車位置の近くでは、枝が成長したときに車や人へ触れないか確認する。幹を壁際へ寄せるのではなく、将来の樹冠が収まる中心位置から植える場所を決めたい。
幹を見せる樹形か、葉を残す樹形かを見る

オリーブには、一本の幹を見せるスタンダード仕立て、低い位置から枝を広げるブッシュ仕立て、複数の幹を立ち上げる株立ち風などがある。
幹を見せる樹形は軽やかだが、目隠しになる葉は高い位置へ集まる。低い位置から枝が出る樹形は目隠しに使いやすい一方、足元の通路を狭くしやすい。
購入時の形をそのまま評価するのではなく、どの高さに葉が必要なのかを先に決める。太くなった主枝を後から切るより、苗木の段階で目的に合う仕立てを選ぶほうが樹形を保ちやすい。
選択肢になる住宅・注意したい条件
- 日当たりがよく、雨水がたまりにくい庭
- 銀葉と幹を庭の主役として見せたい計画
- 品種を組み合わせ、実の収穫も楽しみたい庭
- 粘土質で雨の後に水が残る狭い植栽枡
- 落果すると汚れが目立つ白い舗装や駐車場の近く
- 寒風が抜け、冬に強い凍結が続く場所
購入前の確認と注意点
「オリーブ」ではなく品種名を確認

品種名が分からない苗では、最終的な樹形、実の大きさ、収穫時期、受粉相性を判断しにくい。
実を付けたい場合は、購入する品種と開花時期が重なる受粉品種を確認する。「自家結実性がある」と説明された品種でも、別品種の花粉によって結実が安定する場合がある。
ラベルには品種名だけでなく、挿し木苗か接ぎ木苗かも記載しておきたい。接ぎ木苗では、接ぎ目より下から伸びた枝が購入品種とは異なる可能性がある。
仕立て方と主枝の位置を確認

売り場で整った球形に刈り込まれている苗は、内部に細い枝が密集していることがある。購入後に自然樹形へ戻そうとして強く切ると、徒長枝が増えやすい。
幹を見せたい場合は、低い位置の太い枝を後からすべて落とすのではなく、すでに幹上がりした苗を選ぶ。目隠しに使う場合は、必要な高さに葉が残っているかを見る。
苗の高さより、主幹の数、最初の枝が出る高さ、主枝が向いている方向を確認したい。
幹元の穴・木くず・接ぎ目を見る

日本で特に注意したいのが、オリーブアナアキゾウムシ。幼虫が幹の内部を食害するため、葉だけを見ても初期の被害に気づきにくい。
購入時は、土に近い幹の表面に穴がないか、樹皮の隙間へ木くず状のものがたまっていないかを見る。枝に白や茶色の小さな付着物が多い場合は、カイガラムシも確認する。
古い幹を持つ大型株では、幹の空洞や曲がり自体は必ずしも異常ではない。ただし、柔らかく腐った部分や新しい木くずが出ている株は避けたい。
ひつヤギ君オリーブなら、一本植えれば実を収穫できるの?
じギィ博士品種によっては一本でも実が付くが、安定して収穫できるとは限らないぞ。実が目的なら、品種名と開花時期が合う受粉相手まで確認するのじゃ。
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