土地図鑑No.003
容積率
Floor Area Ratio
敷地に対して、建物の床をどれだけ積み重ねられるかを示す割合。
土地選びでは、表示された数字だけでなく「前面道路による上限」と「床面積へ算入される範囲」を確認する。

| 対象 | 計算方法 | 主な影響 | 確認先 |
| 延べ面積 | 延べ面積÷敷地面積 | 家全体の床面積 | 自治体の都市計画図・建築窓口 |
容積率とは?
敷地面積に対する、建物の延べ面積の割合。
延べ面積は、原則として各階の床面積を合計したもの。敷地面積150㎡・容積率80%なら、容積率上の延べ面積の上限は120㎡となる。
150㎡ × 80% = 120㎡
一階60㎡・二階60㎡なら延べ面積は120㎡。一階80㎡・二階40㎡でも合計は同じ120㎡となる。
ただし、120㎡を必ず建てられるという意味ではない。建ぺい率、高さ制限、斜線制限、前面道路、駐車場などを重ねると、実際に収まる床面積は小さくなる場合がある。
- 容積率は、各階の床面積を合計して考える
- 同じ容積率でも平屋・二階建て・三階建てで建物の形は変わる
- 都市計画の指定値より、前面道路による上限が低くなる場合がある

建築条件で押さえるポイント
建ぺい率と容積率は、制限する方向が違う
| 項目 | 制限するもの | 家づくりへの影響 |
|---|---|---|
| 建ぺい率 | 建物が敷地を覆う面積 | 建物を横へ広げられる範囲 |
| 容積率 | 各階の床面積の合計 | 家全体で確保できる床面積 |
敷地150㎡で建ぺい率60%・容積率80%なら、建築面積の上限は90㎡、延べ面積の上限は120㎡。
この土地へ一階90㎡・二階30㎡の家は計算上収まる。一階90㎡・二階90㎡では延べ面積が180㎡となり、容積率を超える。
建ぺい率だけを見ても、建てられる家全体の広さは分からない。容積率だけを見ても、一階をどこまで広げられるかは分からない。
前面道路が狭いと、指定容積率まで使えない場合がある
前面道路の幅が12m未満の場合、容積率は道路幅員から計算した上限も受ける。
住宅系用途地域では、原則として次の計算を使う。
前面道路幅員 × 0.4 × 100
指定容積率200%、前面道路幅員4mなら、道路による上限は160%。
4m × 0.4 × 100 = 160%
この場合に使える容積率は、指定の200%ではなく低い側の160%となる。
住宅系以外では原則0.6を掛けるが、用途地域や都市計画の指定によって係数が異なる場合がある。また、敷地が複数の道路に接する場合などは扱いが変わるため、広告の数字だけで決めない。
延べ面積と「容積率へ算入する面積」は同じとは限らない
床があっても、一定の条件を満たす部分は容積率の計算から除かれる場合がある。
代表例は次のとおり。
- 住宅の地階は、一定の範囲まで不算入
- 自動車車庫などは、建物全体の床面積に対する一定の範囲まで不算入
- 吹き抜けは床がないため、原則として床面積に入らない
- 小屋裏収納やロフトは、天井高さや面積などの条件を満たせば床面積に入らない場合がある
不算入は「自由に床を増やせる制度」ではない。用途、位置、高さ、構造などの条件があり、自治体の取扱いも確認が必要となる。の条件がある。防火による緩和も、地域の指定と建物の性能を組み合わせて判断する。。一方、高い建物、交通量、夜間の明るさや音も確認したい。
容積率が高い土地・低い土地の違い
- 同じ敷地でも多くの床面積を確保しやすい
- 三階建て、二世帯住宅、賃貸併用住宅を検討しやすい
- 周囲にも大きな建物が建つ可能性がある
- 建物全体の床面積が抑えられる
- 街並みの密度が低くなりやすい
- 希望する部屋数によっては、より大きな土地が必要となる
選ぶときに役立つ三つの視点
希望する延べ面積から土地を逆算する

延べ面積120㎡の家を希望する場合、容積率だけで逆算した最低敷地面積は次のとおり。
| 容積率 | 計算上必要な敷地面積 |
|---|---|
| 80% | 150㎡ |
| 100% | 120㎡ |
| 150% | 80㎡ |
これは容積率だけの計算。建ぺい率、道路、高さ、敷地形状を考えると、さらに広い土地が必要になる場合がある。
同じ延べ面積でも「使える広さ」は変わる

延べ面積120㎡でも、廊下が長い家、階段が多い家、吹き抜けのある家では、個室やLDKへ使える面積が異なる。
容積率は床面積の合計を制限する数字であり、間取りの効率や室内の開放感を示す数字ではない。。
道路幅員と高さ制限を一緒に見る

容積率に余裕があっても、道路幅員による上限や高さ制限によって階数を増やせない場合がある。
特に三階建てを希望する土地では、前面道路の幅、道路斜線、北側斜線、高度地区などを重ねて確認する。床面積の計算が収まっても、建物の形が収まるとは限らない。
選択肢になる土地・注意したい条件
- 希望する延べ面積が、道路制限後の容積率に収まる
- 建ぺい率と高さ制限を含めても、希望する階数を計画できる
- 床面積を使い切らなくても、価格と立地に納得できる
- 広告の指定容積率だけで建物規模を判断している
- 前面道路が狭い、またはセットバックが必要
- 三階建てや賃貸併用住宅を、概略プランなしで想定している
購入前の確認と注意点
「指定容積率」と「実際に使える容積率」を分ける

不動産広告の容積率は、都市計画で指定された数字だけを記載している場合がある。
前面道路幅員から計算した上限が低ければ、実際に使えるのは低い側。セットバックが必要なら、計算に使う敷地面積も小さくなる。
購入前は、指定容積率、道路幅員、道路による上限、セットバック後の敷地面積を一組で確認する。
二つの容積率にまたがる土地は面積ごとに計算する

敷地の途中で容積率の指定が変わる場合は、各部分の面積に応じて上限を計算する。
例えば、容積率80%の区域が100㎡、200%の区域が50㎡なら、延べ面積の上限は合計180㎡。
100㎡ × 80% + 50㎡ × 200% = 180㎡
ただし、前面道路による制限などが別にかかる場合がある。面積按分だけで最終上限が決まるとは限らない。
不算入を前提にするなら、条件を図面へ残す

地下室、車庫、ロフトなどの不算入を使って希望面積を確保する場合は、何㎡をどの規定で除外しているかを図面と面積表で確認する。
設計変更で天井高さ、用途、開放性などが変わると、床面積へ算入される可能性がある。土地購入時の概略計算と、契約後の最終図面で条件が変わっていないかを見る。
ひつヤギ君容積率が大きい土地ほど、住宅には有利なの?
じギィ博士床面積を増やしやすい一方で、周囲にも大きな建物が建つ可能性があるんじゃ。数字の大きさだけでは決まらないそ。
暮らしをつくる12の図鑑
HOUSE BUILDING ENCYCLOPEDIA
家づくりの知識を、ひとつずつ。
じギィ博士の研究ノート


