断熱図鑑No.001

グラスウール

Glass Wool Insulation

細いガラス繊維の間に空気を閉じ込め、熱を伝わりにくくする断熱材。価格を抑えながら厚みを確保しやすく、木造住宅の壁・床・天井に広く使われる。

選ぶポイントは密度の数字ではなく、熱伝導率・厚さ・製品幅・防湿層のつくり方にある。

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初期費用断熱性能燃えにくさ施工の安定性
★★★★★★★★★☆★★★★★★★★☆☆

グラスウールとは?

グラスウールは、ガラスを高温で溶かし、細い繊維を綿状にした断熱材。

断熱しているのはガラスそのものではない。複雑に絡んだ繊維が空気を細かく区切り、空気の動きと熱の移動を抑える仕組みとなる。

やわらかいため、柱や間柱の間へ入れやすく、壁・床・天井など幅広い場所に使える。燃えにくく、音を吸収しやすいことも特徴。

ただし、押し込みすぎると本来の厚さを保てない。柱との隙間や筋交いの裏側に空洞があれば、カタログどおりの性能も発揮しにくい。

POINT
  • 密度が高いほど高性能とは限らない
  • 断熱性能は熱伝導率と厚さの組み合わせで決まる
  • やわらかさは施工しやすさにも施工差にもつながる

主な種類と違い

通常品・高性能品|違いは密度だけではない

グラスウールには、10K、16K、24Kなどの密度区分がある。Kの前にある数字は、おおむね1立方メートル当たりの重さを表す。

密度が高いほど繊維の量は増えるが、それだけで断熱性能の順位は決まらない。

判断に使うのは、密度より熱伝導率。数値が小さいほど、同じ厚さで熱を通しにくい。

Kの数字だけを並べても、断熱性能は比較できない。

袋入り・裸品|防湿層のつくり方が変わる

袋入りは、グラスウールをフィルムで包んだ製品。室内側のフィルムが防湿層を兼ね、両端の耳を柱や間柱へ留めて施工する。

裸品はフィルムがなく、断熱材を充填したあとに防湿気密フィルムを別張りする。工程は増えるが、柱の上を覆いながら壁面全体へ連続した防湿層をつくりやすい。

製品の形より、防湿層をどこでつなぐかが重要となる。

マット・ボード・吹込み|使う場所が異なる

マットやロールは、柱や間柱の間へ充填する一般的な形状。ボード状の製品は形を保ちやすく、床や外張り部分にも使われる。

吹込み用グラスウールは、細かな繊維を機械で天井や壁へ吹き込む。配線や梁が多い天井にも回り込みやすい一方、見た目の厚さだけでなく、使用量と施工密度の管理が必要となる。

メリット・デメリット

メリット
  • 費用を抑えながら厚みを確保しやすい
  • 製品の選択肢が多い
  • 燃えにくく、吸音性もある
注意点
  • 施工状態が性能へ表れやすい
  • 複雑な場所では納め方に技術が必要
  • 施工後の状態を確認しにくい

選ぶときに役立つ三つの視点

「何K」より、壁に入れた状態のR値を見る

10K、16K、24Kは密度の区分であり、そのまま断熱性能の順位にはならない。

比較するときは、採用する製品の熱伝導率と厚さから、熱抵抗値を見る。商品名に「高性能」と書かれていても、薄く施工すれば熱抵抗値は小さくなる。

壁の奥行きが105mmなら、105mmを使い切れる製品か。120mmの柱なら、余った奥行きを空洞のまま残していないか。製品単体の性能より、実際の壁へ何mm入るのかが重要となる。

柱間寸法と製品幅を合わせる

グラスウールには厚さだけでなく、決められた製品幅がある。柱の間隔や間柱の位置と合わなければ、隙間や押し込みが生じる。

幅が狭ければ柱との間に線状の隙間が残る。広すぎれば中央が盛り上がり、石こうボードを張ったときに押しつぶされる。

特に、窓の上下や幅の狭い壁では、一般部と同じ製品をそのまま入れられない。細く切る場合も、繊維だけを詰め込むのではなく、防湿フィルムを含めて納め直す必要がある。

グラスウールは、現場で形を合わせられるからこそ、寸法の扱いで差が出る。

袋の「耳」がつながるかを見る

袋入りグラスウールでは、室内側フィルムの両端にある耳を柱や間柱へ留める。この隣のフィルムとつながり、内装材で押さえられることで防湿層をつくる。

耳を柱間の奥へ巻き込むと、柱の正面でフィルムが連続しない。窓まわり、壁の上下、入隅では、耳だけでは届かない部分も生じる。

袋へ入っていること自体が防湿性能ではない。見るべきなのは、フィルムが表を向き、耳が広げられ、周囲の防湿層まで連続しているかとなる。

選択肢になる住宅・注意したい条件

検討しやすい住宅
  • 壁厚を利用し、費用を抑えながら断熱材を厚く入れたい住宅
  • 柱間寸法に合う製品を選び、施工状態を確認できる住宅
  • 壁・床・天井でグラスウールの形状を使い分けられる住宅
注意したい条件
  • 「高性能グラスウール」とだけ書かれ、厚さと熱伝導率が不明な計画
  • 筋交い、配管、コンセントが多い壁で納め方が未決定
  • 袋入り製品を入れるだけで防湿層が完成すると考えている計画

購入前の確認と注意点

品番から「λ・厚さ・幅」を確認する

「高性能グラスウール16K」だけでは、採用する製品を特定できない。同じ密度区分でも、熱伝導率寸法が異なる製品がある。

確認する数字は、熱伝導率厚さの三つ。熱伝導率と厚さから断熱性能が分かり、幅から柱間へ正しく納まるかを判断できる。

壁・床・天井で使う製品を分け、商品名と品番まで決めておけば、見積時と施工時に別の製品へ変わるのを防ぎやすい。

袋入りか、別張り防湿層かを先に決める

防湿層付き製品を使うのか裸品へ防湿気密フィルムを別張りするのかによって、壁の納まりが変わる。

袋入りを使う場合は、耳をどこへ留め、窓や壁の端でどうつなぐかを見る。別張りでは、柱の上を連続して覆える一方、配管や配線の貫通部を処理する必要がある。

壁・床・天井で支え方を変える

壁では柱間へ充填できても、床では下向きに落ちない支えが必要となる。天井では、配線や吊り木の周囲へ隙間を残さず、後の設備工事で踏みつぶさない施工が必要。

吹込み用を天井へ使う場合は、表面の高さだけでなく、投入した材料の量と施工密度を見る。厚く見えても、必要な量が入っていなければ設計した性能にはならない。

「家全体をグラスウール」とまとめず、壁は充填、床は保持、天井は厚さと沈下への対策というように、場所ごとの弱点を確認する。



ひつヤギ君

グラスウールは安いから、性能も低いの?

じギィ博士

価格だけでは決まらないぞ。熱伝導率厚さを選び、つぶさず隙間なく施工できれば、高い断熱性能を確保できる。密度の数字だけで比べないことが大切じゃ。

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