屋根図鑑No.011
招き屋根
Asymmetrical Gable Roof
片側を長く、もう片側を短くした屋根。
長い面をどこへ向けるかで、軒下の使い方と室内の高さが変わる。

| 雨仕舞 | 耐風性 | 価格 | 小屋裏 |
| ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
招き屋根とは?
「まねきやね」と読む、切妻屋根の片方の屋根面を長くした形。妻側から見ると、頂点が中央からずれた「へ」の字になる。
片流れ屋根との違いは、頂部の反対側にも短い屋根面があること。雨水は一方向へ集まらず、棟を境に二方向へ流れる。
長さの差は、棟の位置や左右の軒高、勾配の組み合わせでつくる。長い屋根面があることと、軒が深いことは別。 外壁から先へどれだけ張り出しているかを見なければ、日よけや雨よけの大きさは分からない。
※呼び方が混在するため、この図鑑では二面が一つの棟でつながる形を「招き屋根」、上下に段差を設ける形を「差し掛け屋根」として扱う。
- 長さの異なる屋根面が一つの棟でつながる
- 雨は棟から二方向へ流れる
- 屋根面の長さと軒の出は別の寸法

メリット・デメリット
- 谷や段差を増やさず、切妻屋根の外観に変化をつけられる
- 長い面を低い位置まで伸ばし、玄関やテラスを覆う計画が可能
- 勾配天井にする場合、高い場所をリビングなど特定の空間へ寄せられる
- 長い面を低く下げると、窓の上端や軒下の通行高さを制約する
- 左右で勾配を変える場合、同じ屋根材・葺き方を使えないことがある
- 屋根面積の偏りに合わせて、雨樋や縦樋の排水能力を考える必要がある
形状とデザインの違い
左右の勾配をそろえるか、軒の高さをそろえるかで、屋根の姿が変わる。

勾配をそろえ、軒の高さを変える形
同じ角度で流すため、長い面の軒先が低くなる。
例えば3寸勾配なら、水平距離で1m長く流す毎に、屋根は30cm低くなる。テラスまで伸ばす計画では屋根の厚みも含め軒下に残る高さを見る。
低い軒は落ち着いた外観をつくる一方、大きな窓の前では空が見える範囲や室内の明るさにも影響する。

軒の高さをそろえ、勾配を変える形
左右の軒先を同じ高さにすると、長い面は緩く、短い面は急になる。
建物の外周を同じ高さでまとめられるが、屋根材を選ぶ際は緩い面の勾配が条件になる。見た目を合わせるために同じ材料を使いたくても、製品の適用勾配から外れる場合がある。
向いてる住宅・注意したい条件
- 玄関やテラスを、主屋根から続く軒で覆いたい家
- 部屋ごとに天井の高さを変えたい家
- 複雑な屋根を組み合わせず、外観へ個性を出したい家
- 長い面を南へ下げる場合、冬の日差しまで遮りすぎないか
- 低い軒の下で、窓・雨戸・シャッターを納められるか
- 小屋裏へ上がる位置が、頭をぶつけやすい低い側になっていないか
メンテナンスと注意点
片側だけ雨樋があふれるとき

掃除しても長い面の雨樋だけがあふれるなら、集まる雨水に対して排水能力が足りていない可能性がある。
雨量を見積もるときに使うのは、屋根を真上から見た面積。同じ奥行きの屋根で、棟から軒までの水平距離が6mと3mなら、長い側は短い側の約2倍の範囲の雨を受ける。
葺き替えでは左右の勾配を別々に測る

軒高をそろえた招き屋根は、左右で勾配が異なる。急な面に使える屋根材でも、緩い面に使えるとは限らない。
葺き替え前には、両面の勾配を測り、新しい製品の適用条件と照合する。外観を統一したい場合は、両面に対応できる製品を選ぶか、面ごとに葺き方を変えるかを決める。
長い屋根面の下にある天窓を点検する

棟から離れた低い位置の天窓には、その上の屋根面から雨水が流れてくる。周囲に落ち葉や泥がたまると、水を左右へ逃がす経路が狭くなる。
室内から見えるガラスやパッキンだけでなく、屋根側の上部・側面の水切りも点検対象になる。漏れているように見える隙間を自己判断でふさぐと、排水経路を塞ぐおそれがある。
ひつヤギ君長い屋根の下にテラスをつくれば、雨の日でも濡れないかな?
じギィ博士屋根面が長くても、外壁から先の張り出しが小さければ覆える場所は少ないぞ。見るのは「軒の出」と、テラスまでの高さじゃ。
ひつヤギ君屋根の大きさより、椅子を置く場所まで覆えているかを見るんだね。
じギィ博士そうじゃ。風で吹き込む雨もあるから、普段使う場所を軒先ぎりぎりに置かない計画がよいのう。
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