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窓ガラスの種類と性能を解説|Low-E・複層・トリプルガラスと熱貫流率・日射熱取得率

家づくりで窓を選んでいると、一枚ガラス、複層ガラス、Low-Eガラス、トリプルガラスなど、さまざまな言葉が出てきます。

「ガラスが2枚より3枚のほうが断熱性能が高い」
「Low-Eガラスは断熱や遮熱にいい」

なんとなく分かっていても、なぜ性能が違うのか、Low-Eとは何なのか、トリプルガラスにすると何が変わるのかまで理解するのは、意外と難しいものです。

さらに窓が防ぐ熱には、ひとつではなく大きく2種類あります。外と室内の温度差によって移動する熱と、太陽から届く日射による熱です。

この2つは同じ「熱」でも、移動する仕組みが違います。そのため、窓の性能も熱貫流率(U値)と日射熱取得率(η値)という別々の指標で考える必要があります。

この記事では、一枚ガラス・複層ガラス・Low-E複層ガラス・トリプルガラスの違いから、Low-E膜の役割、熱貫流率と日射熱取得率の意味まで、窓ガラスの熱の仕組みを順番に整理していきます。

窓ガラスが防ぐ熱は、大きく2種類

じギィ博士

窓ガラスが防ぐ熱は前述の通り大きく分けて2つある。
ひとつは、外と室内の温度差によって移動する熱。もうひとつは、太陽から届く日射による熱じゃ。

この2つは、どちらも窓を通して移動する熱ですが、熱が移動する仕組みは同じではありません。そのため、窓ガラスの性能を見るときも、それぞれ別の指標で考える必要があります。

① 温度差によって移動する熱 ― 熱貫流率(U値)

外と室内に温度差があると、熱は高い温度の側から低い温度の側へ移動します。

冬であれば、暖房によって暖められた室内の熱が、窓を通して屋外へ逃げていきます。反対に夏は、外のほうが暑いため、屋外の熱が窓を通して室内へ入ってきます。

このような温度差による熱の移動を、どれだけ抑えられるかを見る指標が「熱貫流率(U値)」です。

熱貫流率の値が小さいほど、温度差による熱が伝わりにくく、断熱性能が高いといえます。

つまり、熱貫流率は、窓の「断熱性能」を見るための重要な指標です。

ただし、ここで注意したいのが、熱貫流率が低いからといって、太陽から届く熱まで同じように防げるわけではないということです。

② 太陽から届く熱 ― 日射熱取得率(η値)

太陽の光が窓に当たると、そのすべてが反射されるわけではありません。一部はガラスを通過して室内に入り、また一部はガラスそのものに吸収されます。吸収された熱も、ガラスが温まることで室内側へ伝わります。

このような太陽の日射によって室内に入ってくる熱を、どれだけ取り込むかを表すのが「入射熱取得率」です。入射熱取得率が高ければ、太陽からの熱を室内に取り込みやすく、低ければ取り込みにくくなります。

つまり、入射熱取得率は窓の「遮熱性能」を考えるときの重要な指標です。

ひつヤギ君

熱貫流率に入射熱取得率・・・漢字ばっかで何かわからないよ 笑

じギィ博士

う~む、なら熱貫流率魔法瓶入射熱取得率日傘をイメージしてごらん

ひつヤギ君

同じ魔法瓶(断熱性能)でも、太陽の熱を反射する性能(遮熱性能)が違えば、熱の入りにくさも変わるんだね!

一枚ガラスからLow-E複層ガラスへ

Low-Eガラスの効果を理解するには、まず窓を通して熱がどのように移動するのかを知っておくと分かりやすいでしょう。熱の伝わり方には、「伝導」「対流」「放射」の3種類があります。

ひつヤギ君

詳しくは下の記事を見てね

窓ガラスでは、この3つの熱移動を完全になくすことはできませんが、ガラスの枚数やガラスの間に設ける空間、そしてLow-E膜などによって、それぞれの熱移動を抑えることができます。

一枚ガラス

その名のとおり1枚のガラスだけで構成されたシンプルな構造です。

一枚ガラスでは、ガラスそのものを通して熱が伝わりやすく、室内と屋外の間に大きな温度差ができれば、その温度差によって熱が移動します。ガラスとガラスの間に中空層を設けるような、構造もありません。

そのためガラス1枚だけでは、後述する複層ガラスのような中空層を利用して熱の移動を抑えることができず、複層ガラスやLow-E複層ガラスと比べると、温度差による熱が移動しやすい構造になっています。

複層ガラス

複層ガラスは、2枚のガラスの間に空気やアルゴンガスなどの中空層を設けた構造になっています。

ガラスとガラスの間にこの中空層を設けることで、ガラスを直接1枚でつなぐよりも、熱伝導による熱の移動を抑えることができます。

さらに、中空層の中では空気やガスの動きによる対流も抑えられるため、伝導と対流の両方による熱移動を小さくすることができます。

ただし、空気やガスの層を設けただけでは、赤外線による「放射」の熱移動まで十分に抑えることはできません。熱は、物質を介して伝わるだけではなく、離れた物体の間でも、赤外線による熱放射によって熱のやり取りが行われるからです。

Low-E複層ガラス

Low-Eガラスは、ガラスの表面にLow-E(Low Emissivity=低放射)膜と呼ばれる非常に薄い膜を施したものです。Low-E膜には、赤外線による熱放射を抑える性質があります。

さらに、Low-E膜の種類や配置によって、太陽からの日射をどの程度室内へ取り込むかも変わります。つまり、Low-E膜は赤外線を反射・抑制することで、放射による熱の移動をコントロールしているのです。

じギィ博士

この「放射による熱移動を抑える」という点が、Low-Eガラスの大きな特徴じゃな。

ガラスの種類伝導対流放射
一枚ガラス
複層ガラス
Low-E複層ガラス

Low-E膜は「遮熱の膜」ではない

Low-Eガラスについて調べると「遮熱」という言葉がよく出てきますが、Low-E膜は単に夏の太陽熱を遮るためだけのものではありません。

Low-Eの「E」はEmissivity(放射率)を意味し、Low-E膜には、赤外線による熱放射を抑える働きがあります。

ひつヤギ君

どういうこと?

じギィ博士

実は暖房で暖められた冬の室内では、床や壁、家具、人など、温度を持つものから赤外線による熱放射が発生している。Low-E膜で赤外線を反射することで、室内の熱が窓を通して外へ逃げるのを抑える効果もあるんじゃ。

つまりLow-E膜は、冬は室内の熱を逃がしにくくし、夏は外からの熱を入りにくくする働きを持っています。

ただし、どれだけ太陽の日射を取り込むかはLow-E膜の種類やガラスの構成によって異なります。そのため、「Low-E=すべて遮熱ガラス」と考えるのではなく、熱放射をコントロールする膜で、その仕様によって断熱性や日射の取り込み方が変わると理解すると分かりやすいでしょう

ただし、ここで重要なのが、「Low-E膜ならすべて同じように太陽熱を遮るわけではない」ということです。

「遮熱タイプ・断熱タイプ」と「日射遮蔽型」と「日射取得型」

Low-E膜には、熱放射を抑える基本的な性質に加えて、太陽から届く日射をどれくらい室内へ取り込むかを調整する役割もあります。Low-E膜の種類や配置、組み合わせるガラスの種類などによって日射熱取得率は変わるため、Low-Eガラスの中にも、太陽からの日射を比較的取り込みやすいものと、日射を抑えるものがあります。

ここで出てくるのが、「遮熱タイプ・断熱タイプ」と「日射遮蔽型・日射取得型」という2つの分類です。

一般に、Low-E金属膜がコーティングされたガラスを室外側に配置したものを「遮熱タイプ」室内側に配置したものを「断熱タイプ」と呼びます。

一方、「日射遮蔽型」と「日射取得型」は、Low-E膜の位置ではなく、太陽から届く熱をどの程度室内に取り込むかによる分類です。

じギィ博士

「遮熱=日射遮蔽型」「断熱=日射取得型」と覚えてしまいがちじゃが、これは正しくないぞ。断熱タイプにも日射遮蔽型日射取得型の両方があるんじゃ。

出典 YKK aP ホームページより

「日射遮蔽型」と「日射取得型」は、太陽から入ってくる熱をどの程度室内に取り込むかによる分類で、日射取得率が0.49以下なら日射遮蔽型、0.5以上なら日射取得型です。

つまり、簡単に整理すると、「日射遮蔽・日射取得」は太陽の熱をどうするか、「遮熱・断熱」はLow-E膜をどこに配置するか、という違いであり、この2つを分けて考えるとLow-Eガラスの種類が理解しやすくなります。

ひつヤギ君

日射遮蔽型・日射取得型を判断するときは、ガラスの色やLow-E膜の位置だけで判断せず、日射熱取得率(η値)などの仕様を確認することが重要なんだね。

トリプルガラスは何が違う?

トリプルガラスとは、3枚のガラスを組み合わせ、その間に2つの中空層を設けた窓ガラスのことです。一般的な複層ガラスが「ガラス2枚+中空層1つ」なのに対して、トリプルガラスは「ガラス3枚+中空層2つ」という構造になっています。

トリプルガラスでは、温度差による熱の移動を抑えることができる中空層が2つあるため、複層ガラスよりも熱が移動しにくい構造にすることができます。

特に重要なのが、トリプルガラスは「ガラスを3枚にすることで、主に熱貫流率を小さくする」ための仕組みだということです。

ひつヤギ君

ガラスを増やすことで、温度差による熱の移動を抑えるのに有効な構造になるんだね。放射熱にはどうなの?

じギィ博士

トリプルガラスにLow-E膜を組み合わせることで、赤外線による熱放射も抑えることができるぞ。

つまり、トリプルガラスで温度差による熱の移動を抑え、Low-E膜によって放射による熱の移動や太陽からの日射の取り込み方をコントロールするという、異なる仕組みを組み合わせることができます。

出典 YKK aP ホームページより

ただし、ここでも「トリプル+Low-Eなら、太陽の熱が必ず入りにくい」というわけではありません。Low-E膜には種類があり、膜の位置や種類、組み合わせるガラスなどによって日射熱取得率は変わります。

そのため、トリプルガラスを選ぶときも、「ガラスが3枚だから・Low-E膜が入っているから安心」と考えるのではなく、熱貫流率(U値)と日射熱取得率(η値)の両方を見ることが重要です。

窓選びで見るべきは「ガラスの枚数」だけじゃない

ここまで見てきたように、窓を通して移動する熱には、温度差によって移動する熱と、太陽から届く日射による熱があります。

複層ガラスやトリプルガラスは、ガラスと中空層を組み合わせることで、温度差による熱の移動を抑えるのに有効な構造です。さらにLow-E膜を組み合わせれば、赤外線による放射熱を抑えながら、ガラスの仕様によって太陽からの日射をどの程度取り込むかもコントロールできます。

だからといって、「トリプルガラスなら夏も涼しい」「Low-Eなら太陽熱をすべて防げる」という単純な話ではありません。ガラスの枚数やLow-E膜の有無だけでは、その窓がどのような性能を持っているのかを判断できないからです。

ひつヤギ君

窓の性能を見るときに重要なのが、熱貫流率(U値)日射熱取得率(η値)だったよね。

じギィ博士

熱貫流率(U値)は、温度差によって移動する熱をどれだけ抑えられるか。
日射熱取得率(η値)は、太陽から届く熱をどれだけ室内に取り込むか。
この2つは、似ているようで見ている熱が違うのじゃ。

つまり、窓選びでは「何枚ガラスが入っているか」だけを見るのではなく、「温度差による熱をどれだけ抑えられるのか」「太陽からの熱をどれだけ取り込むのか」まで見ることが大切です。

U値とη値。この2つを見ることで、その窓がどんな熱に強いのかが見えてきます。

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